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電脳水筒と拠点確保と発見報告

そこからはスムーズに事が進んでいった。

屋敷外のゴースト残党は処理仕切ったし、ダンジョンの出入り口となる離れの倉庫は発見した。

倉庫は収納して取っ払い、危険を周知する為サキが作った看板に『アンデッドダンジョンにつき、大変危険』と書いてすぐ横に刺しておいた。

神聖性が付与されている看板があれば、弱いアンデッドは外に出てこれないからな。


「こちらもひろいですわ〜」

「余裕で置けます」

「なら今のうちに置いとくか、サキ」

「はいはい〜、それー!」


ダンジョンがあるってなると、流石に冒険者ギルドに報告せねばなるまい。

リーデン帝国の時とは理由(わけ)が違うんだからな。

となるとその後で館を置くとツッコミを受けてしまうので、今の内に置いておく事で問題を解決っとな!


「出来た」

「あぁ……僅かな間なのに、懐かしい」

「ここからまた新たな生活の始まりですな」

「じぶんのすめるばしょ、あんしんできますの〜」

「私も短い期間ですがお世話になった建物ですし、感慨深いです」 


リーデン帝国からのメンバーは皆思う所あるだろうな、特にコーデリアとデクスターさんは感動もひとしおだろ。


「“館を置く”でこうなるとは、その水筒の神器……いや、どっちのもすげぇな」

「ああ、どっちも俺の頼もしい相棒達だ」

「ボクらがいないとマスターはダメダメだからね!」

「同時にアタシ達はマスターが大好きだし!」

「……そっちも守備範囲か、底が知れんな」


ちゃうねん。

普通に愛してるだけなんや、そう言う風には見てないねん。


「それで、視察は終えたが……全く問題なさそうだな、ダンジョン関連が面倒といえば面倒だが」

「ギルドマスターのウォルターさんとも仲良いから、頼んでみるさ」

「お前、人脈が広いな」

「そっち程じゃないさ」


互いにフッと笑いあい、書類等を書き終えた後に料金を支払う。

また財布が寂しくなったが、宿代も食費も水道代も光熱費も掛からんから問題無いな。

……実はここが一番チートかもしれない。


「ではまた会おう親友、いい取引を期待している」

「ああブラザー、頼りにしてるさ」


シェイクハンド、からのハグを決めて手を振り別れる。

エイブラハムとは今後も長い付き合いになりそうだ。


「では私は屋敷の方の掃除に入りますが、せっかくですので館側の“ベッドの再試験”など良いのではないですかな?では!」

「その流れは!?」


振り向くと女性陣が近づいてきた。


「とりあえずお仕置きと信頼獲得の意味で、フィオナからとして……その後は、ね?」

「夜に聖女様と連絡取るのを理由にして、逃げてたりしてましたよね?」

「戦って昂っちゃったからさ、御主人様……お願い」

「なかまがいっぱいでたのしみですわ〜」

「ま、待って?フィオはお仕置きされちゃうの……?」

「大丈夫よ、最終的には気持ちよくなれるから」

「そ、そうなんだ……」


ナチュラルにフィオナが確定事項……!

大丈夫なのか、身体キツくね?

……俺が頑張るしかないな、悪い事をしたとしても可愛い子の初体験は幸せな物ってのが、俺のポリシーなのだから!





*************





もう出ないよぉ……。

何とか頑張って午前10時から開始して午後4時くらいに全員満足させて、ヒールポーション飲んで冒険者ギルドにやってきた。

ついてきたメンバーは冒険者登録をするアリスと、精神世界に入った状態のサジェリアとハガードとフィオナの使い魔組、だから実質2人だ。

電脳契約(コントラクト)は結局欲しがったから仲間全員と終わらせてるが、来てないメンバーはそれぞれ色々やってる。

デクスターさんは屋敷と館の掃除、コーデリアとエレンは一緒に料理って感じだな。


「おっ、賑わってるな」

「ワタシ達の活躍がいい影響を与えてるって言ってたよね?」

「ああ、これからも頑張ろうな」

「うん!」


アリスを腕に絡ませながら歩くと、当然ながら羨望や嫉妬みたいな視線が飛んでくるが問題ない。

これもまた彼らが「自分だって!」と頑張る理由になるだろうさ。

暫く並んでると……うん、ベティさんの列で合ってた。


「アルフさん、こんにちは……今日はアリスさんとお二人ですか?」

「実はこの度アリスが奴隷じゃなくなったので、冒険者登録をお願いに来ました」


ざわ……ざわ……。

何だ急にざわめいて、当たり前の事実を報告に来たのに。


「……ここだけの話ですが、実はアリスさんは獣人族の男性冒険者からかなりの人気なんですよ」

「え?」

「ワタシが?」


そんな情報まで詳しく掘って無かったから知らんかった!

……それってつまりアレか?


「奴隷じゃなくなったなら、俺に専有する気がないって事で自分にもワンチャンあるって思った?」

「……ぶっちゃけますと、そうかと」

「うわっ、無いなぁ!」


ビクッ!

と周りから跳ねる音が聞こえた気がした。


「ワタシは御主人様一筋なんだし、あり得るわけないだろうになぁ」


ガタゴトッ!

と無惨に倒れた音が聞こえた気がした。

南無阿弥陀仏……。


「と言うわけで登録お願いします」

「畏まりました」


互いに後方の死屍累々を見ないように手続きを進めて行き、登録を完了待つ時間に入ったタイミングでもう一つの用事を割り入れた。


「それともう1つ重大な話がありまして」

「もう1つですか?」

「ええ、ウォルターさんに面会を頼めると……」

「─────畏まりました、すぐに」


ベティさんは別のスタッフにその場を頼むと、急いでマスターの下へ向かった。

ここで離れると哀れな獣人男性を見るだけなので、受付でベティさんが戻って来るまで待ってた。

あっ、こら無言で肩に身を寄せない。


「グハァッ!」


ついにダメージボイス出ちゃったよ、もうアイツラのライフはゼロよ!もう勝負はついたのよ!


「お待たせしました、どうぞ」

「ありがとうございます」


良かった、どうやら死人はこれ以上でないで済みそうだ。

ベティさんに連れられて、マスタールームにやって来た。


「仕事以外でお前の方から話ってのは初めてかもな、アルフ!」

「お疲れ様です、ウォルターさん」


ウォルターさんはいつも通しダンディな雰囲気で、俺達を出迎えてくれた。

慣れた感じで向かいのソファーに座らせていただく。

それじゃあ、報告といきますか。


「実は俺土地を買ったんです」

「ほう!」

「おめでとうございます!」


純粋に嬉しそうな反応の2人、面倒事なのが申し訳ないが。


「その土地なんですけど、例の曰く付きの屋敷のその周りなんです」

「えっ……?」

「おいおい、マジか!?」


一転青ざめる2人、あんまこの手の話得意じゃないのかな?


「それでその原因の特定と解決を済ませました、なのでそこは大丈夫です」

「本当ですか!?」

「……」


ここで反応が二分された。

ベティさんは驚きだったが、ウォルターさんはおかしいって顔に出てた。

……ウォルターさんがこうなら、こっちも隠すの限界かな。


「……やはり話しておきますか、俺の正体を」

「そ、それはどう言う……?」


戸惑い父の方へ顔を向けたベティさんが見たのは、本当に大丈夫なのか試す顔だった。


「只者じゃねぇとは思ったぜ、同時に悪い奴でもねぇともな」

「いつ頃です?」

「指名依頼だよ、余りにも話がスマート過ぎた……出来過ぎだ」

「おっしゃる通りで」


普通の人なら「まぁそんなもんか」と誤魔化せたが、この人は無理だったな。

その後もちょくちょく呼ばれて雑談とかしてたけど、そこで距離図ってたようにも感じたし。

なら覚悟を決めよう、この人は大丈夫だと。


「俺の本名はアユム・ツツイ、繁神ラミト様から神器を授かり、リーデン帝国に召喚された召喚者です」

「ええ!!?」

「……英雄と同じ召喚者、か」


ホッと息を吐くウォルターさん、マジで緊張してたのが伝わった。

万が一危険人物がマスタールームまで入り込んでた、とかだと洒落にならないもんな。


「どうして正体を隠してたかは、まぁ分かる」

「……はっ、少なくとも国が揺れますね!」

「ラミト教もな……つまりあの時のもお前がメインで解決したのを、さも“トラブル解決を手伝ったついでに依頼を達成できた冒険者”みたいに装ったわけだ」

「はははっ、そう言うわけです」


バレてくバレてく、まぁ聖女と呪いに関する事はバレてないから大丈夫だと思うけど。


「そして今回については、ほい」

「サキだよ!」

「ラミだし」

「う、浮いてる!?」

「神器か!それも2つだと!?」


びっくりしてるねぇ!

流石にこれは予想外だわな、さっきまで平静だったウォルターさんも神器2つは聞いたことなさそうだもんな。


「水筒の神器サキと電脳の神器ラミ、パーティメンバー達と2人の力を合わせて旧侯爵屋敷の支配者は退治しました」

「……す、凄い」

「なるほど、な……待て、退治ってぇと?」


鋭い、流石ウォルターさん。


「フィオナ、出ておいで」

「お兄ちゃん!」

「女の子!?」

「なっ!レイス……いや、リッチか!」

「ええ、ただテイムした俺の神聖性の影響を受けて“エルダーリッチ”に変化しつつあるみたいですが」

「「エルダーリッチ!!?」」


驚きの連続が止まらない、だがここは知っておかないとな。


「ともかくかつては危険な存在でしたが、今はこの様に良い子です」

「お兄ちゃん……しゅき」

「……何か、何か……」

「ベティ、細かいことは気にすんな……身が持たなくなるかもしれんぞ?」

「うん」


……イロイロすんません。


「彼女は旧侯爵家の生き……生まれ変わり証人なので、真相を語れます」

「うん、フィオのお家はダンジョンから出たアンデッドに滅ぼされちゃったの」

「ダンジョンからアンデッド……!」

「屋敷にあるのか!」

「倉庫だった場所に……今は片付けて神聖性を付与した看板立てて、上層の弱いアンデッドが出れない様にしてます」

「でかした!ベティ!」

「はい!」


大急ぎで書類の準備を進める、調査の為に日程とか調整色々あるんだろう。


「ありがとな!色々大事な情報満載だったぜ!」

「いえいえ、俺としても放置出来ない案件ですし」


アンデッドダンジョンも放って置けば増え過ぎて、大きな被害が出かねないし。

利権とかも面倒だから、ギルドが管理した方が後腐れない。


「それと、個人的な話だがよ……」

「奥さんの事ですか?」

「────!あ、ああ……もしかして、可能だったりするのか?」


そこが気になるよね、神器と言う特別な力。

ポーション等の癒やすものでも治せなかった目を、俺達なら治せるのではないかと。

それは勿論。


「治せます、と言うか今夜治療しにお伺いしても?」

「マジか!!?」

「それ本当ですか!!?」


流石にベティさんも気付いたか、仕事中でも母親の怪我が治るか否かだし。

おっ、アリスが立った!


「御主人様はワタシの呪いもあっさり祓ってくれたし、当然出来る」

「呪いを!?」

「え、ええ……だから安心してください」


そうだよな、アリスからしたら実体験伴ってるもんな!

オウ……妙にウォルターさんが静かだと思ったら、震えてる!


「頼む!どうか、どうか!」

「パパ……私からも、お願いします!」

「もちろんですよ!」

「それでこそ御主人様!」

「お兄ちゃん良い人、フィオもなれる様に頑張る……!」


世話になってる人らだし、覚悟を決めたなら助けないわけにはいかんさ。


───────────


その夜、デズモンド亭では家族3人の喜ぶ声が上がった。


彼らは今後何があろうと、恩人となってくれた漢を裏切らないと誓った。

看板→ (ブラジル) (出口)


ダメージボイス→与えた者は達成感で受けた者は焦燥感が出るが、声が艶っぽいと高揚感が出る


利権→お金に関わることは面倒臭いと、相場が決まってるのだ

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