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謎に包まれたミカちゃん人形。その驚愕の正体は・・・・!?


「わざわざ言葉にしなくても、それぐらいはわかるわよ」


 どこか遠くを見つめながら昔を思い出すようにそう答えるアマネ。


「・・・・・・あなた・・・」


 その姿を見て俺は思わず呟く。

 そんな2人の姿はまるで・・・・・・


「──って、なにお互いの考えていることがわかっちゃう系仲良し夫婦みたい感じで言ってんの!? お前のはただの決めつけだろーがッ! お前が変なこと言うから俺も『あなた・・・』なんて呟いちまったじゃねぇか!」

「それ、奥さん役しかいなくない?」

「そもそも俺はこう見えて1年ぐらい前までは恋人いましたぁ! コ イ ビ トが!」


 俺はアリスのツッコミは聞かなかったことにして俺がモテるという証拠を提出する。


「シンジラレナイ、ジョーダン、ウソダメ」


 何故か片言で否定してくるアマネ。何故かはわからないが、ものすごく腹が立つ。


「ウソじゃないんだ。これは本当にあった話なんだ・・・・・・証拠もアリバイもある。これを覆すのはいくらお前でも無理だ」


 ちなみに証拠もアリバイもない。でも事実だ。本当に。シラカバに誓ってもいい。


「へェー、ソーナノ、ヨカッタワネ」


 先程は頑なに否定していたのに、今回は明後日の方を見ながらテキトーに肯定するアマネ。何故かはわからないが、ものすごく腹が立つ。殴りたい。この真顔。


「お〜い、どこ見て言ってんだ〜? カタコトになってるぞ〜? それに一応言っておくが嘘じゃないからな!? ミカちゃんって言うんだけどなぁ!」

「あら、そうなの? もしかしたらその子、私知ってるかも」

「・・・え? ウソ、だ──」

「本当よ。私の近所に住んでた子達がよく持って遊んでたもの」

「・・・念の為言っておくが、ミカちゃんは人形じゃねぇからな?」

「あら、そう・・・・・・で?いくら払ったの?」

「だからおもちゃ屋で買ったミカちゃん人形じゃねぇよ! それにお金払って付き合って貰ったわけでもないからな!?」

「お金を払ったわけではないということは──・・・なるほど。つまり目が覚めた時にはもう居なくなってたのね・・・可哀想に・・・・・・」

「夢の中の存在でも、夜逃げされたわけでもねぇよ!! なにが『なるほど。つまり・・・』だ!? なんにもわかってねぇし、わかろうとすらしてねぇじゃん!」


 一言に2つの意味を込めるという随分とハイレベルなディスり方をしてくるアマネ。なんかすんげぇムカつくぜ☆


「こうなりゃ仕方ねぇ。頑なに信じようとしないお前らに追加の証拠を提出してやる。よく聞けよ? ミカちゃんのイニシャルは『M・A』だ!」

「・・・・・・『M・A』・・・・・・逆から読むと『A・M』・・・ッ!? ま、まさか───ミカちゃんという名は偽名で本名は『午前』ちゃん・・・?」


 先程までとは別人のように真剣な表情で考察するアリス。

 だが、その答えは──


「やっぱお前バカだろ! 無駄に高度な推理してるけど最初に俺イニシャルって言ったよな!?」

「そう、イニシャルが『M・A』。そのことから考えると、ミカって子の名前は必然的に『ミカ=アンチ』だと推理することができるわ」


 そう推理したアマネの表情は自信に満ち溢れていた。

 だが、その答えは──


「やっぱお前もバカだろ! なんでミカちゃんがミカちゃんのアンチしてんだよ!? なにが〝必然的〟だ!バカにしやがって!もうちょっとマシなの思いつかなかったのか!?」

「そんなこと言われても・・・」

「そうよ。大体どっかの誰かさんの妄想に付き合わされる私達の気持ちが貴方にはわかるの?」

「お前達が俺の言ったことを何ひとつとして信じていないことがよくわかったよ!」

「すごいじゃない。よくわかったわね」


 やっべえ頭がどうにかなっちゃいそう☆

 俺はアマネの煽られたことにより顔が熱くなっていっていることを実感する。

 異性の言葉ひとつで顔が熱くなる。まさかこれが伝説の「あの人の言葉ひとつでわたしの顔面が熱湯にぶち込まれた茹でダコみたいになっちゃうよぅ♡」というヤツなのだろうか・・・───ということは、この腸が煮えくり返るような感情は恋心、なのか・・・!?


「そういうお前だって恋人とかいなさそうじゃん!」


 俺は自分の恋心(?)を確かめるためにアマネにさり気なく探りをいれる。決して煽られたことへの仕返しとかではない。


「そんなの当たり前じゃない。私に恋人はいない。だけどそれは作らないだけで作ろうと思えばいつでも作れるってだけよ」


 それが何か?と言わんばかりの表情で思春期のモテない男子みたいな言い訳をするアマネ。

 だが──コイツの場合、嘘ではない気がする。・・・むかつくけど。コイツ〝顔は〟いいからな・・・・・・〝顔は〟!


「ま、まぁ、俺もそんな感じだな。それに別れてからすぐに付き合ったりするのはなんか申し訳ないしぃ↑」


 若干声が裏返る。


「なんか思春期のモテない男の子みたいな言い訳ね」


 こ、コイツぅぅぅッ!!

 やっぱコイツに対して湧き上がるこの腸が煮えくり返るような感情は恋心なんて可愛いものではなかったんだ! そう、きっとこれは〝殺意〟だ! 殺意は本当にあったんだ!

 俺が今にも世界を滅ぼす大魔王へと覚醒しかけた時、救世主は現れた。


「ボクはサクマに恋人がいたって話、本当だと思うよ」

「あ、アリスぅぅ〜〜っ!」


 この時俺は確信した。アリスがとてもいい奴だと。


「この世界にはね、女の子がたくさんいるんだ。だから1人ぐらいは、サクマのことを好きになる子がいたって不思議じゃないでしょ?」

「あ、アリスくん?」

「確かにそうかも知れないわね・・・いくらサクマが相手でも1人ぐらいは、いたっておかしくないわよね・・・きっとそのミカって子は、女神様のような子だったに違いないわ。・・・・・・まぁ、その子とも結局別れたっぽいけど」


 この時俺は確信した。アリスがクソ野郎な奴だと。・・・ついでにアマネも。



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