表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/70

水筒と今後の方針

えーっと……おはようございます。

現在朝となっております。

どういう状況なのかというと、コーデリアが隣で寝ています……“服、着てませんッ!”


昨日あの後コーデリアとエレンは『俺の1番』と言う話題に対して自分達での結論が出るわけなく、当然俺に答えを求めてきた。

そりゃあどちらも魅力的だ、ほぼ同条件だったら俺も結果を出せなかっただろう。

しかしコーデリアとのが付き合い長いし、解呪出来たお祝いは彼女の為にやってたし、そもそもこの話題になったきっかけの『気兼ねなく仲良く』は俺がコーデリアに言った言葉だった。

だから俺はコーデリアと答えると、デクスターさんと一緒に大喜び。

一方エレンは『悔しいですが仕方ありません、明日は私とですよね?』と言っててあれ?となった。

サジェリアも『かいきんですのね〜、いつでもおまちしていますわ〜』って言ってる、流石にここで気づく。

デクスターさんは寝室で念入りにベッドメイキング進めてる、最早この流れは止められねぇと理解した。

サキは『避妊しなきゃね!』と人肌のお湯に栄養添加で加工して作り出したアレやソレを幾つも俺の手に出した、目茶苦茶に緊張してきた。

後は俺が寝室でどうにか落ち着いて待機してる状況で何度か見たバスローブ姿でコーデリアが来て、脱いで、唇が重なってそのまま……。

つまり致しました、はい。


「……すぅ……」


えっっっっっ!!!じゃない。

『俺の1番』とは俺が勘違いした関係性値的な話ではなく、誰が先にするのか?って話題だったと……。

それぞれの()と“関係”を持つことは皆にとって大前提だった、つまり“ハーレム”状態!ってわけですわ。

つまり今日はエレンと、差をつけたくないから明日はサジェリアと“寝る”わけで。

繁神ラミト様、俺繁栄する営みしまくりです……だから罪な事では無いですよねぇ?


『ボクのマスターはスケベだけど経験なしだったし、まだまだここからだよねぇ!長い長いモテモテロードはさ!』

『何だその幸せだけど大変そうな道』

『えっ、走れるよねぇ?』


やらいでか。

不幸だった皆を幸せにする為なら、俺も頑張らないと!

……色々と努力するってことやぞ、下半身のみで言ってねぇし!


『良かった良かった!じゃあボク気になる事あるから、偵察行ってくる!』

『偵察?……皇城か』

『うん、呪いも解けたからには次の“方針”が大事だし!情報は必要さ!』


それはそうだな、サキならリスク無いし余裕で調べられるだろう。

クソブランドルや雑クラーク、ゴロツキ熊倉の今までの動きや様子とか知っておきたいし。

頼む、いつも本当にありがとな……形は違えど、サキも愛してるぞ。


『────変態!』


なんでさ。

って行っちまった、水筒心は複雑です。


「ん……」

「あっ、おはよう」

「アユム、おはよう……仲良く、しちゃったね」

「したな、たっくさん」


どちらともなく微笑みあい、用意してあった桶に入ったお湯で洗顔。

服もしっかり着て、仲良く腕組みで寝室からでる。


「お嬢様にアユム様、おはようございます」

「デクスター、おはよう」

「おはようございます、デクスターさん」

「そしておめでとうございます!!」


まるで限界オタクよろしく涙を流しながら祝福してくれるロマンスグレー、ほんにええ人や。


「おはようございますの〜、そしておめでたですわ〜」

「おはようサジェリア、そしてありがとう」

「おはようさん、だがまだ早いぞ?」

「そうでしたの〜」


同じく祝福だが“子孫繁栄”前提で挨拶すらほんわかドリアード、かわいいぜ。


「おはようございます、コーデリアさん……アユムさん」

「おはようエレン!」

「お、おは……!?ようっ」


皆で階段を降りると下にエレンが待っていた、しかし最初に着ていた文官服ではない。

オフショルダーと言う両肩が出た露出が多いデザインでシックなグレーのトップスに、ダークレッドのスカート……上下共にフリルが付いてて、完全に“女性”である事を意識させる。

エレンの奴そんな事まで考えて……ッ!


「その服、似合ってるよ……かわいい」

「あ、ありがとうございます!────しゃっ」


背を向けて見せてないが、多分ガッツポーズしたねぇ!

しかしこんな服ここにあったかな?


「サキの(てこ)入れって奴ね」

「情報遮断してやがった、だと?」


サプライズの為に、わざわざ!

ニクイ事しやがるぜ、確かにあったわ筒内工房(ボトルワークス)って能力!

最近倒して回収した魔物の素材や、森の中の花を加工して作り上げやがった……実際嬉しかったですはい。

その後は食堂へ集まり、デクスターさんが用意してくださっていた料理を美味しくいただいた。

そして……。


「アユム様は力を抜くべき所は抜いて下さい!」 

「はい!すんません!」

「エレン殿は腰が引けています!それでは敵に笑われますぞ!」

「も、申し訳ありません!」

「お嬢様はそのまま精進ですぞ〜」

「ええ、最高に調子がいいわ!」

「みなさんがんばってですわ〜」


今度はデクスター師匠発揮で三人に剣の指導!

……贔屓がある?

実際に俺とエレンではコーデリアには勝てない、今更今更。

寧ろ伸びる余地があるのだと前向きに行くのだ。

そうして昼前頃にサキが戻ってきた、偵察による情報解析を完了させたようだ。


「色々言わなきゃならない事があるけど、とりあえず皆お風呂入ろっか!ボクが入れてあげるからさ!」

「「あい」」

「ええ、二人共一緒に入りましょ!」

「おひょ!」

「それなら喜んで」


エレン切り替えはええな!

し、しかし嬉しいが……いいの!?


「わたくしもまざりますの〜」

「では私はお昼の準備へ、さらばっ!」

「デクスターさんはえぇっ!!」


結局そのまま広い浴槽で男1女3水筒1でお風呂と相成りました、皆くっつき過ぎてもう気が狂う程気持ちええんじゃ!





*************





昼食兼会議ってことで、食堂で全員が集まった。

今回の議題は“今後の方針”である。

まぁ目標の“コーデリアの解呪”を成せた、となると現在の状況からステップアップした形へ至る為に成すべき新たな目標を立てよう。

とサキがフワリと浮き上がり、皆を注目させる。


「まずボクから報告だけど……どうやら皇帝ブランドルも宰相クラークも、ダンジョンが存在していた事実を知ってたらしい」

「え!?」

「何と!?」

「……」

「わたくしがうまれたばしょ、ほそくされてましたの〜?」


どうやらマジでそうらしい。

しかもあのダンジョン誕生の理由が……。


「知った理由がコレット皇妃の行方を捜査した時、コーデリアが鍛錬で使用した魔力満タンの魔石を処理したと見られる場所を調査させたからだそうだよ!」

「あの魔石をお母さんが……それであそこにダンジョンが!」

「お嬢様……」


魔石の行方こそがあのダンジョンがあった場所だった、大量の魔力が一処(ひとところ)に固まる事で発生するらしい……実質コーデリアはあのダンジョンの生みの親とも言えるのか。


「コレット皇妃が狙ってダンジョンを生んだ訳じゃなく、リーデン帝国に利用される事を危惧して捨てただけなんだけど……結果として生まれたんだ」

「そう、だったのね……」

「そしてこれがきっかけで、宰相クラークの思惑が生まれたんだ!」


ダンジョンへの対処でブランドルとクラークは意見が違うらしい。

ブランドルはダンジョンはどうでも良い、戦がしたいと相変わらずある意味ブレ無い。

一方でクラークはダンジョンを一定の危険があると見ている、しかしここで意見を言うのは面倒なので“何か”で抑えとけば大丈夫と考えた。

……それって。


「呪われたコーデリアさんをこの館に行くよう指示したのは、宰相クラーク・ド・ギレット公爵なのですか?」

「え、ええその通りです……まさか!」

「地上の魔物と比べてダンジョンの魔物は穢れに慣れていないし、本能的に避けると聞いたことがある……それを利用したのね!」


ギリギリと手を握りしめるコーデリア、怒りは分かるが流石に傷つくのは見過ごせない。

その手を俺の手を包む。


「あっ、ありがとう……」

「ん」


心が暖かいねぇ……。

さて話に戻るが。


「そうするとブラックに関しては?」

「呪術師を目指して研究していたのは知っていたみたいだね、でもブランドルは興味ないしクラークは利用出来ないかとは思ってたくらいみたい」

「……お嬢様が呪われる事に関しても、予定通りだったのですかな?」


デクスターさん的にはそこ重要だよな、狙ってやったなら相当あくどい……。


「それは想定外みたい、ブラックがあのタイミングに行動を起こすと思ってなかったみたいだよ」

「つまり偽装婚姻は予定通り行かせようとしていた、しかし土壇場で予定が狂ったから別のプランに……と言う事ですね」


クラークが面倒臭がり過ぎて色々雑だけど、割りかし思い通り上手く行ってるのが腹立つな。


「アユムさんを館に向かわせる命令を出したのは、皇帝ブランドル・ド・リーデンでしたよね?」

「そうだな、あそこでデクスターさんと出会って……そもそもブランドルはさ、コーデリア達がこの館にいたのを知ってたのは何でよ?」

「クラークから報告は聞いてたから、一応知ってたみたいだ!呪いが人を殺すのもブラックが死んだ場面を見て理解してるから、“いらない物”を処理出来るって浅はかな考えで選択したんだ」


マジで浅はかだわな、だって処理出来てないしさ。

召喚者の神器や力も戦力として役に立つかしか注目してなくて、それがコーデリアの呪いを祓い解呪する力を持ってるとは思ってなかったんだな。

あたおか脳筋で助かった部分だな。 


「アユムさんが、“いらない物”?」 

「エレン、落ち着け」

「……アユムさん」


左手にコーデリアを、右手にエレンを。


「クラークに関しては解呪出来るか出来ないかより、逆らう事での面倒を避ける事を優先ってとこか」

「大正解!それ以降監視も何もつけてないよ!」


アイツよほど関わりたくなかったらしい、呪いに関してはブランドル同様にブラックの死に様を見てた人物だから、リスクのデカさも分かってるし。


「ダンジョン関連の情報はこんな物だよ!」

「ではだんじょんにかんしては、どういたしますの〜?」

「そうね……いっそあの中で魔力を消費する行動を沢山とって、大きく強いダンジョンに成長させて脅威にするとか」

「あの場所で最も大きな被害を受けるのは皇城ですからな、良い策かもしれません」

「なるほど、その方針で行きますか」


やってる事が完全にテロだが、俺達含めてしっかり管理しなかったリーデン帝国上層部の怠慢って事で。


「OK!次は軍神の神器を得た召喚者“熊倉力矢”に関してだね、彼は今日は前線に向かう前にお披露目演説の日だったよ!」

「あの男ですか……どうなりましたか?」


今度はエレンと関わり合いになる存在か、しかしお披露目演説とだけ聞くと無理なんじゃって思うが……。


「正直『俺最強』『軍神はマブ』『血祭りウェーイ』とかテキトーな事言ってたのに大盛りあがりでドン引きだった!」

「「「「「うわぁ……」」」」」


仮にも臣民がゴロツキレベル、それがリーデン帝国。

無論エレンみたいにまとも人もいるだろうが、少なすぎて彼女同様生き辛い場所であろう。


「これでアイツは出発したし、それに合わせて騎士や兵も相当数減った!城を含めた皇都は大分手薄!」

「……ダンジョンテロめっちゃ効かね?」

「効くだろうね!狩らずに貯めとけばもっとヤバいよ!」

「仕方ないわね、もっとダンジョンに挑みたくはあるけど……優先順位があるもの、別の機会ね」

「では代わりに鍛錬をもっと濃密にしますかな」

「うっす」

「が、頑張ります!」

「わたくしとしては、へいわでたすかりますわ〜」


帝国への復讐、これは何よりも優先される。

これは絶対なのである。


「とりあえずダンジョン育成テロと、十分に準備出来るまで鍛錬が目標として……最後な」

「……帝国脱出後の事ね」


コーデリアを自由に連れ出せる、であるなら軍神のお膝元である帝国にいる意味はない。

そもそもダンジョンテロが上手く行ったら、異世界物で良くある“スタンピード”の様な魔物による地獄が顕現するわけだから、逃げなきゃ駄目なわけで……。


「俺としては繁神様の信仰がある土地へ向かいたい、俺とサキが共にあれるのはあの方のお陰だからな」

「マスター……ッ!うん、ボクもそうしたいよ!」

「となりますと、反リーデン連合の側に向かうべきですな」

「はい、あそこに参加しているのは繁神信仰が大部分ですからね」

「そこならあんしんですの〜?」

「少なくとも帝国ほど、理不尽に酷い場所は無いだろ」

「「「「確かに」」」」

「ですの〜」


となれば今後の方針、決まったな。

目標①ダンジョンに魔力を撒いて育成して、皇城中心にダンジョンテロを引き起こす。

目標②リーデン帝国から脱出、行き先は反リーデン連合の繁神信仰国であればよし。

①は魔力容量増えるのも良いな、皆聖杯を望んでるから伸び代が更に増える。

②は早くラミト様にお祈りしたい、寄進したい欲求がある……全部終わったら、皆とやろう。


「それじゃあ改めてよろしく!」

「ええ、ずっと一緒だからね!アユム!」

「何処までもついて行きますぞ、アユム様」

「わたくしのすべてはあゆむさまに〜」

「私の居場所は何処にいても、アユムさんです」

「ボクは元より一蓮托生!ねっ、マスター!」


よーし、俺頑張っちゃうぞぉ!

避妊→異世界カノスでは浸透していない概念、病気を高価だが薬品で治せてしまうのも関係しているか


怠慢→タイマンも好きな国です、脳みそヒャッハーですから


スタンピード→魔力を貯め込み魔物がダンジョンで飽和した結果起こる災害、帝国には経験も知識もなく資料も残っていない

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ