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揺り籠、歓待を受けるが否定される

「アルフよ、あれが公都ジャーマンだ!良く目に焼き付けると良い!」

「おお〜」


タイラントサラブレッドをちょくちょく休ませながらも、十数日と言う期間で無事に公都ジャーマン前へとたどり着いた。

殿下に関しては交流を深める為にこっちの馬車に乗せたら気に入られて、現在はコーデリアとヨランダも一緒に外側からのジャーマンを眺めている。


「何だか不思議な雰囲気を感じるわよね、ヨランダのその服も私は見たことないし」

「建国の父たる召喚者ランマ様が伝えた文化と、こっちの文化が融合した結果らしいんよ」

「この独特で不思議な景観は、連合に所属する大小各国から高い評価を得ている!別の世界に紛れ込んだような感覚に興奮するとね!」


ランマが伝えた和の文化、それと西洋風の異世界カノスの文化の融合……それで和洋折衷な建物が並ぶ光景が生まれた理由(わけ)か。

門前の関所に来たので、殿下が顔を出すと。


「で、殿下!?」

「この度は大切な友人と共に来た、悪いが入らせて貰えるか?」

「はっ、どうぞ!」

「ありがとう!」


この様にスムーズな形で入れて貰えた、こう言う所は偉い人と一緒に来て助かる。

中に入るとまぁまぁいるわいるわ、着物や袴に羽織……大正浪漫だなこれ!

それでいながら獣人族や産人族もいて、西洋系の武器を腰から下げてる冒険者もいて、ファンタジーな所はちゃんとファンタジー。


「これは確かに別世界って言われると分かるな、実際故郷にこう言う文化があった時代も存在しますから」

「そうだったのか、逆に言えば既にそちらでは失われてしまったのかい?」

「重要な行事や儀式の時に着る事はある感じですね、普段着の様には着ない感じです」

「おお!何だか特別な物に昇華されているのだな、それも悪くないだろう!」


実際“大事に着る良い物”って扱われ方だから、特別で間違い無い。

文化の移り変わり方としてはプラスのあり方だな。


「だからヨランダも着物って言うのを着てたのね、他の人達に比べると崩れすぎてる気がするけど」

「この方が動きやすいし、お洒落の範疇やと思う取るんやけどねぇ」

「ボクは悪くないと思うぞ!うん!」

「流石殿下や、良う分かってはる!」


男目線だとあの凶器レベルのおっぱいを見せびらかす格好だから、殿下も眼福だと称賛するのだろうな。

やはりスケベ心は男子皆に共通して持つ境地……だが奥さん達には公の場で着て欲しくないのも、夫として持つべき独占欲と言う物がある。


「……アルフは私にこう言うの来て欲しい?」

「家限定ならな、魅力的なコーデリアを他の誰かにジロジロ見られたくないし」

「そ、そっかぁ!じゃあ今度ね!」


肩を抱くと、嬉しそうに寄り添うコーデリア。

俺も自分に着て欲しいんじゃないかと聞いてくれるの、良くわかってる……見てみたくは当然あるからね!


「……ウチも着崩し以外の服も、考えてみた方がええかなぁ?」

「ボクはキミの良さを引き出せる服装なら、どの様な物でも見てみたいが……」

「そ、そうなん!?なら考えてみるわ!」

「う、うむ」


この2人は俺が奥さん達とイチャつくのに影響受けて、ちょっとずつ互いへの意識を強めて来てるみたいだな。

てぇてぇじゃねぇか!

逆に言えばこれまで進展が無かった可能性がある、ならば是非とも今回ので仲良くしてくっついて欲しい!

俺は応援するぞ!


「あーおほん!アルフ、あそこが大公国立騎士学園だ!」

「あそこですか、城かってくらいデカいですね」

「それだけ学園には力を入れているからね、だからこそ対処出来ない問題があると(おおやけ)になるのは困るわけだがな!」


だからこそ強引に俺を巻き込む主因になったわけだな、あそこに臨時講師として向かう事になる。

とは言え今日明日の話じゃない、しっかり準備して臨むのだ。


「始まれば忙しくなるが、今日は公城で歓待の準備が出来ている!パーッといこうではないか!」

「なるほど、では喜んで」


今度は公族からの豪華なお食事、最近良いもの食いすぎてるな。

太らん様に状態異常で負荷かけておこう。





*************





「ベクター鉱山の件、そして息子の頼みを聞き届けていただき感謝を申し上げる」

「こちらとしても大変益のある話でしたので、そこまでお気になさらず」


歓待ではあるがクレイドル家と大公家の関係者のみの静かな形となった、そりゃあ詳らかに出来ない内容ばっかだからな。

今ご挨拶下さってるのがラファール・ド・ジンデル大公閣下、殿下づてで既に俺が召喚者である事は知っている。

黒髪である事が大公家直系の証らしく、彼もまたロングストレートの黒髪だ。

瞳は碧眼であり、殿下には大公妃の色が遺伝したらしい。

因みに服は灰色の着物に黒い羽織を纏っている、ぱっと見日本人や。


「アラクネを3体もテイムし、神器を用いずキングランクであるヨランダも決闘で負かしたとか!素晴らしい武勇ですね!」

「純粋な近接戦闘は妻たちの方が優れているでしょうが、私は搦め手で勝ちを拾いに行くタイプなので」

「神器に依存しない姿勢こそ、私は貴殿の強さだと思うぞ」

「ですよねアナタ!召喚者のゆかりある者の妻として、尊敬致しますわ!」


興奮して俺を褒め称えてくれてるのがブリトニー・ド・ジンデル大公妃だ。

真っ白な髪を編み込んで後ろでアップしてるヘアスタイルで、殿下と同じ赤い瞳をしている。

この人は自分が特別強くないからこそ強い人を尊敬するタイプな様で、話を聞く度に盛り上がってる。

落ち着いていて心から民が救われた事でホッとしていた優しい大公閣下と、武勇伝で盛り上がる大公妃だととことん妃似だよランデン殿下……公都行きの道中で俺が召喚されてからの話をキャッキャと聞いてたからな。


「あっ、姉君!待った!」

「ワタクシはその人が話に聞くほど強い人とは思えませんけどね!」

「ライラ!?」

「失礼ですわ、ライラ!」


おっと、急に乱入してきたぁ!

さっき紹介はされてたけど、余り俺に対していい顔をして無かったライラ・ド・ジンデル公女だ。

白髪赤目なのはブリトニー大公妃と同じだが、何もかもがデカい。

身長170cmあるし、胸も尻もデカい……同時に腹も。


「王侯貴族でもないのに妻を6人、婚約者1人いて女性型の魔物も沢山侍らせて!そんな男が強いとは思えませんわ!」


んー、なるほど!

まぁ彼女が言いたい事は分かった、女にデレデレする軟弱者は決して強くないのだと。

無論そう言う見方もある、でも……。


「姉君!実際にアラクネのテイムと、ヨランダの敗北は起こった!アルフは強いのだ!」

「神器が強いのであってこの男が強い訳ではない、それは当人も認めているではありませんか!その上で軟弱な人間性、ワタクシは絶対認めませんわ!」

「申し訳ない、息子と娘がこの様な……」

「いえいえ、多分向こうも議論が熱を上げてこうなったのだと……」


ランデン殿下が俺は強い、ライラ殿下が俺は強くないでヒートアップしたんだな。

ランデン殿下は俺と仲良くなってこれまでを知ってるから、そこを加味して強いと評価してくれたのだろう。

一方でライラ殿下が聞いたのは最近の事と現状だけ、それだとすんごい神器持ってるだけの女癖悪い男って印象になる。

……うん、俺ラッキーマン!


「ライラ!盛り上がるのは良いけど、人が嫌な気持ちになる言い方は止めなさいって言いましたでしょ!?謝りなさいませ!」

「母君は気に入った男に尻尾振り過ぎですわ!」

「なっ!」

「兎も角!臨時講師だかなんだか知りませんが、情けない様を見せたらワタクシが承知しませんわ!フン!」


ドスドスと明らかに不機嫌な足音を立てながら、ライラ殿下は去っていった。

とんでもねぇ圧だった、俺ワクワクすっぞ!

気になって周りを見てみると、明らかに沈んでいた。


「改めて、本当に申し訳ない」

「私が育て方を間違えたのかも、ごめんなさい」

「結果的に姉君を煽ったのはボクだ、すまない」

「気にしてませんよ、皆様方!」


俺は沈んだ大公家を盛り上げるのに必死だったが、他のクレイドル家の皆さんは公女をどう見返すか話し合っていた。

いいのよ、間違ってないんだからね!?

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