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石の民 「君は星星の船」第29回■『死せるものの船』で女王アルナはミニヨンに新しい体を要求する。ミニヨンはアルナの因子を伝承していたのだ。聖砲が光を放つ。

石の民「君は星星の船」 第29回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/


『死せるものの船』で、女王アルナはミニヨンAに続けた。

「石棺をみつけたら、連絡しなさい。あなたをすくいあげます」


「この石の棺を手にいれたことで、私のこの船の支配は完全になる。この石の棺が私たちの行き先を決めてくれる」


女王アルナはミニヨンAの方を見ているようだった。


「さて、ミニヨンA、おまえにお願いがあるの、おまえのその体を私に差し出しなさい。かわりにおまえは永遠の生命を手にいれる事ができる。


そしてこの船『死せるものの船』を支配できる。この船『死せるものの船』は世界なの、いえ、もっと巨大なものだわ。私の心の宿主になってくれればねえ。この総ての世界の支配者よ。私の体の半分は機械だもの」


「宿主ですって、なぜ、あなたのような人の宿主なんかに」


「ミニヨンと、有沙の構成因子はすべて私アルナから生まれているよ」


「なんですって、どうしてそのようなうそがいえるの」


「おまえの体が、その世界の人とはことなっていたでしょう」


ミニヨンと有沙の意識がそれを認めた。


「それが、あなたと関係あるとでもいうの」


「私アルナははるかなる昔、石の男ムリムと戦った時、石の男ムリムのからだに私の細胞を埋め込んでおいたの。その細胞が成長したのがお前よ、いわば、私アルナが母なのよ。お前ミニヨンは私アルナの分身」


「信じられないわ」


「事実なの、だから、私アルナの所まで、容易に呼び寄せることができたの」


「それに、石の男ムリムがなぜ、ミニヨンを自分の心底にとりいれたか、わかる」


「まさか」


「そう、そのまさかなのよ。ミニヨンの意識は覚えているはずだわ。ムリムは私のイメージで、ミニヨンをとりいれた。私アルナにそっくりだったから」


「それと、私の体を差し出せとはどういう関係があるの」


「あなたは若く成長した。生命がみなぎっている。お前の体力が欲しい。この船の力を増大するためにもね」


「勝手をいわないで。たしかに、あなたは私のマザーかもしれない。今の今までほっておかれて。母だから、体をよこせと食むしがおすぎるわ」


「あなたになんか、私の体をあげるものですか、死んでもいやよ」ミニヨンAは叫んでいた。


「この小娘、人が下手にでれば、つけあがって。私はお前の母なるものよ。お前の意志など、この船では関係ないことをみせてあげる」


「みせてもらいましょう。あなたの力とやらをね」

Bグループの有沙のしゃべり方だった。


「お前がいうことをきかないのなら、いやでもきかせてみましょう。これは使いたくなかったけれど」女王アルナの手に何かが出現していた。


「それはひょっとして」聖なる守り神。聖砲かと有沙は心でさけんだ。


「いま叫んだのは、有沙の意識ね。そう、聖なる守り神。聖砲。これは剣の形をとる事もできる」


女王アルナは聖なる剣をミニヨンAにむけた。


ミニヨンAは女王の姿を見る事ができた。光はその剣から来ていたのだ。


どきっとした。光のなかのアルナは老女だった。

そしてミニヨンAは女王アルナの前に倒れる。聖砲がミニヨンの肩にかかった。



■ しばらくの時間がたち、『死せるものの船』に祭祀アルクと光二が出現する。


「ようこそ、この船に」女が待ち構えていた。


舞台の上に石棺がおかれている。そのまわり、遠くを石の民が取り囲んでいる。その顔は。


「ミニヨンAか」光二は喜んでいた。


「光二、いくらいってもむだよ。今の私はミニヨンでも、有沙でもない。この石の民を司る女王よ」

ミニヨンAの顔をしたそいつはいった。


「光二、いま、君のすべきことは彼女を倒すことだ」

祭司アルクは冷たく言う。


「光二、今が君の戦う時だ」


「彼女を倒す。どうやって。あんたは助けてくれないのか、アルク、俺一人でか」


「彼女をたおさなけば、時が満ちない。新世界が生まれない」

祭司アルクは叫んでいる。


「新世界だと、俺には関係ない。俺が世界で一番愛しているのは有沙だ。俺はこの姉の顔をした彼女をたおすことなどできないぜ」


光二はアルクと一緒に、ここ『死せるものの船』に来た事を後悔した。


「光二、お前は選ばれたのだ。石の壁に書かれているのだ。お前の名前が」


「なんだったって」


「はるか昔から、予言されているのだ。お前が戦わなければ、この世界が  」


急にアルクはだまる。

「アルク、どうしたんだ」光二はアルクを見る。


「こ、光二、わ、私のか、体を  」アルクの足先が消えていた。


「アルク、どういう 」光二の体に寒気が襲ってきた。こいつはどうすれば。とんでもないことに、なっちまった。


「ほほ、石の男が消えたいま、私が世界の中心なのよ」


「世界の中心だって、この世界はお前が作ったってわけか」


「でも、お前の属している世界は石の男ムリムが作ったもの。いずれお前もあの男のようになる。石の男ムリムが消えたのだから」


「お前はいったい、ムリムとは」


(続く)20200705改訂

石の民 第29回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/

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