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その女を舞台に上げるかどうかを決めるのは・・・ 〜 10 ⇨ 39 〜


「魔術を駆逐・・・? 何を言っているかはよくわからないけど、貴方には魔術が使えない代わりに、あの頭のおかしい攻撃があるからいいじゃない」


 黒髪の女が俺を慰めるような口調でそう言う。だが、残念ながら慰められている気は全くしない。むしろバカにしてきてるとしか思えない。クソッ! なんでや!


「その攻撃をみんなが頭おかしいって言うから他の攻撃手段を探してるんでしょうが!!」

「生姜・・・?」

「別にいいじゃない。貴方の頭のおかしい攻撃の方がまじゅちゅッ! ──・・・より・・・強いんだから・・・・・・」


「「・・・・・・」」


 黒髪の女は噛んだことを誤魔化すために最後まで見事言い切った。

 本来ならその頑張りを認めてスルーしてあげたいところだが・・・


「そうでちゅね・・・まじゅちゅなんかちゅかえなくても生きていけまちゅもんね・・・」


 俺はそんなに甘い男ではない。少々ビターなのだ。


「・・・その通りでちゅよ。でも、とりあえず貴方をブッコロしまちゅね?」


 黒髪の女は赤ちゃん言葉で言ってはいけないことを言い、薄っすらとした笑みを浮かべ──


「イッタッッ!!」


 俺のスネを蹴る。


「いっ↓たぁ↑いぃ〜↑なんか、けぇ↑らぁ↓れぇ↑たぁ↑〜」


 俺は4歳児ぐらいの子供特有の悲鳴(?)を上げる。本物の子供顔負けのいい音程だ。これは子役イケるんじゃないか?


「フフッ。コレは処分しましょう。それが世界の平和と安寧に繋がるわ」


 薄っすらと冷えた笑みを浮かべたまま、剣を抜こうとする黒髪の女。

 ・・・大丈夫だよね? 刺してきたりしないよね?


「まあまあ、2人とも落ち着いて・・・・・・まだ自己紹介すらしてないんだよ? ・・・それに彼はボク達の命の恩人だよ? ・・・・・・一応」


 王子様が俺達の仲裁をしてくれる。といっても、俺は悪くないので黒髪の女の暴走を止めてくれた、と言った方が正しい。

 だがまあ、その王子様の勇気に免じて、俺達はとりあえずその場に座る。


「じゃあまずはボクから自己紹介するね。ボクは、アリス=アンジェロ。年は17歳。この国、聖アンジェロ王国の王子・・・だったになるのかな・・・・・・もう王子じゃなくなっちゃったから・・・」


「「・・・・・・」」


 初っ端から話が重い・・・・・・空気まで少し重くなった気がする。

 それはともかく、金髪の美少年はアリスという名前らしい。


「へぇー? お前、随分かわいらしい名前してんだな」

「変かな・・・?」


 少し照れた様子で聞いてくる王子──もとい、アリス。かわいい。


「いーや、お前にぴったりだなと思っただけだから気にすんな」


 俺はそう言って笑う。

 するとアリスは、少し顔を赤くして「ありがとう」とお礼を言う。・・・少しかわいいと思ってしまった俺を殴りたい。

 ・・・・・・兄貴、俺は最初お前が「カワウィー男の娘なら余裕でいけるぜ☆」的なことを言った時、軽く引いちゃったけど、今ならお前の気持ちが少しわかるぜ・・・・・・


「ところで、そんなお前がなんで───・・・いや、そんなことはどうでもいいか。・・・じゃあ次、黒髪のアナタ。お願いします」

「私?」

「うん。」

「・・・私はアマネ=クルフォース。年は18でアリス・・・様の護衛として雇われた冒険者よ」

「普通にアリスでいいよ。もう王子じゃなくなっちゃったし・・・」

「・・・・・・わかったわ・・・」 


「「「・・・・・・」」」


「・・・はい、次は貴方の番よ」


 重くなった空気を変えるように俺に順番を回してくる。一発芸でもして空気を良くしてから回して欲しいものだ。


「えっ? お、俺ぇ〜? そうかそうかそんなに聞きたいか」

「いや、別に。」

「いや別に!? え!? 聞かなくていいの!?」

「「うん。」」

「うん!?」

「まぁ、キミが勝手に名乗るなら聞くけど、そこまでは別に・・・」

「自己紹介のこと勝手に名乗るって言うのやめてくんない?」

「それに貴方の自己紹介なんか聞かなくても、すでに貴方には『ポチ』って名前があるでしょう?」

「ねえよ!!」

「面倒くさいわね。言うなら言うでさっさと言いなさいよ。じゃなきゃ殴るわよ」


 変に勿体ぶる俺を(物理的に)急かす黒髪の女──もとい、アマネ。


「はい・・・すんません・・・・・・。じゃあ言うぞ? いいか? 聞いて驚け?」

「びっくりだわ」

「ねぇ話聞いてた? 聞いて驚けって言ったんだよ。ちゃんと聞いてから驚けよ。それと、やるならもうちょっと自然な演技をしろよ。そんなじゃあ、お前、舞台に上げてやれねぇよ?」

「いや、なんの話・・・? 誰目線・・・?」

「いいから早く名乗りなさいよ。名乗らないと『ポチ』って呼ぶわよ」

「はい・・・すんません・・・・・・ちゃんと名乗ります・・・・・・えーっと・・・俺の名前はサクマ・トーテンス。年は18歳だ。・・・・・・あっ、性別は元気な男の子です」

「「知ってる」」

 

 2人とも中々耳が早いようだ。やるな。


「ちなみに身長は180センチだ」

「「誰もそんなこと訊いてないし、興味ない」」

「ひどくね? というか、お前らなんか俺に対し当たりキツくね? 俺恩人だよ? サンキューのひとつやふたつないわけ?」

(さん)(きゅう)

「普通にサンキューって言えよ!?」

「だから言ったでしょ?」 

「お前が言ったのはサンキューじゃなくて(さん)(きゅう)だろ!? いくら王子っつっても年相応に捻くれてなぁ!?」

「年相応って、なに? どういう意味?」

「普通にありがとうでいいだろ!?」

「アリが10匹」

「いたらなんだよ!? それで『アリが10(とお)』とか言うつもりか!? しょーもねーよ!!」

「アリ()だけに」

「上手くねえよ!! アリの巣ならアリもっと多いわ!!」

「いや、そこなの・・・? の、前にアマネちゃん、それボクの台詞だよね・・・?」

「アリスだけに?」

「なんで!? 今のはボク(アリス)関係ないでしょ!?」

「アリスだけに」

「だから関係ないよね!? それ言いたいだけだよね!?」

「・・・・・そんなことより・・・・・・サクマって私と同い年だったのね・・・意外だわ・・・」


 俺の年齢を聞いて驚くアマネ。


「ほほぅ・・・? つまり俺が大人っぽく見えるってことか? もしくは若く見えたのか?」


 まあ、俺って若見えする上に大人っぽいからな。無理もない。


「ええ・・・・・・私はてっきり貴方は17歳だと思っていたから・・・・・・」


「「・・・・・・」」




 ──オマケ──

『成したいことがあるならば、しっかり計画を練るべし』



アリス「ところでサクマ、魔術を駆逐するって具体的にどうするつもりだ 

    ったの?」


サクマ「・・・・・・・・」


アリス「・・・・・・サクマ・・・?」


サクマ「・・・・・・駆逐してやるっ・・・!」


ア・ア(( ノープランだったんだ・・・ ))


 


 


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