表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/70

揺り籠、アラクネをテイムする

「申し訳ありません、こちら現在関係者以外の立ち入りは……」

「これでどうでしょう?」

「ベレスフォード家の徽章!?も、申し訳ありません!どうぞ!」

「ありがとうございます」


閣下から貸してもらった徽章を、某時代劇の紋所みたいに翳してベクター鉱山への道に通して貰う。

周囲の人からするとただならぬ奴らがゾロゾロと鉱山に乗り込んでるからか、後ろでざわついている。


「誰だあいつら?」

「ベレスフォード家の徽章を出してたんだとよ、これはもしかしたら解決するかもしれんぞ!」

「でも相手はアラクネだろ?高名な冒険者じゃなさそうだし、キツくないか?」


まぁクイーンランク冒険者に上がってから世間的にも大した時間経ってないし、特別目立つ依頼のやり方してたわけでもない。

冒険者カードもベレスフォード家の方々だけだし、鉱山街の人達が俺達をクイーンランク冒険者だと知るよしもない。

だがその不安そうな状況から一変させてみせよう!


「鉱山内なら人目は気にしなくて良いな、ラミ!」

「明るくするし」


ラミが浮かんで坑道内を照らす、これは移動しやすい。

ダンジョン内だと人目を気にして、マップを頻繁に確認していた。

だがこのなら一度電脳探査(レーダー)情報解析(スキャン)のコンボ使えば、後は堂々と力使い放題で進める。


「右方向からアラクネの幼体が来てるな」

「了解!オレが対処するぜ!」

「ありがとうメリッサ」

「おう!」


アラクネが何処にいるかも分かってる、更に糸で張られた罠も筒内収納(ボトルストレージ)で回収する。

幼体が攻め寄せて来ても皆で冷静に対処出来る……ああ、どんどん殺されていくからアラクネカンカンですわ。

死体は決して無駄にせずに、回収して素材にしていく。


「しかし幼体は蜘蛛って感じで、人の部分ないな?」

「成体になると生えて来るんじゃない?」

「虫系だと幼体と成体で違う形態の魔物は、割と居ると思うぜ」

「なるほど、ナタリアさんそろそろ来るので左をお願いします」

「了解だ!」


チョウの芋虫とか、トンボのヤゴとかね……しかしアラクネのそれも一緒かは議論される所だろう、蛹作るなら完全変態で確定するが。


「あら、距離近付いてきたら糸だらけなのね」

「頂いていこう」


普通なら処理が大変で足止めをくらって、その間に幼体が一気に押し寄せて……の感じだろうけど。

糸は足止めとしてはあまり機能してないし、キミらが苦手な能力の()がいるんだなぁ。


「フィオナ、幼体がゾロゾロ来るからキンキンにしてしまえ!」

「キンキンだねお兄ちゃん!ソレーッ!」

『キュウイッ!!』


俺がサキを構えてスポスポ吸い込んでる間に、フィオナが背後から接近していた幼体達を氷魔法で殲滅していく。


「キャハハッ!人に迷惑かけたら退治されちゃうんだよ!」


経験者は語る。

後は糸も死体もホイホイ集めて、アラクネの下へ向かう。

何故なら幼体の反応が完全に無くなったから。

後は小型の成体が2体、大型の成体が1体いる。

せっかくなので3体とも確保しよう、出張要員みたいな動きが出来るだろうし。


「お前だな人間!幼い子達を殺ったのは!」

「かあさまが生んだ大事な子を!許さないわよ!」


小型の成体達、ちゃんと女性の上半身あるな。

髪も瞳も薄い紫色で目が複眼だったりしない、完璧にストレートショートヘアの10代後半の人間の姿をしている……上半身だけだが。

情報解析(スキャン)によると体高は1.5mで人の上半身が0.5mだから、合計2mくらいの高さだな。


「ふふふ……良くも良くもここまでこれた物だわ、人間風情が!!」


そして大型の成体、体高2.3mで上半身が0.7mの3mくらいか。

髪はロングの左右おさげ、20代前半の見た目をしている。

美しいが口元に見える牙は恐ろしく鋭い、まともに受ければ身体を持っていかれてしまうだろう。


「全員殺さずで!」

『了解!』

「私達を殺さず!?舐めるなよ人間共!」

「ならこっちは全員残さず殺してやる!」

「そうよ、仇だ!皆殺しにするわ!」


まず聖剣エルフを構えて血茨召喚(ローズ)を出して絡ませて大型の動きを止めつつ、生命力と魔力を吸い上げる。

同時に電脳干渉(ハッキング)水筒弱体(ボトルデバフ)のコンボで、麻痺と衰弱の状態異常を引き起こす。


「からだ、が……!」

「かあさま!?」

「よそ見してる場合かしら!」

「おのれ!!」


情報解析(スキャン)で小型は詠唱破棄がまだ出来ない為、出だしを接近戦で囲んで潰していく。

だがこのままでは詠唱破棄したクイーンランクの魔法が飛んでくる、ここでエルフの新技魔法具遺失(ロスト)を発動する。


「サイ、クロン!……は?」

「魔法が!?」

「どうして!?」


これは魔力を大きく消費して、指定した対象の発動した魔法または魔具を無効化する。

これで完全にイバラツルに全身絡みつかれて生命力と魔力を吸われるだけになってしまった、強いからこそ何もさせないのに限る。

また発動させて来ても無効化出来る様に、構えて奴を見据えて準備しておく。

魔法具遺失(ロスト)の強い点は相手が発動してるせいで魔力を消費する所だ、お陰で早く無効化できる。

はい、もう一回!


「何故、発動せん……!」

「お前には何もさせない、うっかりここに巣を作った事を悔いながら娘たちが負ける姿を見ていろ!」

「貴様……!貴、様ぁ……!」


もういっちょ、流石だ……魔力容量も高いんだな。

マジでここで良かった、制限ある環境下だったら負けてるよこんなの。


「せいっ!はぁあっ!!」

「きゃああっ!」

「ふっ!もらった!」

「そ、そんなぁッ!?」


近接戦闘による一対多でボコせるなら、こっちのもんだ。

2体の子アラクネも俺をどうにかすべきと分かってるけど、皆のガードが固くて近付けないみたいだからな。

残念ながら倒れ伏してしまった。


「ぐ、ぐぐぐ……!」


そして親アラクネの魔力が足りなくなったのを確認して血茨召喚(ローズ)を解除、生命力も大分吸われて麻痺と衰弱で動きが悪い。

それでも動いてくる辺り、アラクネはかなり強い。


「殺し、て……やる……!」

「良いのか?」

「……何?」


ここらへんでスカウト入ろう。

これ以上は瀕死になってしまうからな、契約どころでは無くなる。


「お前が抵抗すれば、残る娘達はこの場で死ぬことになるぞ」

「かあ、さま……」

「ごめんな、さい……」

「お、おおお……!」


剣を首元に突きつけられて、抵抗すれば殺すと圧をかけるコーデリアとデクスター。

さらにフィオナが後ろで氷魔法撃って「いつでも殺せる」と威嚇する。

殺意が抑えられて、代わりに命乞いへシフトする。


「たの、む……!娘を、殺さないで、くれ……!」

「ならば契約だ、お前たちを殺さない代わりに使い魔となってもらう」

「テイム、というやつ……か」


親アラクネは悩む、本当に俺のテイムを受けて良いのかと。

だがここで抵抗しても勝てないし、抵抗すれば娘が死ぬ。

ならば結局は選択肢は残されていなかった、と。


「分かった、わ……契約よ」

「ラミ」

「任せるし!」


電脳契約(コントラクト)を発動、親アラクネと子アラクネ2体と契約をした。

魂がラミを介して繋がり、彼女らの手に紋様が刻まれた。


「よし、これで契約完了だ……祝福完治(ヒール)!」


魔力消費を増やして、この場の全員を同時に回復した。

麻痺と衰弱はサキが切ってくれた、サンキュー!


「……本当に殺さないとはね」

「お前達が人間を殺したのは確かだ、だが大きな益を生み出せる存在でもある……だからあくまで俺の管理下で生きてもらう」

「「自分勝手だ!」」


分かるよ、あくまでも人間の都合で殺されかけて生かされた。

嫌な気持ちかもしれない、だがこれでもマシだと思う。


「生きたまま解剖、子供だけ取られて食品にされる、魔具の威力実験、相手を問わず性奉仕……」

「「……」」

「そんなテイマーじゃなくて良かったな」

「「もう口答えしません」」


分かってもらえて良かったよ!


「……さっき言ったのは本当に実例があるのか?」

「アラクネにするかは知らないが、倫理観欠如した奴ならそう言う事やりかねないな」

「お前は違うのだな」

「だって何のメリットもないし、それに味方の美人は大切にするよ」

「なるほど、分かりやすい」


ニヤリと笑みを浮かべる親アラクネ、さて名前をつけないとな。

……よし。


「君の名前はペアランだ」

「ふむ、良いだろう」


“ペア”レ“ン”ト+“アラ”クネ=ペアランって感じだな。


「そして左の娘がチャクネ、右の娘がラクターだ」

「名前かぁ、悪くないかも!」

「誰かから呼ばれる、と言うのも良いものだね」


“チャ”イルド+アラ“クネ”=チャクネ

ドー“ター”+ア“ラク”ネ=ラクター

である。

今回咄嗟の俺のネーミングセンスではこれが限界だった、3人が気に入ったのは幸い。


「最後にこれを飲んでもらう」

「拒否権はないのだろう?チャクネ、ラクター……飲むぞ」

「はい!」

「わかりました!」


段々と拒絶反応出なくなってきたな、これで聖杯恩賜(カリスグレイス)を終えた。

これで確実に俺に手が出せなくなった、代わりに強い奴が更に強くなる余地が生まれたわけだな。


「これで我々は仲間だ!よろしくなペアラン、チャクネ、ラクター!」

「仲間、か……ふふふ、よろしく頼む」

「我らも末永く、これからよろしくです!」

「どうか穏便によろしくお願い致します!」


後は報告すればOKだな、お前らが全力使えればこんなもんだよな!


『そうそう!じゃんじゃん働くよ!』

『前回途中からだった分、バリバリだし!』


改めてサキとラミがいてくれる事のありがたみを噛み締めながら、ベクター鉱山を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ