0.エピローグ
新連載です。不定期ですが、あげていきたいと考えています。
俺は決して城に攻め込まず理性を保ち、そして誰からも攻め込まれることもないように25年間生きてきた。
中学生の頃に、親父の部屋に入った時たまたま見かけた、
眩しい本に俺は心を躍らせ、食い入るように読んだ。
いまだに覚えてるあの時の衝撃を。そして、実際に見てみたくなったのだ。その本の中に映る妖艶な姿のそれを。
高校生の頃、初めて告白をしてみた。
その子は160センチほどの身長で、セミロングの髪型がよく似合う可愛らしい女の子だった。
偶然席が隣になった事で毎朝、そして帰る間際に話す仲になったのだ。
それから彼女の行動を観察していると、時折こっちを見たり、たまたま目が合うと緊張からか目を逸らしてるように思える。こうなったら確実だ。
放課後、教室に残る彼女に俺は勇気を振り絞った。
「すきです。付き合ってほしいです。そして俺と、XX XX XXしよう!!」
その瞬間世界は停止し、俺の左頬にはものすごい衝撃と
その子の悲しそうな、そして怒りにも満ちた顔。
刹那の如く、その子は目の前からいなくなった。
そこで俺は思った。俺はもう戦士として男として、攻め込んではいけないんだと。
それから10年近く経ったであろう、25の夏
10年ぶりに彼女が出来て、初めてのデート。
場所は近所の横断歩道。綺麗にかがやく景色がある訳でも、テーマパークの中でもない。
それでも心の臓の鼓動が治らない。
その子の目を閉じて何かを覚悟したその顔に
俺は、理性を抑えられなかった。
唇を重ねようとしたその時
俺の意識は無くなった。
目を開けるとそこは、何一つない真っ白な空間だった。
「三浦晴人さん。お間違えないですね。
ようこそいらっしゃいました。神の間へ」
透き通ったその声は、理解の追いつかない俺に向けて
明らかに発せられていた。