11月1日
ピンポーン
ある秋の夜に家のチャイムが鳴った。
「はーい。」
私はそう言いながら玄関を開ける。
「を!?」
ドアを開けた瞬間、一抱えほどの物体が投げ込まれ、驚きつつもキャッチした。
「・・・え、何?」
それはごくごく普通の緑色のカボチャで、周囲を見回すもカボチャを投げた者は見当たらない。
「?」
突然の出来事に首を傾げながらドアを閉め、改めてカボチャを見ると何やら紙が貼ってある。
『ハッピーハロウィン』
その文字とともに祖父の名が添えてあった。
「ハロウィンは昨日だし、日本人なら盆に帰って来いっての。」
祖父は去年、病死している。生前は時折こういった洒落たことをする面白い爺さんだった。
ちなみにカボチャは煮物にして食べた。美味かった。