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作成と完成

「女神様から何をいただいたの?」

「これをもらいました!綺麗でしょう?」

「ええ、とても綺麗。女神様にお礼は言った?」

「はい!」


お母さまは『あらあら良かったわね』と微笑ましそうに見ている。お母さまは作ったストールをちらっとしか見ていなかったし、その他の作品に至っては見ていないから、私が女神様から超高評価をもらったんだとは思ってないみたいだ。魔吸い樹の実は一見ただのガラス玉だし、子どもだから特別に参加賞をもらえたのね、くらいにしか思ってなさそう。

まあ、いいけど。下手に魔封じの腕輪を作るって言いまくって失敗したら恥ずかしいから、完成したらサプライズで渡すつもりだったし。




「よし、完成!」


あの後、湖畔でお弁当を食べてから屋敷に戻ってきた私は早速魔封じの腕輪製作に取り掛かっていた。


ゲームプレイ時、アイテム錬成はレシピと必要な材料さえ集めれば、ボタンを押すだけで出来上がった。しかしゲーム制作陣にはそういうのにこだわりがある人がいたらしく、レシピにやたらと詳しい作り方が記述されていた。

もちろんゲームの強火ファンだった私は全部覚えている。


魔封じの腕輪の作り方は結構単純だ。

魔吸い樹の実の皮を剥き、月の光に一晩当てる。そうすると、ゼリーみたいにぷるぷるしていた果肉が粘土くらいまで固くなるので、それをこねこねして腕輪の形に形成。その時に魔吸い樹の花……、蓮の花によく似たそれ。そのモチーフの腕輪にすることが重要らしい。それが精巧であればあるほど魔封じの効果が増すんだとか。

うーん、ファンタジー。原理はよくわからないけど、魔法ありきの世界だし、考えたらきりがなさそうなので深くは考えないことにした。

そんなこんなで腕輪の形が出来上がったら、あとは形が崩れないように固定して、三日間月の光に当ててカチカチになったら完成。


ねっ、簡単でしょ?


簡単すぎて四日後には出来上がってた。もちろん、女神にもらった魔吸い樹の実の分、腕輪は三つだ。オパールのような乳白色の色合いになった腕輪は光が当たると緑色に煌めいてとても可愛い。


「それ、どうしたんだ。お前には大きいだろ」


授業と授業の合間の休憩時間、私の手首で光る腕輪を目ざとく見つけたお兄様が言う。大人用に作ったので今の私の手ではぶかぶか。それで目についたのだろう。


今は腕輪の試用中だ。始めに作った一つ目はゲームで見た通りのものにしたけれど、華奢なお母さまや女神が身につけるには少々無骨すぎる。

それで、少し細めに作ってみた。一つ目はバングル自体に立体的な模様をつけたが、二つ目と三つ目はバングルに花が付いた蔦が巻き付くようなデザインにした。

デザインを変えたせいで変な効果がついてたりしたら、体の弱いお母さまに渡すわけにはいかない。下手なことをしたら喜ばれるどころかうちの男集の恨みを買ってしまう。


それで、自分で人体実験をしていたのだ。


魔封じの腕輪はきちんと機能しているようで、つけてみると本当に魔法が使えない。けれども、代わりに魔法も効かない。魔力で動くランタンに手を突っ込んでみたけれど、熱くなかったし全然火傷もしなかった。

しかも、吸い取った魔力が一定量溜まると、腕輪の花が散って実が成る。この実は魔石のようだ。

そうやって魔力を排出して、また腕輪は新しい花をつけるという仕組みらしい。原作だとオリビアにつけたっきりのものだったから、これは実際使わないと知らなかったことだ。


「お母さまにあげようと思って作ったから、付け心地を確認しているの。もしどこか引っかかったりしてケガをしたら大変ですから」

「これ、お前が作ったのか?器用だな……」

「意外と簡単なんですよ。粘土みたいにこねて作るだけですから」

「ふぅん。で、いつ渡すんだ?」

「昨日からつけてるけど、不具合を感じないからそろそろかなと。夕食の時にお渡ししようかしら」


うちは朝晩の食事は家族揃って食べる。

お母さまはいつも神出鬼没でなかなか捕まらないから、確実に会うには前もって約束しておくか、食事の席の時が確実だった。

喜んでくれるかしら。


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