15話
「そっち暗幕はって!!」
「はいっ」
真っ黒な、暗幕を壁の端から、端へと広げた。
光が、教室内に入らない様、窓側は二重に幕を貼った。
「ねぇ…これ、何作ってるのかしら??」
縁は手の作業を止めず、口を開いた。
「そうね〜強いて言えば…トイレ」
「うん、わかるよ。でも、なんでトイレが必要なの?」
「花子さんが入るため」
「花子さん、もう一人いたのね」
目の前で作業してる島波は、ちら、とこちらを見ると下を向き、ぼそ、と口にした。
「……いない…」
「…えぇ!?何、もしかして私が入れってこと!?」
「うわぁ…神野 頭良い〜」
「私、受け付けが…」
「神野、私もだから…おばけ役」
「なんで??」
「おばけ役が一人 捻挫しちゃってるからよ…」
「うっ…」
「…わかったわ」
「頑張ろうね」
島波は、まばゆい笑顔で言った。
* * * *
縁たちの教室内は、真っ暗な闇と化していた。
墓や、柳の木などの作りものが並べてあった。
そして、トイレも…。
「すごい、すご〜い!!」
「結構…良くねぇか?」
「おぉ、後は…薄暗いライトと衣裳だけ〜」
ライトにアルミホイルをぐるぐる巻き、教室内にセットした。
「衣裳係り〜どぉだ?」
「……できたっ」
「うぉぉぉ、すげぇ」
「花子さんの衣裳が、これで…着物の女性がこれ」
「ぁ、ありがとう」
「い〜え」
花子さんの服は、ブラウスに赤いスカート…におかっぱのカツラ。
「やだぁ〜神野、ちび●るこちゃんみたい…かわいい!!」
「いや、花子さんだから」
「って、そうゆう島波も似合ってるわよ?」
「そう?」
腰までの髪、白く長い着物。。。
学園祭前日に、全部を作り終えた。
明日が当日だというのに、そんな気がしなかった。
その日の夜は長く、月がちょこんと顔を出していた。