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クズの崩壊

まさか皆と合流出来たその瞬間に、封印が解かれて全員集合出来るとは。

読めなかった、この(つつ)のアユムの目を持ってしてもしても!

だが正直ナイスタイミングと思わざるをえない!


「メイナードの奴は、確実に口を割らせられそうです」

「あの乱心したアイツをどうにか出来るのですね、アユム殿……頼みます」

「任されました」


メリッサとナタリアさんの為にも、罪を償わせなければならない。


「アユ!」

「アユム君、話は聞いたよ!メリッサが世話になったね!……あのクズをどうにかしてくれるんだな?」

「こちらも世話になってますナタリアさん、クズに関しては安心を!」

「オレ達じゃ何言ってもやってもどうしようもない奴だ、だから全部アユに託すよ!」

「任せとけ」

「えっへへ!」


メリッサが抱きついて来たので、しっかり抱きしめ返す。

全部終わったら、色々考えないとな。

あら、ナタリアさんも?


「オレの思いもちゃんと託したかったからね、これぐらいならおばさんでも許されるだろ?」


おば、さん……?

32とか全然だし、見た目が20代にしか見えん美人だからお姉さんじゃね?

経産婦補正で色気マシマシだし。


「寧ろ役得です」

「えっ、そ、そうか……」


ごめんなさい、心のまま答えたら気まずくさせた。


「流石親友だな、コレット団長然り美人なら見境なしか」

「アユ!母ちゃんは美人だけど、オレの事ちゃんと見ろよ!?」


エイブラハムゥ!

確かに守備範囲だけど今それはまずいよ!

ほらコレット姫が頬染めてウインクしてくるし、メリッサは焦ってるし、ナタリアさんも顔真っ赤じゃん!

純情、愛情。


「で、ではしっかり受け取ったので……思い!」

「お、おう!頼む、よ……うん!」


と言う訳で他のやらなきゃならない事は後として、メイナードのクズ野郎をどうにかしてやる!

すっかり大所帯になったメンバーで里の練兵場へ向かった。


「あっ勇者殿お疲れ様で……多いですね」

「だよねやっぱ、だけど必要だからさ」

「わ、分かりました」


練兵場の収容所はそんな広くないもんね、でもウチのメンバーは再会出来てすぐ揺り籠行きはあんまりだって言うし……。


『これもマスターの人徳だよ!』

『因みに勝手に揺り籠にされない為に、許可しないと入れないようにロック機能付けといたし!』

『ナイスゥ!』


ナイスゥ!

これで自然系の精霊を精神世界に突っ込んで、神器封印みたいな戦法は無効化じゃい!

ウチの神器ちゃん達は本当に優秀な方々……。


「ムグッ!フムグゴォッ!!」

「……こちらです」

「ありがとう」


中に入ると魔法を営業しないように口を塞がれ、暴れるからであろう両手両足の拘束をされたクズの姿が!


「とりあえず口塞いでるのを外してもらえない?」

「わ、わかりました!」


精人族が恐る恐る近づき、奴の猿ぐつわを外した。

途端に……。


「よくも僕をこんな醜い奴らの肥溜めに突っ込んでくれたね!必ずやマイハニーと共に粛清をしてあげ─────」

「恨みある奴、今のうちに一発いれといてください」

「ハッ!?」

「よくも気持ち悪いナンパしてくれたわね!」

「ゲホッ!」


あっ、コーデリアそんな事されてたのか。

コレット姫が明らかに絶許顔してるから、情状酌量の余地なく極刑だな。


「さんざん迷惑をかけてくれたなクズ息子が!」

「グエッ!クソジジイがぁ!」

「テメエが言えた口かよクソ親父!!」

「ギュブッ!?」


精人族血族ラッシュ!

一番恨み強いからな、入れるに決まってる……そして。


「ぐ、ぐそぉ……あっ」

「……」

「ナタリア!僕の愛する人!僕の未練!どうか助け────」

「助けるわけあるか!いっぺん死んでこい!!」

「チュンッ!!?」


今までのメンバーで一番いいダメージ入ったな。

肉体的にも精神的にも、あの勢いは大事なモノ潰れたかな?

人族の子孫残したがってたからねぇ、夢破れたり。


「それじゃあ皆下がっててね、はい触手〜」

「グボッ!ゴブブエッ!!」

『うわぁ……』


ドン引き不可避のこの魔杖、サキが情報解析(スキャン)で調べてくれた。

銘はニックバスで、ランクはナイト。

魔力を消費して触手を召喚、拘束と魔力吸収が出来るから防がれなければ魔力回復可能。

ランクが低いから射程距離は短いし、触手の殺傷能力は低い。

でもとりあえず使えるから持っておこう。

あっ、このぐらいでオッケー……ありがとうニックバス。

クネクネと手を振る様に消える触手、ニックバス……お前だったのか?


「どうして僕が、こんな……こんなぁ!」


他人様(ひとさま)に迷惑かけたら怒られる、それは当たり前の事だ。

そんな当たり前の事を理解できないから、こうなっているんだが。

言っても分かるたまじゃない事もわかる、だから……。


電脳干渉(ハッキング)

「ウグッ!?か、身体が……!」


サキを潜入させて動きを静止させる、そして。


「自分勝手が過ぎて無敵になってる奴は、この手に限る」

「な、何だ……そ、れは………」


電脳心握(コントロール)、これで奴は催眠状態になった。

これで情報が得られる、永続化はせずハートリー王国の裁定待ちだな。


「お前の言うマイハニーってのは何者だ?」

「ブライズ・ド・ミラー士爵、誰に対しても強気で逞しい素敵な女性さ」

「どうやら元王宮薬師であったブライズで間違いないようね」


コレット姫が頭を抑える、仮にも貴族階級で王宮に務めてた人間の犯行だもんな。

そりゃあ頭も痛くなる。


「他に首謀者がいたりしないか?」

「首謀者なんていない……ああ、だが同好の士との接触はあったよ」

『!?』


同好の士!?

まさか似たような事を考えてた人間が、既に接触してるのか!


「そいつらの名前とか、とにかく情報はないか!?」

「僕は興味無かったからね、知らないよ」

「……知らない事は駄目か」


これで邪獣関連の技術があちこちに漏れてる可能性が出てきたな、最悪だぜ。

異世界カノスに“魔王”みたいのはいないが、力に取り憑かれた“怪物”は多そうだ。

いや、俺が知らんだけで何処かにいるのかもしれないが。


「ブライズの居場所を思い浮かべろ……よし、サキ」

「オッケー!」


これでマップに座標が表示された、ミッション完了だな。


「拘束を」

「はっ!」


拘束をし直してもらう、この間は催眠状態が安全でいいだろう。

終わって離れたら……解除。


「!?ムッ、ムアアアァァッ!!!」


これで用済みだ。

恐らくブライズに対してコイツなりの愛情があるから暴れてるんだろうが、同情の余地はない。

どっちも等しくクズだからな。





───────────





ブライズの隠れ家。

そこで変わらず彼女は呪いを生み出していた。

しかし普段と違うのは……。


「呪いを多く溜め込むと、それだけ力が増す……それを圧縮すれば、最強の邪獣が完成する筈!」


複数体の魔物に呪いを生ませ、その呪いを大人しくとびきり頑丈な魔物に注ぎ重ねていく。

かつてブラック・ド・リーデンがやった事を、奇しくもその兄と同じ紅髪紅目の女が再現している。

皮肉な結果であった。


「今までの研究通りなら、これで!」


蝕まれて虫の息な魔物から積み重ねた呪いを一気に圧縮、清水と合わせた。


「お、おおおおお!完成だ!100%!」


今まで浮かべたことのない満面の笑み。

彼女はおどろおどろしい漆黒の薬品を眺めていた。


「使うならどうしようか……ん?」


人の気配が迫ってきた気がする、ブライズは感じた。

一瞬メイナードが過ったが、人数が多すぎる。

そして過ったその存在が、戻ってきていないのに気がついた。


「アイツしくじったのか!?……使えると思ってアタイの身体も好きにさせてやったのに、クソが!」


巧妙に隠した筈の場所が囲まれている、逃げ場がない。

こうなればと、今回の実験体に目を向ける。


「こうなったら今、やるしかない!」


自分は魔物からの認識阻害する魔具を着けている、だから今回も大丈夫だろう。

そう考えながらブライズは躊躇わず、薬を実験体のオーガに注射型の魔具で注入する。


「ガッ、グッ、オオオオオオッ!!」

「よし、これで!」


檻が破られ、中からオーガが姿を現した。

元は赤茶けた肌をしていたのだが、漆黒に染まっていた。

オーラも纏ったままで、瞳は光を増している。

髪は脱色して白くなり、上に逆立っている。

通常の邪獣とは違う、明確な変化が起こっていた。


「なんて素晴らしく、美しいんだい……これぞ力という芸術だよぉ」


うっとりとした彼女であったが、ここで予想外の事が起こった。

変化したオーガがブライズの方を向いたのである。


「え?な、何でアタイの方を見るんだい?外の奴らぶっ殺しておい────」


そこから先は続かなかった。

手の爪が急に伸び、彼女の腹を貫いたからだ。


「そ、そん、なぁ……!」


急速に穢れに蝕まれていき、ブライズは意識を失った。

オーガは彼女を爪に刺したまま、外へと飛び出した。

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