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夫への告白

それからというものの、私は上の空で日々を過ごしていた。


私はなんて事をしてしまったんだろう。

これまでこんな事とは無縁の人生だったから、初めての状況に頭がついていかない。


祐介とは、これまで何の隠し事もなく、お互い悩みも愚痴も全部話してきたから、心のモヤモヤと、罪悪感が一層募る。


今日もいつもと変わらない裕介の態度に、申し訳なくて涙が出そうになる。


それでも、こんな時も私は蓮くんのことが頭から離れない。


自分が情けなくて涙が溢れてきた。


「怜!!!どうしたの!!!!」


突然泣き出した私に、祐介が心配して声をかけてくれる。


「祐介、ごめん、、っ。」


「何があったの、大丈夫、話してみて?」


そう言われても、言い出せない私をみて、祐介は私の背中をさすりながら言う。


「俺さ、もし怜が俺の悪口言ってたとしても、違う男と子供作っちゃったとしても、人殺しちゃったとしても、それでも怜が大好きだから絶対に別れないし一生一緒に背負っていくよ。」


そう言われ、こんな優しい人を私は裏切っているんだと言うことに余計に涙が出てきた。それの同時に、人殺しって、、と裕介の想像が壮大すぎて少しだけ笑ってしまった。


でもそう祐介が言ってくれたから、話しやすくなった。


「私さ、この前祐介が静岡に出張だった時さ、絵梨奈達と4人で遊びに行ったじゃない?あの後さ、、、」


そう言ってその日会ったこと全てを話した。祐介は何も言わず黙って最後まで聞いてくれた。少しだけ沈黙の時間があった。流石の祐介も今回は怒るよな、何て言われるんだろう、そう思って俯いたまま祐介の言葉を待つ。


「なんだ、そんなことか〜!」


えっ?私はびっくりして顔を上げる。


「いや、そりゃもちろんショックだけどさ、誰にでも過ちはあるよ。俺だって職業柄飲み会とか沢山あるし、そう言う場に女の子いる事も多いからさ、胸張って怜のこと責められる立場じゃないし。それに、怜は仕事忙しいのに家のこと全部やってくれて、文句も言わずに俺の事を支えてくれて、何より毎日こんな幸せな気持ちにさせてくれてさ、そんな1回くらいの過ち、全然許せるよ!」


私を励ますように祐介はそう言った。この人は神様なのか?


「しかもその人のこと好きなわけではないでしょ?!怜、これまで男は俺くらいしか経験なかったからちょっとそういうコトに興味持っちゃったんだよね?」


そう言われ、すぐには答えられない自分がいた。もちろん私はこんなに優しくて私を愛してくれる祐介の事が好きだ。でも蓮くんの事は自分では気持ちがコントロールできないくらい好きだ。


「もちろん好きではないよ、向こうは3個も下だよ。他の人ともこういうことしてるかもだし、、、」 


蓮くんのことが好きだと答えたら、私たちの中の何かが壊れてしまいそうで、祐介に悟られないようにそう答える。


「それならいいんだ!俺のことを好きでいてくれたらそれでいい。怜話してくれてありがとう。」


そう、少しだけ切なそうにも見える笑顔で祐介は私に言う。


祐介はどこまで心が広いんだろう。やっぱり、私は絶対に祐介を裏切る事はできない。もう祐介を裏切らない。そう心の中で誓った。


「祐介ごめんね」


そう言って私は祐介を抱きしめる。祐介は私を抱きしめ返して、頭を撫でてくれた。私はふと、あの夜蓮くんが頭を撫でて私を眠らせてくれた事を思い出してしまった。


こんな時まで蓮くんのことを考えてしまうなんて私は最低だ。


そう思ったらまた涙が止まらなくなって、寝る時も祐介に気づかれないように、布団の中で溢れてくる涙を必死に拭いた。


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