4話
声をかけてきた少年は…
首筋まで伸びた銀の髪。
白い肌に細い指。
低く淡い声。
白のシャツにズボン。
普通の少年だった。
ただ、人とは違うところが一つ。
彼は顔を隠すが如く、猫の面をしていた。
「座りな…小娘」
彼は挨拶をした後、そう言った。
「小娘じゃないわ。私、16歳よ?」
「驚いた…同い年か…」
彼は、口に手を当てる動作をした。
「あなた…意外に毒舌ね」
「すまない…つい」
「ま、良いけど。小娘ってゆぅのは止めてくれない?」
「…わかった」
「私、神野 ゆかり。あなたは?」
「……サク」
「よろしくね…サク」
「あぁ…?」
私は握手をしようと、手を差し伸ばした。
サクは少し戸惑い、私の手の平を軽くパンと叩いた。
「なに、今の?」
「……挨拶」
「今のが…?」
「あぁ」
私はサクの隣に腰を下ろした。
そして、近くにあった木の枝を手に取り、ブラブラ
とさせて言った。
「あのね、私の名前の“ゆかり”ってゆうのは漢字では…」
「こう書くの。これで“縁”よ」
私は枝を土に当て、“縁”とゆう漢字を書いた。
「ほぅ…」
「サクは?」
私は枝をサクに渡し、問い掛けた。
サクは“縁”と書かれた文字の横に枝をあてた。
「サクってゆ‐漢字は…花が咲くの“咲”だ」
「そうなんだぁ〜良い名前ね」
「ありがとう」
「…女の子らしい名前だけど」
私はわざと、聞こえるように言った。
「………え?」
「ふふ、冗談よ。さっきのお返し」