序章:スコープ越しの笑顔
これまた伯爵物です。
ですが、今回はガブリエルなどではなく新しいキャラクターを登場させます。
私はスコープを取り付けたドラグノフ狙撃銃越しに走る一台の車を見ていた。
旧ソ連が開発した自動小銃で、性能的に言えば良いとは言えない。
改良---銃身など細かい所を改良して、何とか相手の脳天を撃てるように改造はした。
後は私の腕次第、と言った所だ。
場所はこのライフルの射程距離である800mの場所にある高層ビルの屋上。
スコープ越しに見える先には黒のベンツSSKで乗っているのは男が見える。
今時、SSKを乗り回すなど古臭いにも程がある。
ファッションもそうだ。
黒のソフト帽にトレンチコートという一昔も前のファッションだ。
髪の色は鴉で、腰まで伸びた長髪を一本で纏めているヘア・スタイルで、風によって靡いている。
男は右を眼帯で隠して、煙草を吸っている。
年齢は20代後半で、見るからに裏の世界に生きる者だと解かる。
私の一族を皆殺しにした男。
その男を私は狙っている。
別に敵討ちをする為に相手を狙っている訳ではない。
ただ、我が一族を皆殺しにした・・・その腕前を知りたいだけだ。
引き金に指を掛けて、力を絞る。
後少しで、弾が発射されるという所で私は指を止めた。
スコープ越しに男は笑っていた。
左だけある月の瞳でこちらを見て、笑っている。
『・・・・撃てるものなら撃ってみろ』
目が挑発していた。
「・・・・面白いわ」
流石は我が一族を皆殺しにしただけの事はある。
肝が据わっている。
私は挑発に乗ってやる事にした。
引き金を力一杯に引き絞った。
銃口から乾いた音と白い煙が出た。
同時に7.62mm×54R弾が空を切り、男の眉間を・・・・貫く筈だった。
弾は空中で破裂した。
スコープで覗けば男の右手には骨董品の拳銃が握られていた。
口からは煙が出ている。
つまり、男は私と同じく弾を狙って撃ったのだ。
そして第二射がスコープ越しに分かった。
スコープから目を放す。
スコープのレンズを貫いて私の頬を掠める弾丸。
「・・・大した腕だわ」
拳銃で、ここまで狙えるなどそうは出来ない。
銃の射程距離は最高で50メートルそこらだ。
それをここまで飛ばした。
しかも、あの銃の最高射程距離は300位だ。
それでも届かないし、当たる可能性など0に等しい。
「骨董品も捨てたものじゃないわね」
きっとあの骨董品の良さを活かしつつ、カスタマイズしたに違いない。
ストック無しでやった腕前も大した物だ。
私は、喉で笑いながら次はどんな手を使うか楽しみになってきた。
ドラグノフを持ち、私は喉を震わせて笑った。
楽しい獲物だ。
これぞ狩りの喜びだ。
すいません、少し描写が足りなかったので付け足しました。