完璧への執着
グロ注意
真夜中のコンテナヤード、街灯に照らされた無機質な海上大型コンテナの間。
バイオリンケースを持った灰色スライムの男が歩いていた。
男はそのうちの一つの扉に近づき、スライムで、こんこんとノックを3回する。
するとコンテナの中から、ノックが4回返ってくる。
男はノックを5回行った。
すると扉の隙間から紺色のスライムが染み出し、コンテナの扉の頑丈な留め具を外し、扉を開ける。
門番の紺色スライムの男に一礼し、男はコンテナの中に入っていく。
中には40人近くの人間がいた。
血のような赤スライムをつけた男を中心に、話し合いが行われていた。
赤スライムの男が灰色スライムの男に気づく。
「帰ってきたのか、グラウ、腕の子も捕まえてくることはよくやった。これであの方は完璧になれる」
赤スライムの男はスライムをあげて灰色スライムの男を褒める。
しかし、灰色スライムの男は気まずそうな表情をしてスライムをたらしていた。
「ロット様、本当にこれでいいのですか?
私以外の仲間は全て捕まってしまいました。もっと穏便にすます方法はなかったのですか」
赤スライムの男、ロットはその問いに期限を悪くする。
「あの方が完璧になるためだ。
我らは欠けている。
本当の腕さえ入ればあの方は完璧になれる。」
そう言って、灰色スライムの男が持ってきたバイオリンケースを大事そうに撫で、そして開けた。
中には血塗られた手腕が2本入っていた。
旧時代の彫刻や絵画でしかみたことがなかった手腕が目の前にあることに、ロットは頬を赤くして染め、スライムを伸ばし、手のひらを触った。
しかし予想に反して、固い。
「グラウ、これ偽物か」
ロットはグラウを怒りの入った目で睨む。
「そうです。ロット様がさっき穏便に手腕を手に入れる方法があったかもしれないと言ってくださっておけば、本物にさわれたかもしれませんね」
ロットの目に怒り以外に戸惑いが現れる。
「どういうことだ。」
「国王様は、手腕を必要としてません。
ロット様が後悔していれば、我々は密入国の罪で済むはずでした。」
グロウの後ろ、コンテナの扉の方から軋むような音が聞こえたのと同時に、扉が外れ、外から、強い光のサーチライトが差し込んだ。
それと同時にメガホンの大音量で割れて、ドスの効いた男性の声が響いた。
「不法入国者に次ぐ、貴方方は完全に包囲されている。大人しく確保されなさい。」
バイオリンケースにはバイオリン以外の入れないでください。
本作はフィクションです。
現実ではできない、やってはいけないことをやります。