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18話
「みて咲!!雪よ」
「うん」
「雪よ!!」
「うん」
「森へ行きましょう」
「……やっぱり」
ぼそ、とため息混じりの声が聞こえた。
「??」
「さて、行くとするか」
咲はすく、と立ち上がり、ズボンを叩いた。
「えぇ」
「今日は走るのは止めよう。危ない」
「わかったわ」
森の入り口に入った。
木々を避けながら、先へと進む。
「ねぇ、咲」
「なんだ?」
「咲は……」
「??」
「なんでもない」
「ほら、ここだ」
下を見れば、真っ白で
きらきら輝いていた。
「ちょっと、恐い」
「何いってんだ。行くぞ」
とん。
ぼふ。
「ねぇ、咲は妖怪??」
「いや…違うよ」
「それじゃぁ…人間??」
「何だと思う?」
「わからない。でも、遠いモノの気がする」
「俺も縁が遠く感じる」
「どうしてかな。こんなに…近くにいるのに」
隣にいるのに。
「さぁ?どちらにせよ、俺には難しいよ。」
そう呟く咲は
とても淋しそうだった。
チュン、チュン。
雀たちが空から降りてきた。
咲の手元まで。
「ひひ、鳥だ」
「雀よ…」
「小さいなぁ…羽も体も。でも羽があって…自由に空が飛べて…良いなぁ」
咲の白い吐息と
雀の奏でいてる音色
寂しさをも感じさせた。