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2話
そこは…
町の人だけが知ってる。
いや、もう町の住人すら、あまり関心を持ってないようだ。
みんな、此処のことを忘れてゆく。
みんな…此処に思い出がないから?
ポツリと建っている
小さな神社。
神社の周りは、一面、森だった。
陽が差すわけでもなく
そこは
日陰だらけの神社。
蝉の声。
生温い風が頬を掠める。
私は口ずさむ。
ある歌を――――……。
しかし、それは蝉の声で掻き消された。
あの日のように。
あの日も、今日のように、蒸し暑い日だった。
そう、彼と出会った…
あの日も。。。
今日のように、蒸し暑く、ギラギラとした太陽が、顔をだしていた。
そして、今日のように蝉の声が聞こえた。
あれから…どれくらいたっただろう?
あれから、私は変わったのだろうか。
あなたと出会った…
あの日。
あの場所で‐
あの日のことが、私の中で駆け巡る。
私は知らず知らず、あなたと出会った神社の前にいた。
鳥居の手前で…立ち尽くした。
あぁ、懐かしい。
辺りが歪み。
ふ、と体が重くなった。
蝉の声が頭に響く。
私は……