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頭がおかしい人外生物


「───違うか・・・?」

「・・・・・・フッ」


 なーに言ってんだコイツ・・・

 「違うか?」なーんて言われてもサッパリ意味わからんのですけど・・・・・こうなったら──


「(なぁ・・・アイツなに言ってんだ?もっとわかりやすく言えってお前から言ってくれよ) 」


 小声で黒髪の女にそうお願いする。


「(はあ?そんなの貴方が直接言えばいいじゃない)」


 当然といえば当然の反応をされる。だが、俺からは絶対に聞けない事情がある。


「(イヤだよ!だってアイツはわかってるのに当事者の俺がわからずに聞くのってめっちゃダサいじゃん!)」


 そう、聞けない事情とはシンプルにダサいからである。


「(その点なら心配いらないわ。貴方はもう十分ダサイから)」


 ヒドい。君はもう少し遠慮というものを覚えた方がいいと思う。


「(そんなことを言わず頼むよぉ・・・・助けてあげた分の借りを返すつもりでさ?ねっ?)」


 俺はうるうるさせた可愛らしい瞳で上目遣いにお願いする。これを断ることが出来る男など存在しないだろう。

 黒髪の女は大きなため息を吐き、団長に視線を移す。


「ちょっとそこの貴方、団長さんっていったわね?説明がわかりにくいわ。もっとわかりやすく例えとかをまじえて教えなさい」


 コイツに任せたのは失敗だったかな・・・?こういう時は下手に出ないと・・・


「例え・・・か、・・・そうだな・・・・・・」


 え?教えてくれるの・・・?

 ・・・フッ、コイツに任せたのは正解だったな。俺は人を見る目には自信があるのだ。


「・・・あれだ。剣に血がついた時、振って飛ばすやつがあるだろ?コイツの先程の攻撃はあれに近いモノということだ」

「あーなるほど」

「む?」


 あっやべっ・・・口に出ちゃった・・・・・・素直過ぎるのも困ったものだな。


「ふ、ふん。その通りだ。俺の技はそういうものだ。よくわかったな、貴様は見込みがあるぞ」


 俺はすっごい偉そうにそう言う。


「貴方・・・・・・色々な意味ですごいわね・・・」


 後ろからの視線が少々痛いが、気にしないことにする。こういうのは気にするから痛いのであって気にしなければ痛くも痒くも・・・・・・やめて!そんな目で俺を見ないで!


「しかし貴様・・・・・・頭がおかしいのか?」

「え?」


 俺は突然団長さんから頭がおかしいと言われる。


「魔力を直接ぶつけて攻撃するなんて不可能だ。仮に出来たとしても人を殺せるどころか傷をつけることすら出来ないはずだ・・・・・・そもそも直接目で視ることが出来るほどの魔力なんて聞いたことがない・・・・・・貴様、本当に人間か?」


 どうやら俺は頭がおかしい上に人間じゃないらしい。

 なんで俺、こんなボロクソに言われてんだ・・・?・・・あっ。もしかして回想中のマイケルを殺っちゃったのを怒ってるのか・・・?あーなるほどね・・・・・・あれ?俺ってば、すんごい卑怯じゃね?さっきから卑怯なことしかしてなくね?・・・・・・まぁいいか。世の中勝てば良いってじいちゃんも言ってたし・・・・・・ここまで来たら手段なんてもうどうでもいいよね☆


「おい、団長さん。このままだと3対1だぜ?ここらでもう終わりにしねぇか?」

「・・・・・そうだな。このまま続けてもオレが勝てる可能性は低いだろう。・・・だが、ここに来るまでに何人も仲間がやられている。そんな状態でオレだけ逃げるわけにはいかない」


 ・・・なんかコイツ盗賊のくせにカッコ良くね?


「そっか・・・じゃあ、しょうがない・・・・・・そんじゃあ───く た ば れぇーーーッッ!!」


 そう叫びながら団長に向かって剣を振る。


「「「え?」」」


 その刹那、マイケルを殺った時と同じく、白く眩く光る何か──アイツの言うところの魔力による剣閃が団長を襲う。

 その瞬間、先程と同様に響き渡る衝撃音。

 それと同時に土埃が舞う。


「「・・・・・・えっ?・・・───えええええええええええええええーーーーーッッ!?」」


 それを見て叫ぶ王子と黒髪の女。元気そうでなにより。


「「ちょ、ちょっと何してるの!?」」


 すぐに2人が同時に俺に詰め寄ってくる。


「何してるって・・・アイツが俺の交渉をけったから──もうやっちゃってもいいかなって☆」

「いや・・・・・・・・・貴方はそれでいいの?」


 遠慮気味に黒髪の女が聞いてくる。

 ・・・確かに俺も、これはちょっとどうなんだって思った・・・でも!でも──


「・・・確かに俺も申し訳ないなぁとは思ったよ!けどさ、アイツなんか強そうだったじゃん!俺のよくわからん攻撃一発で見抜いてきたし!だから俺はここでやっといたほうがいいんじゃないかなって思ったの!俺の母ちゃんも後回しにするのはよくないって言ってたしぃ!!」


 俺は必死に言い訳する。───・・・あれ?なんで俺、こんな必死に言い訳してるんだろう・・・別に悪いことをしたわけではないのに・・・──むしろ良いことだよね・・・?


「そ、そう・・・ごめんなさい・・・・・・貴方に助けて貰ったのに変なこと言って・・・」

「いや・・・別に・・・気にしてないし・・・」


 嘘です。めっちゃ気にしてます。それはもう!

 気にしているがそれは言わない。何故なら気まずい空気にしたくないからな!

 ───うん!俺ってカッコいい!今日だけで何人もの人を助けたし!・・・・・・まあ、その代わりに何人もの人を殺したんだけど・・・・・・ハァ・・・


「「「・・・・・・」」」


 少し気まずい空気になる。


「ところで、団長さんは倒せたの?」


 そんな中、王子が大事なことを確認してくる。


「た、多分倒せたんじゃない?・・・多分・・・・・・」

「多分きっと倒せてるわよ・・・多分・・・・・」


 そんなことを話している内に徐々に土埃も晴れていく。


「・・・・・・やったのかな?」


 土埃が完全に晴れる前に王子が言ってはいけないことを言う。


「おいお前!そんなこと言っちゃたら───・・・ん?」


 やがて土埃が完全に晴れる。

 そこにはマイケルと同様に上半身と下半身が斜めに切断された団長が倒れていた。


「倒せてたな・・・」

「倒せてたね・・・」

「倒せてたわね・・・」


「「「・・・・・・・」」」


 沈黙する3人。


「「「ふぅー・・・」」」


 そして3人揃って息を吐く。


「「「・・・・・・」」」


 その後また沈黙する3人。


「・・・・・・なぁ・・・これからどうする?」


 団長の死亡が確認出来たため、話題をこれからのことへと変える。


「うーん・・・・・・とりあえず、野宿出来そうな場所を探そうか」

「それなら俺、いい場所知ってるぞ」

「ホントに!?」

「あぁ・・・・・・まぁ・・・ちょっと人死んでるけど・・・」

「「・・・・・・・・」」

「「は?」」



   ──VSマイケル編 完──


 

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