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もう帰っていいですか  作者: 倉名依都
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2.注文の多い転生者。神さま寛容すぎ、何かある、きっと

次の夜、やはりふわふわ浮きながら、異世界の神は、根気よくリクルートにやってきた。


神さま、こういうのできるかな。

「うん?言ってみて。大概なんとかできるよ。だってボク神さまだし」


まず確認なんだけど、孫って、女の子でいいんだよね。

「そうだよ」


年は?

「今、15歳」


え?じゃあ、第二王子って15年くらい違う人と結婚してたんだよね。

それで今更昔の恋人と再婚したいって? ありえな~い。

「この世界の人だもんね、そう思うよね。でもまあ、そういう人もいるのかも、とか思ってもらえない?」


あ、うん、ごめんなさい。それで、神さまはどうなってほしいのかな、って。

第二王子を15年前の恋人と再婚させてあげたいの?

「いや、そういうのはないんだよ。

ボクとしてはどうなってもいいんだよね。ただ、この場所に誰か新鮮な考え方ができる人を送り込みたいんだ。

このままだと、世界がここから腐っていくような気がするんだよ。やりたい放題の王室、イヤと言えない伯爵家、郷士として立派に領地を治めているもと騎士団副団長だって伯爵家と娘との間に挟まれて葛藤するだろうし。

静かに身を引いただけの王宮侍女が、ふたたび王宮に上がってそこで不幸になりそうだしね」


不幸になりそうなの?

「う~ん、予想って言えば、それだけなんだけど。

第二王子妃は、王子と王女をひとりずつ産んでいるんだよ。そこに新しい妃が、自分たちより年上の娘を連れて来るとか」


ドロドロドロ~

「かもねぇ。我慢しなきゃならない人が多すぎない?」


王宮に上げなきゃいいの?

「いや、そこはどっちでもいいんだよ。王宮に上がってもいい、上がらなくてもいい。

突破点が欲しいんだ。

こよりちゃんに期待してるのはそこかな」


第二王子をぶっ殺す?

「う~ん、こよりちゃんがやるの?」


こっちからヤバイクスリとか持って行くかなぁ。

「あるの?」


ごめん、よくわかんない。でもここ病院だから、なんかあるかも?

「イヤイヤ、すごい突破点だよねぇ。

まあ、それでもいいよ。任せるから全面的に」


まあ、今のは冗談として。

「冗談で済ませるんだ」


えへっ、ごめんなさい。

あのね、私の案は、その孫娘と双子にしてほしいってことなんだ。

その子何っていう名前?

「え?双子? えっと、名前はエレクトラだよ」


エレクトラ、15歳の女の子で、おじいちゃんが小さな領地の管理をしているもと騎士団副団長。

おかあさんがもと王宮侍女で未婚の母、おとうさんは王国の第二王子。

これでいいよね。

「うん、そうだね」


バランスブレーカーとして私が行くんでしょ?だったら、エレクトラの双子の姉にしてほしいんだけど。実際には私の方が年上だから、姉でお願い。

名前も考えたんだよ。妹がエレクトラなら、オクタビアにしようかな。

「ふーん、本当にいろいろ考えたんだねぇ」


それで、王子を怯ませて一時的にでも優位に立てるトリックを仕込みたいんだけど、エレクトラとオクタビアが双子で産まれたことは、王宮は知らないままにしてほしいの。でも、おじいちゃん、おかあさん、伯爵家、領民の記憶は全部改竄かいざんしてもらえるかな。

「エレクトラ本人はいいの?」


うん。そこは自分で話をして説得しようかと思って。

ごめん、失敗したらひとりでやる。だから、その時はエレクトラの記憶も改竄できるように何かアイテム貰いたい。

「ふーん。いろいろ考えたんだねぇ」


「エレクトラとまったく同じボディに、こよりちゃんの魂を入れよう。そこは簡単だよ」

う~ん、パーフェクト・コピーか~、いや、クローン? さすが神さまは違うね~。

「うんうん、これでも一応神さまなんだよ、ちょっと崇めてもらってもいいよ?

それで、っと、エレクトラの部屋は、うん。大丈夫だね。

エレクトラの私室の隣が空き部屋になっているから、繋いでしまおう。

他に欲しいものはある?」


エレクトラは魔法使えるの?

「王族の血統に繋がる貴族の娘だからね、かなり能力は高いよ。でも、本人は祖父にくっついて馬に乗って領地を巡ったり、護衛の兵士たちと剣の練習に励んだりしているよ」

じゃあ、オクタビアにも同じ能力をもらえるかな。


それと。あのね、これは神さまにおねだりになっちゃうんだけど。

「うん?なに?」


もし、神さまの世界に癒しの魔法があるならば、それを授けてもらえないかな。こっちでは、ヒールとかいうことが多くて、暖かい光で病気やケガを治すんだけど。

「うーん、それは難題だねぇ。出来なくはないけど、人の力じゃないんだよねぇ。

マユは癒しのポーションを作っていたけど、それじゃダメかな」


ごめんなさい、無理なこと言ったよね。

「気持ちはわかるよ。こよりは自分が病で苦しんだから、癒しの力が欲しかったんだよね」


うん。

「あのね、人の力じゃないけど、その力を持っている神獣はいるんだよ。

もし神獣に出会えたら、力を貸してくれるかもしれないよ」


え、そうなの?ありがとう、神さま。なんかやる気がどんどん出てきちゃうよ。

「そうかい。ボクは見守るだけだけど、しっかりね。ボクの世界で幸せに生きてほしい」

神さま、ありがとう。



こうして、坂下こより改めオクタビアは、ムチャクチャセッティングされて、異世界にやってきた。



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