【覚えておいて損な情報じゃないと思うよ】
わたしはその時間を、微睡んでいたらしい。
そして、ファンタスティックな気持ちに包まれているような。
わたしたちにとって最後の部活の県大会は終わり、夕方の太陽の光が競技場を照らしていた。
大会終わりの微睡の中で、飛翔していた可愛らしい妖精が、彼の身体に入ったのが見えた。
「えっ?」
すると【親友】にして【たいせつな仲間】である彼の目がファンタスティックにキラキラ輝き、わたしに微笑みかけてきた。
「いつもそっけないのに、どういう事だろう?」と、わたしが考えていると、
「君、妖精が見えるタイプなんだ」
彼は言った。
声質の可愛げが増したので多分、あの妖精の意思だろう。
ファンタスティックな彼は、わたしに身体を寄せてきた。
彼の香りがした。そして、
「別にこれは彼の意思に反した行動ではないのだよ」
「えっ?」
「彼は少なからず、君に身体を寄せたいと思っているの。覚えておいて損な情報じゃないと思うよ。今ね、彼の無意識に君の身体に触れた感触が、心地よいと言う情報が刻まれたんだ。この意味解るよね?」
「うん、なんとなく」
「これかれも【親友】&【たいせつな仲間】のままでいい?」
「それは」
「もうすぐ卒業だよね」
「・・・」
「鞄の中の手紙、ふざけて書いた訳じゃないよね?」
「・・・」
「さあ、彼に代わるよ。離れて」
そう言われ、わたしは彼と【親友】&【たいせつな仲間】の距離に戻った。
彼の目からファンタスティックは去り普通に戻った。
【覚えておいて損な情報じゃないと思うよ】
わたしは、あの妖精の言葉を心の中で繰り返した。
そう、今、鞄の中の手紙を渡せば、きっとしあわせに成れるはず。
心臓が高鳴った。
完




