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第九章:月夜の決闘

夜、誰も居ない森林で伯爵と対峙していた。


月は昨夜と同じく昇っている。


「時間ピッタリだな」


伯爵は腕時計を見てから私を見つめた。


月と同じ色の瞳が私を射抜く。


「生まれ付きなんです。それに依頼を受ける側として時間厳守は当然じゃないですか?」


伯爵は喉で愉快そうに笑いながらそうだな、と頷いた。


そして私を見た。


「それでは・・・始めようか?」


「・・・はい」


私は横に飛んでコルトを抜き、引き金を絞った。


森の中に数発の銃声が響き渡る。


私は近くの木に隠れながら腕を見た。


私がコルトを撃つより速く伯爵はマウザーを抜いて、私の右腕を掠めた。


「・・・良い腕ですね」


血が服を赤く染めた。


上着を破り、傷口を強く縛った。


これで止血は出来たが、長くは持たない。


伯爵の気配を探ったが見つからない。


上手く同化している。


見つからないなら動くべきと思うだろうが、下手に動けばこちらの位置が知られて逆に危ない。


しかし、こちらは傷を負って長期戦は出来ない。


となれば、危険だが私の方から動くしかない。


私は意を決して木から走り出した。


その私に向かって数発の弾丸が飛来する。


それを必死に避けながら別の木に隠れて、撃たれた方角に狙いを定めて撃つ。


最初に1発、そして更に4発撃ったから残りは3発。


予備の弾はマガジン1個分だから7発だ。


合計で10発。


無駄撃ちは出来ない。


しかも、マガジンを装填する時間が果たしてあるのか?


いや、伯爵のマウザーも10発だ。


だが、延長マガジンを使えば20発になる。


伯爵は何発撃った?


分からない。


自分の撃った弾丸を数えているだけで、相手の撃った弾丸数を考えていなかった。


素人みたいな真似をした自分を恥じる。


私は木に背を傾けて、もし・・・10発使い切ったらどうするか思案した。


フルオートの拳銃は無い。


逃げる最中に落としてしまった。


あるのはコルトとナイフだけだ。


ナイフで伯爵を殺れるか?


かなり危険だ。


だが、伯爵はナイフを持っていない可能性もある。


どうする?


私は自問自答した。


そこへ弾丸が飛来して木を貫いた。


危うく私の肩を貫く所だった。


直ぐに移動して別の木に隠れた。


そこもまた攻撃される。


私は隙を見てはコルトを撃った。


当たったか分からない。


でも、相手に応えたかった。


そして気が付けばコルトは弾切れだった。


急いでグリップの直ぐ前にある丸いボタンを押して空のマガジンを捨てた。


それから直ぐに新しいマガジンを入れ、スライドを引こうとしたが私の手から弾け飛んだ。


私は身体を地面に伏せた。


コルトが砕ける音がした。


これで使えるのはナイフだけとなった。


私はナイフを鞘から抜いた。


「どうした?もう終わりか」


伯爵の声が森に響く。


これは挑発だと分かったが、身体は勝手に動き声がする方向に向かっていた。


伯爵はマウザーをホルスターに収めた。


距離を縮めた私はナイフを突き出した。


それを伯爵は避けると拳を打ち込んできた。


辛うじて避けたが髪が数本、切れた。


突きを繰り出しながらもう1本のナイフを抜いて横に薙いだ。


今度は伯爵の髪を切れた。


「・・・やるな」


伯爵は口端を上げて笑うと自分のナイフを抜いた。


私のナイフより大きな鉈だった。


鉈を右手に持った伯爵は私に突進して来た。


鋭い突きが私の心臓を狙って来る。


それを避けるが今度は蹴りが来た。


左手で防御したが、出来ずに飛ばされた。


木に背中がぶつかり鈍い痛みが走った。


だが、直ぐに動いた。


左手は震えていて暫く使い物にならない。


右手は傷を負い、段々力が抜けて行く。


激しい動きをしたらか血を余計に使ったからだ。


それでもまだ動く。


しかし、短い時間だ。


なら、これが最後かもしれない。


私は伯爵と真正面から対峙した。


「・・・もう、終わりにしましょう」


私は伯爵に言った。


「良いだろう」


伯爵は頷き鉈を握り直した。


私もナイフを握り締める。


捨て身の覚悟で突進する。


私は死ぬだろう。


だが、その時は・・・・・・・・・・


「貴方も一緒です」


ナイフで突きをした。


これが最後の攻撃だった。


突き出されたナイフを伯爵は左手で受け止めると鉈を振り降ろした。


右目から血が吹き出た。


そして腹に強い衝撃が来た。


「ガハッ・・・・・・・!!」


私は前のめりになった。


そこへ肘が打ち込まれた。


骨が軋む音と内臓がひっくり返る感覚がした。


一気に力が抜けてナイフを落とし地面に顔を伏せた。


段々、意識が遠のき始めた。


「チェック・メイトだな」


伯爵の声を聞き、私は意識を手放した。


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