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石の民「君は星星の船」 第24回■ジュリの石の壁から石の男がいなくなりパニックが起こった。祭司長マニは、ある予言を言い始め、祭司アルクの娘ミニヨンは変貌していた。

石の民「君は星星の船」第24回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/



 石の壁から石の男ムリムが消えてしまった。


宗教の街、樹里の巡礼たちが騒ぎだす。

巡礼の目の前で信仰の対象だった石の男が消え去ったからだ。


 ガントはおおあわてだ。彼ら光二とアルクが石の男の心にはいってだいぶの時間がすぎ

ていた。間違いだった、彼らをいかすのではなかった。


巡礼向けのスーベニアショップを営むガントは反省していた、


これで、私もアルクと同じように、ああ、いやだ、かんがえただけでも恐ろしい。


あの儀式、それに妻のモリはどうなるのだ、家族は、私のスーベニアショップ店は、私の美しい着物は。


 樹里の祭司たちは大騒ぎだ。


その石の壁の前でガントが棒立ちしている姿が際立っていた。


「ガント店長、何がおこったんだ」


祭司長マニだった。ガントは祭司長マニの驚きに答えて、

つい本当の事を告げてしまう。


「祭司長さまお許しください。実はアルクがもどってきていたのです」

「なんだと、アルクが」


「アルクが一人の若者ともどってきたのです」

「それで」


「石の男の心に沈んだようです」


「ガントおまえはそれをとめなかったのか」


「とめようがなかったのです。それにアルクは、この若者が聖砲をもっているといったの

です。これがすべてを解決すると」


「何、聖砲だと、本当にそういったのだな、ガント」


「そ、そうです」ガントは祭司長の顔が一瞬変わったのを見た。祭司長はひとりごちた。


「時が満ちたのかもしれん」


何の前触れもなく、男たちと女がかえってきた。


巡礼たちが声をあげた。信仰の対象である「石の男」が消えたことは

この世界の消滅を意味するのかもしれなかった。


そして、続いて男たちが出現したのだ。石の男が、心の底に取り込んでいたのだ。


 時代が変化しつつあるという実感が巡礼たちの心に芽生えていた。


その恐怖が人々の心に伝染していく。


「よく、帰ってきた、アルク」祭司長マニは両手をアルクの両肩においた。


「それでは、通信機の声はあなただったのですか」アルクの耳の中の声だ。


「そうだ、だれかが、この世界からでていって、聖砲をもって帰ってくることは、石の壁に

書かれていた。石の壁の文字を読めるのは私マニだけだったのだ」


やがて祭司長マニは決心したようだった。


「アルク、もう我々は後戻りできん。君はこの若者の導師となり、すべての出来事を掌れ。

我々は手助けをしょう。石の男が消滅した以上、石の壁を復興させなければならん。その

ためには北の詩人が必要だ」


「北の詩人はどうやら、私達のいた世界にいるようよ」ミニヨンが光二に告げる。


「君のいた世界だって」祭司長マニがたづねる。


「そう、おまけに復興ドームのVグループが秘密をにぎっているようね」


祭司アルクの娘だったミニヨンは皆が驚いているの

にもかかわらず、次々と事実を述べていく。


「アルク、娘のミニヨンはどうしたのだ」マニが不思議なものを見るように訪ねた。


「彼女は変身したといっているのです」


「この中では、私が一番、石の民に近いところにいるわ」


ミニヨンが皆を無視してしゃべり続ける。


「マニ祭司長さま、お許しください。どうも、もとのミニヨンにはなかなか戻りそうもありませ

ん」アルクは冷や汗をかいている。


「いや、北の詩人の事を彼女ミニヨンは知っていた。北の詩人の事も石の壁に書かれていた」マニはしばらく考えている。


「若者よ」マニは言う。


「いや、俺は光二という」


石の民 第24回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

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