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未知な種族との遭遇

東に向かって大分経つ、ここらでサキとラミが先行して得てきた情報を確認してみよう。


ジンデル大公国はオリファント王国が異世界召喚する事によって来た、“ランマ”とクリスタルに呼ばれていた人物によって出来た国だ。

実際海に面していて、塩としても漁としても海運としても強いみたいだな。

それだけではなく鉱石や宝石でも有名で、ベクター鉱山と言う名の大きな鉱山もある。

そして公都であり最大の港があるレミントンには、30階層になる大型ダンジョンがあるらしい。

そう言う意味でもキングランク冒険者になるなら確実に向かうべき場所だった、と言えるだろう。


「あるふさま、ぎゅ〜ですの〜」

「フィオもフィオも〜!」

「ハイハイ」


また種族としては人族はもちろん獣人族もいて、もう一つの未知の種族“産人族(さんじんぞく)”が存在するらしい。

産人族は何かを作ったり、発明したり、素材を採取したりするらしい。

更に身体は皆小柄で力持ちで酒好きらしい……ドワーフじゃねぇか!

だが違う点として耳の形状が獣っぽいのに横から生えてたり、年食っても髭が生えなかったりとイメージと違う点も多い。

精人族の姿形がエルフ過ぎて、似て非なる種族と思うべきだと感じた。


『色んな種族がいるんだなぁ』

『産人族はこれでも人に近い容姿に“なってきた”らしいからね!』

『先祖は“聖獣”らしくて、人族から分かたれて進化した獣人族より更に獣って見た目だったらしいし!』


なん、だと……?

まず“聖獣”おんのか、“邪獣”なんて概念が最近出来たこの異世界カノスで。

そしてご先祖はより獣……いや、ケモノだったのだな。

熱くなるな。


『因みに聖獣はどんな見た目だったん?』

『キツネだよ!』

『モフモフだし!』


じゃあ産人族もそう言う耳の形状してるんだな、気にしておこう。


「ナンジ、善なる者からの助けを呼ぶ声を感知した」

「サキとラミ!マップを!」

「「了解!」」


マップから情報を拾う……いきなり産人族だ!

襲われてるのも襲ってるのも産人族、とにかく助けないとな!


「全速前進だ!」

「ヒヒィンッ!」


速力を上げて向かう俺達、見えてきたな!

何か装飾の凝った綺麗な馬車が襲われてて、周りの奴らは見るからに盗賊だな。

もう少しでベクター鉱山って辺りで襲うのは、随分と大胆な犯行だ!


「全員殺さないし殺させるな!」

『おう!』「おー」


馬車から飛び出すと盗賊達を抑えにかかる、護衛と見られる者達は頑張っているが1人突破して馬車の扉を開けにかかってる!

これはエルフの技を見せる時!

肉体強化(ブースト)ですっ飛んで、一瞬自立機動使ってフワリと馬車の上に降りると……。


聖剣結界(フィールド)!」

「承知した」

「ぐおっ!?」


聖剣結界(フィールド)とは魔力を継続的に消費する事により、一定距離の結界を築いて契約者が外敵と判断した者を通さず、結界内での治癒と浄化を行う。

祝福完治(ヒール)と違うのは、治癒も浄化もある程度時間が掛かることか。

盗賊の処理は他メンバーで事足りるみたいだから、傷ついた護衛を結界に引き入れて回復させてやる。


「大丈夫か?」

「か、かたじけない」


傷が癒えた頃には、盗賊は気絶して全員縛られていた。

俺らの馬車はデクスターとドロシーが見てくれていた、仕事が早くて助かる。


「これ程の実力、只者ではありますまい」

「貴殿らは一体……?」


護衛の方々も立場的には下級騎士くらいありそう、ここは背筋正して対応しよう。


「これは申し遅れた、クイーンランク冒険者のアルフ・クレイドルと申します」

『クイーンランク冒険者!?』


驚いている、話聞く限り珍しくはないと思うが……。


「失礼!てっきり“最近有名な”キングランク冒険者かと……」

「そうだった場合対応を間違えますと、酷い目にあいかねないですからな」

「そんな奴がいるんですか」


情報として見てたのは地理やら種族がどうので、最近のニュース的な部分には触れてなかったからな。

後で見ておこう。

あっ後ろで一人抜けて馬車に近づきお話してる、戻ってきた。


「冒険者アルフ殿、我らがお仕えしているお嬢様が是非ご挨拶したいとの事で……」

「そうですか、分かりました」

「ありがとうございます!」


俺からすれば未知の種族、仲良くしてみたい。

ましてお嬢様って事は貴族、どんな娘か興味ある。


「アルフの癖が出るわよ」

「絶対そうなる気がします」

「御主人様だからなぁ〜」


こら、聞こえてるぞ!

別に癖って訳じゃなくて、仲良くなって結果そうなってしまっているだけなんだ!

俺は悪くねぇ!

ともかく俺は気を取り直して、馬車の中に入った。


「失礼しますね」

「は、はい……!」

「────ワオ」


その中には……骨格的にはヒトだが地肌が見当たらずモフモフで、尻尾も生えてる産人族がいた。

銀髪ロングツインテールの銀目で、白いドレスを着た彼女は凄く緊張した面持ちでこちらを見ている。


「シェリル・ド・ベレスフォードと言います!……そ、その……不躾で失礼なお願いなのですが……!」


お、落ち着け……落ち着いて彼女を見てみろ。

どうやら一大決心を抱いて俺に話しかけているように思える、ちゃんと真剣に向き合おう。


「はい」

「ど、どうか……我がベレスフォード伯爵家が管理するベクター鉱山をお救い下さいませんでしょうか!」


ほう。

ベクター鉱山を管理、所有権を持つ上級貴族の娘さんか。

国にとっても重要な案件で────。


「も、もしお救いいただけたら……私を差し上げます!!」


────えっっっっっっ!!!





───────────





アルフが混乱している一方でベクター鉱山の奥では、大きな影が蠢いていた。

それらの正体は……蜘蛛であった。


「我が子供達よ、大きく育て……獲物は沢山いるからな」


虫の魔物としては高位の存在と言えるアラクネ、彼女はこの鉱山を自分たちの根城とする事に決めてしまった。

結果鉱夫として入った人間は尽くが絡め取られて、数多の者たちがアラクネの子供の餌食となってしまった。

それを危険としてベクター鉱山は一時閉鎖をし、高ランクの冒険者に依頼をしているものの中々受けて貰えていない。

いや、“キングランク”が約1名いたが……追加報酬として要求したものが伯爵には受け入れられず、結果誰もアラクネを退治しない。


「しかし最近中に入って来ぬな、いっそこちらから攫ってこようか」


手をこまねいている内に、彼女が鉱山街に襲撃をかけて地獄絵図を作るのも時間の問題である……いや、だった。

アラクネは知らない、常識の埒外の存在が今迫っている事を。

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