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キングは東にあり

「と言うことでウチのパーティは、近い内にジンデル大公国に向かおうかと」


今日はデズモンド邸でウォルターさんとお話中。

キングランクへの昇格の為に3カ国の推薦が必要である為、大精霊クリスタルから話を聞いたジンデル大公国に行く事にしたのだ。


「ジンデル大公国へねぇ、新婚旅行みてぇなもんだな!」


そして結果返ってきた言葉である……信頼されてるんだろうけど、当人としては決して油断出来ない。


「前回と違って突破口がはっきりしてない分、1番難関ですよ?」

「言いてぇ事は分かるがアルフならあの国から認められるデケェ事をやり遂げるだろうさ、良くも悪くも引き寄せるものを持ってるからな!」


そんな探偵漫画の主人公じゃあるまいし……いや、オリファント王国もハートリー王国もトラブルあったな。

変態助祭(ザカリー)怪物薬師(ブライズ)の話な、どっちももれなく“邪獣”関連だ。

これ間接的に俺が呪われてるだろ、まぁ一般論でね。


「問題ないのが1番ですが、確かに何かしら起きる可能性は否めなくなっちまいました」

「難儀だなぁ、だがそれを追い風に変えられるのがアルフの強みだ!ベティの事もよろしく頼むぜ!」

「もちろんですよ、大事な妻ですから」

「それが聞けて安心だ!ガッハッハッハッ!」


親心的にはそこが気になるよね、沢山愛してる……愛されてるから大丈夫、親っさん。

そこにジェーンさんが苦笑しながらやって来た。


「この人最近は孫はまだかってばかりなのよね、コーデリアさんが最初だからまだ早いと言ってるんですけど」

「だってよぉ!アルフとベティの子供だぞ!?ぜってぇ面白い子に決まってる!」


面白さ基準!?

まぁそれだけじゃ無いだろうけどね、孫を見たいのは子が結婚した親の特権よな。

結局ここで分かると思うが、あの日の避妊で誰とも子供は出来てない、運がいいのか悪いのか。

ただサキは不妊じゃないから大丈夫って言うから、俺も皆も安心できる。


「ただいま!」

「おかえりなさいませ、旦那様」

「皆は?」

「食堂へ、出立の段取りを話されています」


話し終えて屋敷に帰るとドロシーが出迎えてくれた、2ヶ月以上いるんだから馴染むよな。

言われた通り食堂へ向かうと、皆で賑やかに菓子を口に運びながら話し込んでいる。


「ジンデル大公国は東端、つまり海があるわ!」

「サキさんに頼んで水着は作ってもらってますから、全員ばっちりでしょう」

「御主人様を悩殺する、大事!」

「アルフくんは私の水着、気に入ってくれるかなぁ?」

「大丈夫だって!アルはオレ達皆別け隔てなく喜んでくれるからな!」

「そうそう、後はこっちの身体づくりがしっかり出来てるかで────」


海の話題一色で草、ワカメ生える。

恐らくデクスターはこの話題に転換してから黙って聞いてるだろうし、俺もさっさと参加しよう。


「ただいま!」

『おかえりなさい!』


挨拶から早々に席へ座ると、本来やってたであろう話に戻した。


「とりあえず段取りとしては、以前みたいにドレイク商会の支援はないからクレイドル家として全部準備しなくちゃならない」

「そうそう!だからポールダンジョンで馬をテイムして、サキが作った馬車で行くのが良いと思うわ!」


移動に関してはそれだよな、自立機動で空飛んで移動はいかんからな。

ただ俺達が用意出来る最大限高い能力を持つ移動手段を用いる、これなら大丈夫だろう。

ドレイク商会の物でも少しお尻痛かったし、ここはこだわりたい。


「道中の衣食住もアルフさんがいれば大丈夫です、問題は我々が出ている間の屋敷の管理です」

「ドロシーは連れていきたいから、別枠でやるサーヴァントでもテイムしてくるか」

「そうだね!」

「えっ」


どうした、デクスター?

ドロシーはお留守番だとでも思っていたのか?

ちゃんと水着も用意してあるからな、あんたも楽しむんだよ!


「ドロシーさんの、水着……!」

「デクスター様、どうかしましたか?」

「いえげっふん!大丈夫ですぞ!」

「そうですか、わかりました」


あれだけ時間あったのにやはり距離は何となく近くなったかも?くらいである、頑張って!


「と言う理由でテイムをあちこちやって来よう!」

『おー!』


とりあえず段取り、その方針は決まった。

さぁ、始めよう!





*************





1週間後、屋敷の前に3台の馬車が用意出来た。

魔物の素材を加工して作ってあるし、揺れを軽減する為にスプリング等も付けてある。

栄養添加で作ったタイヤで、悪路も安心。

ポールダンジョン10層の“タイラントサラブレッド”って言う馬型の魔物もテイムしてきた、ムキムキなのに速くて強い馬だ。


「全員、屋敷の事は任せます」

「くれぐれもクレイドル家の事を、よろしくお願いします」

『はっ!』


侍従長となったデクスターと侍女長となったドロシー、男女3人ずつ軽く指導して屋敷の管理を任せる事に。

侍従は金髪青目のビル、黒髪茶目のボブ、茶髪赤目のダン。

侍女は赤髪黒目のエマ、白髪青目のミア、藍髪藍目のヘラ。

全員聖杯恩賜(カリスグレイス)を終わらせてるし、帰る頃にはジャックやジョンみたいにより成長してるだろう。


「今回は僕も見送る側になったな、親友」

「流石に商会が無い場所だし、取引もないなら仕方ないだろうさ」

「クククッ、違いない」


前回はハートリー王国支部があってそっちの用があると言う建前で一緒だったが、ジンデル大公国に関して彼はノータッチだ。

それでも見送りくらいはと来てくれた。


「あれなら向こうで良い女性と会えたら紹介するわ」

「えっ、いや別に……」

「それに商会をジンデル側に広げるきっかけになるかもしれないだろ?」

「むぅ……まぁ、いればの話だろ」


はい、フラグ立ちました。

絶対見つけてやるぜ!


「今度はジンデル大公国ですか、また面白いお話聞かせてくださいよ!」

「そろそろドナルドとのいい報告させれもらいますから、次会う時までに!」

「えっ」

「頑張れ、ドナルド!」

「う、うっす!」


腕も上がって大分安定して稼げてきてるからな、二人共。

次会った時は家買って夫婦になってる可能性は全然ある、全てはドナルド君の甲斐性にかかっている。


「ベティ、折角だから思い切り楽しんできなさい」

「アルフがいる時点でお前らが深刻な事にはならねぇ、だから信じて送り出せるんだ……行って来い!」

「ありがとう!ママ!パパ!」


最後にデズモンド家の夫婦からお見送り、ベティさんも抱き合っている。

大丈夫だと思ってても、やっぱりいざってなると心配になる。


「それでは、行ってきます!」

「行ってきまぁす!」

「おう!元気に帰ってこいよ!」

「帰りは連絡、お願いしますね」


前みたいに手紙じゃなくて、侍従か侍女のどちらかに連絡してから向こう伝える形に出来るからな。

これならより早く正確に伝えられる。

エイブにもお相手見つかったら写真送るつもりだしな。


「よし、出てくれ」

「ブルルッ」


御者無しでも勝手に判断して向かってくれる、名前の割に知性が凄く高くて頼もしい馬だ。

見送り組に対して手を振り返す、目指すは東の大公国だ!

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