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里立て直しと宴会

セドリック里長と共に手の空いてる精人族達を募った俺は、元ブライズの隠れ家へ向かった。

何故ならそこには呪いを生み出す為に攫って痛めつけてきた、老若男女問わず大人数の精人族が囚われとなっていたからだ。

死なせない為に最低限の管理をしていただけで、大多数が衰弱していて可哀想だった。

勿論だが中には攫われたばかりなのか元気な人もいて……。


「あの女はヤバい!今すぐ殺すべきだ!」


と里長に力強く勧めてきた。

しかし至って冷静に。


「どれだけ犠牲が出たと思っている、安易に殺すだけで済ます筈がない」

「え?」

「それにハートリー王国から裁定にかけられる予定だ、我々が私刑にかけたとなると親交の正常化にどれだけ時間がかかることか……」

「な、なるほど……」


理路整然と諭す。

気持ちは分かるが、やった事に対して死だけでは釣り合いが取れないレベルだ。

ここは飲み込んで貰おう。

また囚われだったのは魔物も同様であり、邪獣も見方を変えれば被害者だった。

祝福完治(ヒール)をかけて、森に放してやると一度だけ振り返ってから無事去るのを確認。

ブライズの様々な研究資料は確かな物的証拠となる、筒内収納(ボトルストレージ)にしっかり保管しておく。

里に帰ってきたが、そこでセドリック里長から相談を受けた。


「元々シャーウッドの里とは関わりのない別のコミュニティの者が殆どで、受け入れるには建物が少なすぎるのが現状なのです」

「あっ、受け入れ望まれてる感じです?」

「ええ、ここならより安全であると感じたそうです」

「100人以上いましたから、流石に厳しいですよね」


里の家屋も邪獣に潰されて数がギリギリだったから、これも当然の結果だわ。

かと言って怖い思いをした外の精人族達の気持ちも分かるし、そんな人らをそこらに寝させるのも気の毒だ。


「分かりました、何とかしましょう」

「もしかしたらアユム殿ならばと半ばダメもとだったのですが、何とかなるのですかな!?」

「これでも召喚者です、やれる手立てはありますよ」


そう、俺の相棒がいるならな!


『任せてよ!マスター!』


おっ何だサキ、嬉しそうじゃねぇかよ。


『ボク向けの仕事だからね!暫く動けなかった分、マスターの為に役立ちたいもんね!』

『うん、好き』

『……知ってるもん』


愛いやつめ、ハハッ!


「いくら神器ったって、そんな事本当に出来んのかい?」

「コラ!勝手に動くな!そしてアユに近づくな!」

「そうだ!言う事聞かねえと伸すぞ!」


おっと目が覚めたのかブライズ、拘束されても構わずこっちに来るとは良い根性している。

それとももう色々諦めてしまっているのか。


「そんなに気になるならついて来てみるか?」

「アユ!?」「アユムくん!?」


すまないメリッサ、ナタリアさん。

仕事ちゃんとやってくれてたのに、後で幾らでも詫びするから。


「……良いのかい?」

「理解してるんだろ?お前が作り上げ、最強だと確信した物が敗北した事を」

「────ッ!……ああ、ここにいた時点でね」


自分が生きててこの状況ならそりゃあ分かるわな、そして俺が召喚者と言ったのを聞いて出てきた。

真正面からじゃ無理なのは明白、だから神器を持つ召喚者がいたならそいつが倒したと踏んだと。


「別に俺だけでどうにか出来た訳ではない、だが大きな役割は果たせたと思う」

「へぇ、割と謙虚な発言じゃないか」

「事実だからな、でも気になるなら見せてやる……それで納得して大人しくしろ」

「……分かったよ」


凄んだら拘束された両手を上げて、降伏の意を示した。

本当に諦めてるみたいだな、とりあえず暴れる心配はなくて安心かな。


「って訳でコイツも見学で」

「本当に大丈夫ですかな?」

「何があっても責任取りますよ」

「我らを救った勇者だ、信じてますよ」


と言う訳でサキの力でシャーウッドの里を立て直して、ブライズの前で復興に向かう様を見せつけてやろう作戦開始!

……なげぇな。





*************





「よし置けた、アンタら夫婦の希望通りの家屋のつもりだが大丈夫か?」

「「大丈夫です!ありがとうございます!」」

「おお……!」

「嘘、だろ……?」

「さっすがアユだぜ!」

「やる事が豪快だな!」


簡単で素敵な家屋の作り方!

まず電脳探査(レーダー)情報解析(スキャン)の合わせ技で、建材に適した木を探しておきます!

それを聖剣エルフで切って収納、筒内工房(ボトルワークス)で木材への加工→家具の作成。

石系素材に関しては魔物の素材であるから、それを石材に加工してから木材と共に家屋に!

後は希望の配置にして完成!

ねっ、簡単でしょ!?


「次そっちの人ね?」

「お願いします!」


既に新しくシャーウッドの里に住む精人族は、素直に話聞く状態になっている。

神器にはほんの少しだが神の力が入ってる、だからそれが起こす現象は奇跡にほど近い。

将来魔具でこれの再現しようとしても、出来る魔物の素材があるのだろうか?

竜王とか?


「何てデタラメなんだい、こんなのどうしようもないじゃないか」

「あくまで力の一端だし、まだ成長するって言ったら?」

「あー無理だ無理だ、神の奇跡とかどうひっくり返せるってんだ!」


実は霊霧と言う弱点はあるけど、これもいつか越えて見せる。

きっとサキとラミとなら、それが出来るはずだ。


『ボク達はマスターの為ならどこまでだって!』

『神器は成長するのだ!いや、してみせるし!』


そうこうしてたら新しい精人族全員分家屋の配置は済んだ、後は……。


「里長、滞在様に屋敷作って置いても良いですかね?」

「勿論!ここまでやっていただいたのだ、好きに置いてくだされ!」


許可ゲットだぜ!

ならハートリー王国方面の外側に……ほい!


「アユム何かやってると思ったら、屋敷を建ててたのね!」

「里の中なら隠さず堂々と神器使えるからな」

「あたらしいおうちですの〜」


仲間達もワイワイやって来た。

こっちだと呪いの浄化とか、ハートリー王国側が迎える準備が終わるとか……やる事終わるまでは、ここでのんびり滞在だ。


「お前もここだ」

「はっ、そうかい!まぁ、精人族の家にいるよりかは気楽かね」


ブライズを収容する部屋も作っておいたし、来たる時までこっちで管理しよう。


「元々エイブラハムは屋敷に入るんですが、ナタリアさんもこっちでお願いします」

「分かった、引き続きブライズを監視した方が良いかい?」

「そこまで本腰入れなくても大丈夫ですよ、メリッサとの時間だって必要でしょ?」

「アンタそこまで考えて……ありがとな」

「アユ……!」


やっと再会出来たんだ、2人でゆっくりする時間も取ってほしい。

そして……。


「メリッサも屋敷にどうだ?」

「良いのか!?」

「そりゃあまぁ、想いは告げられたんだ……責任は取るよ」

「────ああぁ!もう好きだぁ!!」


思い切り抱きしめ合う、俺だってメリッサの事は好きだったしな……避妊出来る様になったんだから、恋人相応の事してあげたい。


「その屋敷には私も良いのだろうか?」


来たな、アルバータ姫。


「もちろんです、アリスもいますし」

「それはそうだが、私が何かするかもしれんぞ?」


言ってくれる!

だが力を取り戻した男アユム、決して引かぬ!媚びぬ!


「その時はその時ですよ」

「なるほど、言質はもらったぞ?」

「え?」


(かえり)みず、悠々と屋敷に入っていったが?

俺はとんでもないやらかしを……?

目覚めたのか、姫騎士が。


「お、おもしれぇ……負けないぞ!」

「アユ、何か震えてるけど大丈夫か?お、オレ重いのか?」

「メリッサは寧ろ軽い、この震えは……武者震いさ!」

「男らしくて好感は持つけど、無茶するなよ?」

「はっ、召喚者も女には弱いのかい!」


気合を入れ直してメリッサをお姫様抱っこして、ナタリアさんがブライズを連れて共に中に入った。





*************





「それでは!今回の件、実質解決を祝って!」

『乾杯!』


現在シャーウッドの屋敷では宴会の様相を呈していた。

メンツは俺とパーティメンバー、エイブラハム、ナタリアさん、メリッサ、アルバータ姫、大精霊クリスタル。

大精霊クリスタルに関しては、マジでいつの間にかいた。 


「宴と聞いたデス」


と誰も呼んでないのに堂々と混ざってきたからな。

まぁ働いてもいたのだし、飲み方からして酒好きみたいだから楽しんでもらうか。


「母ちゃん、オレ今日……大人になってくるぜ」

「アユムくん経験豊富そうだから安心して委ねられるんだろうなぁ……正直、羨ましい」


もう酔ってるよアレ、話題がさぁ。

と言うかナタリアさんは余り良い初体験じゃなかったみたいだな、相手がアレだったのもあるが。


「メリッサは確定でしょう、アユムさんがそのつもりでしたから」 

「そうなるとナタリアさんもその気あるでしょ?優秀な人だし、押して仲間になってほしいわね」

「姉上も本気で狙ってるよ、御主人様的にも満更では無いと思う」


メンバーの女性陣は既にその手の話に移行している、と言うかナタリアさんは良いのか?

ドレイク商会からの引き抜きだし、そう言う意味なら親子でだしでとんでもなくないか?

そしてやっぱり俺は姫に本気で狙われてる……?


「ところでデクスターは女を作らないのか?」

「えっ、私がですかな?しかし私はお嬢様にお仕えする身ですから……」

「この(なり)で若いから、絶対奥手なだけデス」

「なっ!?」

「ほう、結構図星だな?その気になれば相手を作れそうだな」

「う、うぅむぅ……」


おお、あのデクスターさんが押し込められている!?

と言うかあの人の恋愛話は聞かないからな、もし恋人出来たら祝福したいが……。


「それを言うならエイブ殿はいかがですかな?商会長ならば縁談も如何様にも」

「それなデス」

「いや僕は仕事一筋……」

「コイツも奥手デス」


親友!?

デクスターさんは割りかしイメージ通りだけど、君もなの!?

実は女好きなアルフを気に入ってるのは、憧れあるとか……。

お前の血は残すべきだ、いつか良い縁を紹介しよう。


「おやおや、1人じゃないか」

「どうも、アルバータ姫」


ズイッとやって来るこの人、距離感の詰め方が大胆に過ぎる。


「……それが気になっていた、呼び捨てが良いぞ」

「姫呼びはお好きでない?」

「私的な場では敬語もな、無論相手によるが」


つまり俺には姫呼びも敬語も嫌だと。

まぁ、彼女がそう言うなら。


「分かったよ、アルバータ」

「……」


無言で手を重ねられた!?

ってかこう言うアプローチしてきた相手、今までいなかったな!?

他の皆は─────。


「むにゃ……アユ……」

「ん、ねむ……」

「なぁんか、ひさかたぶりにぃ、よって……へへっ」

「えれなはだらしないわねぇっ!もういっぱいくらい!」

「……おいし」

「だからデクスターが……」

「いえいえエイブ殿がですな……」

「どっちもどっちデス」


潰れてるか、酔っ払ってるか、討論しとる。

完全に2人きりのムード入ってる。


「私は20歳、適齢期だ」

「ほう」


ピッチピチに若いけど異世界カノス基準ならそうなるのか……。


「魔剣ルーティスを扱える将軍職として場に出ることもあったから、縁談は避けられてきた……しかしリーデン帝国との戦いも無くなった以上、その時は迫ってきた」

「……政略結婚、か」

「ああ」


無論それが不幸とは思わない、もしかしたら良い相手と結ばれるかもしれないからな。

だが彼女はそれを望んでないんだな。


「もちろんオリファント王国の為になるならその身を捧げる覚悟はあった、だが……君を知ってしまった」

「俺を?」

「かつてオリファント王国の召喚者が英雄として名を馳せた伝説がある、そんな人物と同じ……いやそれ以上の存在だと、アユムから感じている」


そこまで評価されるとこそばゆい物を感じるが、悪い気はしない。


「それにあの時駆けつけて、私を癒やし共に肩を並べて戦ってくれた……どれだけ心踊って君を強く意識したか、分かるか?」

「その度合いに関しては……だが戦場で見た姫騎士と再会出来たと理解した時は、正直嬉しかった」

「やはり、戦場で暴れていたのはアユムだったのだな!」

「仲間も一緒だったけど、確かにそう……もう一人の召喚者だったアイツを追い込んだ、強くて美しいアルバータの姿を見た」


瞬間、唇を奪われた。


「避けないんだな?」

「強く求められてるって理解したからな、なら俺もアルバータに応えようって」

「ふふっ……君の部屋に行こう、メリッサには悪いが意識したのは私の方が先だったからな」

「分かった、酔ってない?」

「大した量飲んでないし、それに昔から強いんだ」


普段の凛とした彼女がニコリと微笑む、凄く女って感じがして喉がなった。


───────────


姫騎士は今宵1人の女となった、ただ心惹かれた男と身体を重ねる。


今までに味わった事の無い悦びと熱に浮かされながら、彼女はこの幸せを絶対に掴むと決めた。

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