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七雄物語  作者: みやっち
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流通を確保しよう

どうやら椎茸は想像以上に高価なものだったらしい。もちろん高級品ゆえに大量に出荷することはできないらしいが、それども定期的に出荷できるという触れ込みは湊屋を大きく動かした。荷車には鉄や塩その他で満載で重量としては来た時より重くなっているほどだ。

「しかし、坊丸様。あんな約束してよかったんですかい?」

「ん?ああ、大丈夫だ。今回、懐が豊かになったからな。これで計画していたものが進められるよ」

「はあ。坊丸様は変わっていると思っていましたが、まさかの神童でしたか」

「そんなもんじゃないさ。何事も経験だよ」

言ってしまってからしまったと思った御年七歳な俺。見ると二人とも不思議そうな顔をしている。

「まあ、坊丸様の戯言はおいておくとして・・」

「おい!」

「三か月後から定期便(馬車)を一台ですか・・・それも毎月。それほど需要もお出しする品もないと思いますが」

「そこはちゃんと考えている。ちなみに権蔵、健吾、酒は好きか?」

その時、あたりの空気が変わる音を聞いた。



酒とは定義にもよるが、人類誕生と共におそらくあり、下手をすると人類が滅びた後も残っているものである。前世でいうところの米に該当するポメやその他雑穀が存在する以上、酒造りのハードルは結構低いのだが、ではなぜ作らなかったのかというと単純に初期費用が捻出できないからだった。しかし、今回の収益はこれらのハードルを一気になくした。しかも酒は高級品でもありながら需要はかなり多い。椎茸は大量に裁けない以上、こういった需要高なものを作る必要がある。

個人的に内乱時に滅ぼされないためには何が必要かと考えたとき根本的には経済力だと気づいた。だが、こんな ど が何個もつくような地域で経済力など短期間でつくわけがない。

(そのための酒造りなのだがな・・・)

この村でも細々と酒造りは行われている。それは濁り酒でノウハウもあるのだが、それをある程度の規模にかつ、清酒にすることで付加価値をつけることと安価にすることを目指すのだ。

とはいえ目の前で嬉々として働く男衆を見ると少し心配になる俺であった。



およそ2カ月の工事で大きな建物(村感覚で)1つと米蔵が2つ新たに立った。これはかなり早い印象だ。

そんなに飲みたかったのかと戦慄を覚えながら湊屋からの荷車で新たに椎茸と塩をポメに変える。初めての油川からの積み荷で小規模ながら市がたった時には物凄い感動を覚えた。年に数度しかなかったものが月一で行われるようになったのだ。これは物凄い流通が変わったといっても良い。ミクロな話ではあるが。

(今なら三十日市って感じか。こうしてみると四日市市の偉大さがわかるな)

そんなことを思いながらせめて十日市くらいは目指したいとひそかに策を考えるのであった。


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