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石の民「君は星星の船」第4回 ■今までの世界は修練消滅。何もなき亜空間の中を『死せるものの船』が飛んでいる、彼らは何者なのか理解はない。

石の民「君は星星の船」第4回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/




この機械神の世界で、星々が次々と消滅していた。


 詩人を失った反政府組織は、この

動きに観察者をおくりこんでいた。


ある時、反政府組織のメンバーが一室に集まっていた。観察者が報告していた。


「船が作られているらしい」

「どんな船だ」

「我々のみたこともないような船だ」

「その目的は何だろう」


「今の段階ではわからん。とてつもないプロジェクトがすすんでいるようだ」

 



■やがて、予告通り、世界は収斂した。この世界の星々は完全に消えた。

 

この空間は今はない。


 この世界を旧宇宙とよぶ。



 青い光が満ち溢れている。亜空間だった。


星の光はない。



旧宇宙はなくなって久しかった。


 この亜空間を漂うひとつの飛翔体があった。


『死せるものの船』。


この飛翔体がどんな材料で出来上がっているのか誰もしらなかった。数しれぬ意識体がその船の中に詰め込まれていた。眠っていた意識体のうち、幾つかが目覚める。


 そのひとつが隣の意識体に尋ねる。意識体同士がふれあっていた。


『おい、そこにいるもの、いるのだろう、お前だ。すまん、教えてくれぬか、いったい私

はなにものなのだ』


 聞かれた相手もそれが、なにかを聞いているは理解できた。しかし、それに対してどう

反応していいのか、なかなかわからなかった。いったい、しゃべるという行為を、どう自

分の体で処理していいのかわからなかったのだ。やがて、話し方がわかる。その質問に答

えることができた。


『わからないんだ。俺には、記憶がまったくない。お前こそ、何かしらんのか』


 つまりは、ふたりとも何も覚えていなかった。次々と他の意識体が目覚めていた。この

虚船の中でたくさんの意識体が、いまだめざめめずにうごめいていた。


一定の時間がすぎた。総ての意識体がめざめていた。彼らはそれぞれ、自分が何者である

か考え始める。


 ある時、皆が、叫んでいた。


『我々はどこにいくのだ。そしてだれなのだ』 


いまのところ、だれもわからなかった。

だれも答えようがなかった。いまのところ。


 虚船のうえで時が流れた。

時はこの船のうえでのみ、流れていた。多くの意識体は学習

していた。自分達が何であるかを。


が仲間割れがおこった。意見をことにする人々がでてきた。


彼らはたがいに仲間をつくる。やがて、この船からいくつかの意識体が弾き出され

ていた。


この破棄された者たちは、この亜空間で『死せるものの船』の中で作業を始める。


SF小説■石の民■(1989年作品)


石の民第4回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/

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