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第14話

投稿遅れてすいません!


案内された先、物凄く豪華な扉の前。

久しぶりの空気にわずかな緊張を覚えながら、名前を呼ばれるのを待つ。


大広間に入ったら、まず最初に国王陛下に挨拶に赴かなければならない。私の前に呼ばれた人の挨拶が長引いているようで、しばらく待っていて欲しい、と係の方に告げられた。


待つこと数分。中から合図があったようで、私の名前が呼ばれた。

背筋を伸ばし、ぐっと前を見て、ヒールの音を響かせながら中に入っていく。


……

………

…………

……………視線が痛い!!


なんで誰も喋らないのよ!ちょっと社交界に出てこないだけの、超平凡な伯爵令嬢よ私!顔だって大したことないし、スタイルだって普通よ!?今日はメイドさん達に磨き上げられたけど、それでもせいぜい中の上くらいでしょ!?なんでみんな私を凝視するのよ!!お願いだから他の方を見てください視線が突き刺さってます!!


心の中で絶叫するものの、皆さん喋らないし目を反らしてもくれない。

国王陛下の前にたどり着いても、やはり状況は変わらない。

……私何か悪いことした!?



スカートの両端をつまみ、深々と礼をする。

礼儀作法には自信があるので、これは淀みなくできた。




「……面を上げよ。こういった場では久しいな、オルデンベルク伯爵令嬢」

「お久しぶりでごさいます、国王陛下。仕事に励んでおりましたので……」




ゆっくり顔を上げて、令嬢らしく、柔らかな物腰で応答する。謁見自体は半年前にもしていたが、この場はとりあえず久しぶりと言った方が無難だろうと思って答えた。




「そなたの父は達者か。王都に戻って来いと何度告げても戻らぬ。」

「父は所領で弟に剣術を仕込むのに夢中で……今度、手紙で私からも催促致しますわ。」




陛下のお誘いを断るって、どんな神経してるのよお父様……!

一応陛下に忠誠を捧げた騎士でしょうが!!『忠誠を誓った相手に従うべし』って、家訓でしょうが!




「騎士団に戻って来て欲しいものだ……あの腕前を知らぬ者が増えてきたことが、残念で仕方ない。できれば我が右腕として活躍して欲しい……」




だんだん陛下がしょんぼりしてきちゃってるし!!

とゆうかだんだん愚痴になってきてるし!!

お父様なんで陛下を誑し込んでるのよ!変なところでカリスマ発揮して来ないで……!

お父様は物凄いおっとりしててうっかり下手な詐欺に引っかかりかねないような人なのに、建国時から連綿と受け継がれてきた騎士の血筋故か、凄まじい剣豪なのだ。黙ってさえいれば、娘の目から見ても眉目秀麗な美形さんだし。若く見えるし。

なので、お父様を慕う人は正直多い。私がオルデンベルク伯爵令嬢と知るなり、伯爵の復帰はまだかと聞かれたことすらあった。仕事中のメイドに話しかけないで欲しい。




「……その内、私の様子を見に王都まで来ると思いますので、父にはその時に……」




言いたい事は本人に言ってくれと遠回しに言ってみると、陛下は我に返ったようで、すまないとか言って下さっちゃった。


…すいませんが、仮にも国王が一貴族の令嬢に謝罪って色々マズいんじゃ……

内心で冷や汗をかきつつ、そっと周りを伺うが、とりあえずは顰蹙ひんしゅくを買ってはいないようで、安堵する。




「そういえば、塔の者の様子はどうだ。長く続いているようだが」

「ええ、良くしていただいておりますわ。ご心配頂きありがとうございます」

「そうか。なら良かった。そなたをあやつ付きにして正解だったな。今宵は仕事の疲れを忘れ、楽しんで行ってくれ」




王の言葉に一礼して御前を離れる。

……ああ、驚いた。いきなり殿下のことを聞くから、何かボロが出てたかと思って、寿命が縮んだわ……

私が御前を離れるのを待っていたかのように、広間にいた貴族の面々も会話を再開したので、ちょっと落ち着いた。

だけど、なんかチラチラ見られてる気がする……

でもまあ、好都合だ。

私は広間のすみで壁の花と化していたリヴァプール兄弟の元へ歩み寄っていく。

目下のものから話し掛けるのは無礼に当たるので、二人の目の前まで行って礼をする。と、アルフレート様がにやりと……にやりと!?笑って声を掛けてきた。




「……久しいな、オルデンベルク伯爵令嬢。貴殿とこうして会うのも珍しい。伯爵はご健勝か」

「……ええ、お久しぶりですわ。父は相変わらずでございます。貴方もお元気なようで安心致しました」




できる限り艶やかに笑いながらも、私の心中は混乱の真っ只中だった。

何この人!いくらなんでも性格変わりすぎて気持ち悪いわよ!さっきまであーんなにティナ様をデレデレ構い倒してたのに、一体何なの!?俺様なの!?


傲岸不遜な態度のアルフレート様に心が折れそうになりつつも、なんとか親しげに見えるように演技する。というか、広間の人の目が集中しているのを今度こそはっきり感じる。私にどうしろって言うのよ……!!


しばらくその状態で会話を続けていると、やっと王への挨拶を終えたティナ様が来た。

……のに、アルフレート様はティナ様をすげなくあしらうばかり。見かねたセルシウス様がフォローをしてくれるようになって、私の会話の負担が減ったので、周りを見る余裕ができた。


……うわ、バード侯爵令嬢が物凄い目でこっちを睨んでる。リヴァプール兄弟と話してるからか、さっき陛下と親しげに会話していたからか。

まあ、両方でしょうね……めんどくさい。話し掛ければいいのに。むしろアルフレート様も少しはあの子の厄介ぶりを味わえばいいと思う。

というか周りの人、まだこっち見てるし!

勘弁してください……

話題になるために来てる訳だけど、ここまで見られると、慣れてない身には厳しい……

私は心の中で盛大にため息をついた。






はっ、殿下が出せてませんでした……

つ、次こそは……!!

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