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ヒーローは空からやって来る。 〜仮面〜

 

 ダンッッ!


 俺はそれなりに音を立てて着地する。

 そして──


「・・・・・・・」


 しばらく沈黙する。


「「「・・・・・」」」

 

 その間、4人も突如現れた俺に驚いているのか沈黙する。

 

「お、おい・・・おまっ──」


 そんな中、いち早くマイケルが俺に声を掛けてきた。

 が。


「ちょっ、ちょっとタァァァ〜イムゥッ!!」

 

 マイケルの話を遮って俺は叫ぶ。


「え・・・? た、タイム・・・?」

「ウン!! い、今ッ足がッ、ジィ〜ンってしてるからッ!! あぁもう!! 昔、カッコつけてこれやってからもう二度飛び降りねぇーって神に誓ったのにぃぃぃ!! 俺のばかばかばかぁぁぁぁ〜〜〜!!」


 独り足を抑えてそう叫ぶ俺を、謎の未確認飛行物体を見るかのようなみんなの視線が痛い。

 だが、そんなことはどうでもいい!!

 何故ならシャレにならないぐらい痛いからだ!!

 そして約30秒後・・・・・・


「ふぅ・・・だいぶよくなった・・・ありがとう、待っててくれて」

「あ、あぁ・・・・・・お、お前はなんだ?」


 マイケルが遠慮気味に聞いてくる。


「『なんだお前は』って言われましても・・・・・・逆に何に見えます?」

「変態。」

「簡潔に述べるな。そういうシンプルな悪口が1番傷つくんだぞ・・・?」

「まあ、正直お前が誰かはどうでもいいんだよ」

「ねぇ話聞いてる・・・?」

「だが、見られたからには生かしてはおけないなぁ? 変態仮面とやら」

「俺が自分で名乗ったみたいに言うのやめてくんない? そんで勝手に仮面をつけるな。俺仮面なんてつけてないだろ?」

「それはアレだ。心の仮面的なアレだ」

「なんで初対面のお前にそんなこと言われなきゃなんねぇんだよ。お前に俺の何がわかるってんだ」

「変態だってこと」

「だからそれはもういいよ!! 十分わかったよ!! もういい!! そんなこと言うなら、俺帰る!!」


 俺はそう言って、踵を返し、立ち去る。


「「「「え? あ、うん。さようなら。」」」」


「引き止めろよぉ!? なに普通に見送っちゃってんの!?」


 俺はそう言って、再び踵を返し、舞い戻る。


「お前・・・ホントになんなんだよ・・・一体なにがしてぇんだよ・・・」

「それはこっちのセリフだバカ!!」

「バカ!?」

「そんな危ない刃物なんか持っちゃってさぁ!? ナニ考えてんだよ!?」

「いや、お前も持ってるだろ・・・」

「黙れバカ!!」

「黙れバカ!?」

「一応言っておくけど、別に剣なんか持ってたところで、お前はモテたりしねぇからな!? むしろ逆効果だからな!?」

「どーいう意味だよ!? わかんねえだろ!? 剣を持ってる姿がとぉ〜ってもワイルドでとぉ〜っても素敵ぃ♡ って、思う子がいるかもしれねえだろ!?」

「それ、なんかバカにされてね? というか、〝ワイルド〟って言葉自体、特に褒めるとこないヤツに建前で言うお情け褒め言葉だからな?」(個人の意見)

「うるせえ!! 顔しか褒めるとこねえお前に顔以外しか褒めるとこねえオレの気持ちなんてわかんねえよ!!」

「どーいう意味だよ!? なんで初対面のお前に中身の評価されなきゃいけねえんだ!?」

「・・・キミ達なんの話してるの・・・?」

「「はあ!? なんの話って、そりゃあお前・・・!! ・・・アレ・・・? (オレ)達なんの話してんだ・・・?」」


「「「・・・・・・」」」


「ま、まぁ、とにかく・・・俺はお前に用はねぇ。だからすっこんでろ。もう暗いし早くお家に帰れバカ。そして2度と出てくんなバカ」

「・・・え・・・?」

「俺が用があるのはこっち」


 そう言って、俺はやや引き気味でこちらを見ている金色のヤローと黒髪の女の方を向く。


「ぼ、ボクに何か用かな? ええっと・・・・・・変態くん」

「変態呼び定着しちゃったよ・・・・・・用の前にとりあえず変態呼びやめてくんない・・・?」

「じゃあなんて呼べば?」

「え? あー・・・そうだなぁ・・・じゃあ、すんごいイケメンで」

「わかった。ボクに何か用かな? 変態ナルシストくん」

「訊いといてそれはないんじゃないかなぁ!? 何がわかったの!?

全然わかってないじゃん!? せめて『ああああ』とかにしてくんない!?」

「すんごいテキトーだね・・・」

「『あああああ』だと呼びにくいから『あいうえお』でいい?」

「はいはい、もうなんでもいいから早く話を・・・」

「じゃあ変態で」

「なんでだよ!?」

「だって、なんでもいいって言ったじゃない」

「確かに言ったけど、それは違うだろぉ!? 悪口はやめて!! オレ、キズツク!!」

「なんでカタコト・・・?」

「じゃあ『ポチ』ならいい?」

「俺は実家で飼ってるイヌか!?」

「誰も実家で飼ってるイヌなんて言ってないわよ。叔母さん家で飼ってるネコよ」

「え? お前ネコに『ポチ』って名前付けてんの・・・?」

「・・・別にいいじゃない・・・ポチはポチって感じがするのよ・・・」

「そりゃあポチだからね」

「『ポチッ』って感じって、お前の飼ってるネコにはボタンでもついてんのか? だとしたら多分お前が飼ってるのはネコじゃねえ。ネコ型ロボットだ」

「ちゃんとれっきとしたネコよ!! 貴方にウチのポチの何がわかるの!?」

「いや、『ポチッ』って感じってとこ以外何もわからねぇけど・・・」

「なら余計な口挟まないでちょうだい!!」

「いや、余計な口を挟んだ覚えはねぇんだけど・・・・・・っていうか、お前、叔母さん家で狩ってるネコの名前俺に付けようとしてたの・・・?」

「・・・なに? 悪い?」

「いや、悪いとかじゃなくて・・・・・・ややこしくね・・・? ごっちゃにならない・・・?」

「大丈夫よ。叔母さん家のポチは『ネコ』でここのポチは『人間』だから」

「いや、そういう問題じゃなくてね・・・?」

「それともなに? ポチが気に食わないって言いたいの?」

「いや、そういうわけじゃないんだけど・・・なんかもうちょっと人間っぽい名前がいいなぁって思ったり思わなかったり・・・」

「ワガママね」

「言うほどかなぁ・・・?」

「そんなにワガママ言うなら自分で考えればいいじゃない」

「はいはい、わかったよ・・・」

「『はい』は1回」

「はぁい・・・。・・・そうだなぁ・・・じゃあ、上様でいいや」

「わかったわ。足軽」

「真逆じゃねえか!! 一体何がわかったんだよ!?」

「おいテメェら・・・さっきから呑気に話してるけど、自分達がピンチな状況にあることわかってんのか・・・?」

「わかってるよ!! ピンチなのをわかってるからこーして現実逃避してんだろーが!! バカなのか!?」

「そ、そこまで堂々と言われると反応に困るな・・・」

「ならお家に帰ってろ!! 俺はこの金色のヤローに用があんだよ!!」

「それはオレもだよ!!」

「そうなのか。じゃあすぐ済ませるね」

「うん。なるべく早くしてね? 絶対だよ? なんて言うわけねえだろ!? なんでお前が先なんだよ!? 順番を守れ!! 横入りすんな!! 常識だぞ!? そんなことも知らねえのか!?」

「山賊のくせに何言ってんの・・・?」

「山賊だからこそ言ってんだよ!! 横入りするのはオレ達の特権だからな!!」

「あっ、そう。じゃあ俺も今日から山賊になるわ。よろしくな、センパイ」

「ああ。わからないことがあったらなんでも訊いてくれ。力になるぞ。なんて言うわけねえだろ!?」

「いや、言ってんじゃん・・・」

「いいからお前は帰れ!! 邪魔なんだよ!!」

「俺、王子じゃないからちょっと・・・」

「さっきから気づいてないフリしてたけど、お前狙って言ってるだろ!? 『王子はお家に帰れ』発言イジってきてるだろ!?」

「うん。誰もイジってなかったから俺がやらねぇとって思って」

「なんだその使命感!?」

「というか、俺帰っていいの? 俺、お前の『王子はお家に帰れ』発言聞いちゃったんだよ? 見逃していいの?」

「確かに見逃したりしねえけど、理由そこじゃねえよ!!」

「なら、先譲ってくれてもいいだろ? どうせ俺もコイツらも殺すんだから。それとも何? 俺達殺せる自信ないの?」

「そんなわけないだろ!? いいよ!! 好きに話せ!! どんだけでも気が済むまで話しやがれ!!」

「それはありがたいんだけど、お前、そんなこと勝手に決めていいの・・・?」

「あっ。」


 そう一言漏らし、マイケルは恐る恐る横にいる団長を見る。

 すると。


「・・・好きにしろ」

「ホントいい上司だな」

「ああ。自慢の上司だ」

「俺もだ・・・」

「え?」


 なんだかその場はほっこりした空気に。

 なので、今のうちに俺は(頭が)金ピカ王子に話しかける。


「おい、黄金に光り輝く頭を持つお前」

「ボク・・・?」

「そう。ボク。アンタが王子様ってのはホントの話か?」

「そ、そうだけど・・・それがどうかしたの・・・?」

「そっかそっか! じゃあ勝手ながらアンタらに協力させてもらうけどいいか?」

「い、いいの・・・?」

「ああ! よし、これで大金は俺の──ゴホンッゴホンッ! ・・・・・・と、いうわけで、だ。マイケルに団長さん、ここからは俺が相手をしてやる」

「それは好きにすればいいと思うけど、話が急過ぎねえか?」

「人生ってのはそういうもんだよ」

「誰も人生の話はしてねぇよ・・・・・・ところでお前。ひとつ訊いていいか?」

「ひとつだけだぞ?」

「なんでお前、オレに対してそんなフレンドリーなんだ? 別に知り合いってわけじゃねぇだろ?」

「ふたつじゃねーか。約束と違うじゃねーか」

「いいから答えろ! ブッ殺すゾ!?」

「はい・・・・・・つっても大した理由はねぇけどな。ただお前のことをあの・・・・・・」

「あの?」

「・・・・・・」


 そういえば俺、お頭の名前知らないんだった・・・

 お頭について知ってることなんてハゲてることだけだし・・・・・・件のハゲとかで伝わるかな・・・?


「お、お前のことは・・・件のハゲから聞いてたからな・・・」

「なに!? お前、ジャクンソンの知り合いか!?」


 『件のハゲ』で伝わるのね・・・・・・なんなちょっと可哀想だな・・・・・・


「ふぅ〜ん・・・? なんだお前ら知り合いだったのか」

「まぁ、な・・・昔、ある出来事があって以来あってねえけどな・・・」

「ふぅ〜ん・・・? じゃあアイツが盗賊団の頭張ってることも知らねえの?」

「え・・・? 頭・・・? ハゲてたの間違いじゃなくて・・・?」

「いや、まぁ、確かにハゲてたけどそうじゃなくて、お前の友達の・・・ええっとなんだっけ? ワシントン君だっけ?」

「いや、ジョンソンだ。・・・いや、ちょっと待て・・・ジョンダクソン・・・・・・あ! プロダクションだ!」

「あー、そうそれ。そのプロテクション君はキミと違って盗賊団のボスやってたぞ〜?」

「なん・・・だと・・・? それは・・・ホントか・・・?」

「ウソ言ってどーすんだよ」

「た、確かにそうだな・・・・・・だが、まさかアイツが・・・・・・あの出来事の後なにをしていたかは知らなかったが、まさかそこまでの地位に昇っていたとは・・・・・・あの出来事があったのにも関わらず・・・・・・いや、あの出来事があったからこそなのか・・・・・・いやでも、あの出来事が───」


 何回言うんだよ。訊いてほしいのか? 絶対訊かねぇぞ? 絶対面倒くさいことになるし、そもそも興味ねぇし。


「ある出来事・・・?」


 あっ。

 俺は嫌な予感がしたためテキトーに流したが、気になってしまったのか金色に光り輝く頭を持つ王子が質問してしまう。


「ちょっ、おまっ、バカヤローっ!! 貴様ァ ナニを訊いているーっ!? ふざけるなーっ!! そんなこと訊いちまったら──」

「あの事件がおきたのは今みたい日差しが強く暑い日だった・・・」


 どこか昔を思い出すように夜空を見上げるマイケル。


「ほらぁ〜お前が余計なこと訊くから誰も興味ねぇ回想に入っちまったじゃねぇか!」

「ご、ごめん・・・ボクのせいで取り返しのつかないことになってしまって・・・・・・とりあえず腹を切ってお詫びます・・・」

「え・・・? ちょっ、や、やめろぉ!? こんなバカな理由で腹切りましたなんて知ったら親御さん悲しむぞ!? そして何より俺が悲しい!!」

「悲しんでくれるんだ・・・」

「ああ! 多分ずっと悪夢を見続ける!!」

「それは多分罪悪感だね」

「そもそもお前が死んだところで誰も喜ばねえよ!!」

「いや、今、目の前に喜びそうな人達がいるんですけど・・・」

「こ、コイツらはほら・・・ちょっとおかしいから!」

「どこが?」

「あ、頭が。」

「おいテメェ!? 部外者のくせに何好き勝手言ってくれてんだ!?」

「アナタはちょっと黙っててよ!! 今俺はこの子とこの先の人生に関わる大事な話をしてるんです!! 部外者のアナタは口を挟まないでちょうだい!!」

「・・・わ、悪かったな・・・・・・義母(かあ)さん・・・・・・」


 誰が義母(かあ)さんだ。


「・・・昔オレ達は、マイケルとプロダクション・・・略して、マイケル・プロダクションと呼ばれていて、近所でも有名なワルガキだったんだ・・・」

「・・・コイツさっき一瞬戻ってきてたよね? なんでまた当然のように回想に戻ってんの?」

「当時オレ達は、『後ろ歩き退会』という大会に出るため2人で練習をしていたんだ・・・」

「ダジャレじゃねーか!? お前ダジャレ好きだな!? そんで後ろばっか見てないで前見て歩けよバカ共!!」

「キミ、なかなかいいこと言うね」

「そりゃどうも!! それほどでもあるけど今それどころじゃないよねぇ!?」


 まあ、その言葉は受け売りなんだけど。


「オレ達はあの日も──」


 もういいや、面倒くせぇし・・・そういえば、さっき盗賊団と戦った(?)時、剣から白く光る何かを出してたとか言ってたな・・・・・・1回試しにやってみっか・・・・・・

 そんなわけで俺は剣を鞘から抜いて、10メートルほど離れた位置で過去回想しているマイケルに向かって剣を振る。


 ブン!


 ・・・・・・


 しかし何も起こらなかった・・・!

 ──あれ・・・? なんも起こんないじゃん・・・・・・どういうこと・・・? ・・・これ、またまたヤバい感じなのでは・・・? 1日に何回ヤバくなればいいんだよ・・・・・・仕方ない、ちょ〜っとかっこ悪いけど・・・・・・


「あのぉ〜、おふたりともまだ戦えます?」

「「・・・え?」」

「そん時オレはプロダイナマイトと──」


 助けに来といて頼ってくる俺に驚くふたり!!

 未だ回想中のマイケル!

 そしてそれを黙って聞く、世界でも類を見ないレベルの理想の上司こと、団長!


次回(やるかもしれないし、やらないかもしれない)予告  

   遂に明かされるマイケルとプロダクトの過去!

   ふたりの仲を引き裂いた原因とは?    




 

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