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石の民「君は星星の船」第20回 ■祭司アルクと光二は、光二のいるサーゴン星フッコウドームから、トゥーン星石の壁のあるジュリへワープした。2人で石の男の心からミニヨン(アリサ)を取り返すために。

石の民「君は星星の船」第20回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/


■ 石の民(1989年作品)■

■ 第4章 ミニヨン


光二、アルク。二人は石の壁の前にたっていた。


時空間をジャンプしてきたのだ。


光二のいる第2宇宙サーゴン、ドーム都市・フッコウドームから

トゥーン星「石の壁」のある宗教の町樹里ジュリまで。


突如現れたこの二人を目ざとく発見したものがいる。

祭司仲間のガルナが重い体をゆすりながら、むこうから、走ってきた。


「アルク、アルクじゃないか、お前はこの土地に戻ってはならん」ガルナ祭司が言う。


「アルク、お前の顔は」


ガントはぎょっとした。あの柔和がったアルクの表情が変わっていた。

祭司アルクの顔は戦士の顔になっている。驚いたガルナ祭司は、あとは、小さな声で続けた。


「アルク、わかっているだろう。だれもこないうちに、早くここからきえろ。悪い事はい

わん」ガルナは心配している。


「ガント、安心しろ。君には迷惑はかけない。私は娘ミニヨンを助けるためにかえってき

たのだ」


「どんな方法でミニヨンを助けるつもりだ」


「この男だ」アルクは光二を指し示した。


ガルナ祭司は光二を上から下までなめるように見る。


「こんなへんな着物をきた奴はみたことがない。おまけにガキじゃないか。こんな奴が石

の男に立ち向かうのか」光二は怒る


「なんだって、おっさん。俺たちの世界では俺ぐらいのキッズが、ロボットを支配してい

るのさ。あんたくらいの年ならもう生きていない」


「なんだと、なんというガキだ」ガルナは怒って、光二にくってかかる。


「ガルナ、私はこの彼の力を借りねばならんのだ。彼は秘密の力をもっている」


「へへん、ざまあみろ」


「アルク、そんなこといったってな。祭司会議がなんというか」


「祭司会議がきずく前に我々は石の男の心底に潜り込んでいるさ」


「そんなこといったって、俺の責任になるんだ」ガルナは汗をかいている。冷や汗だ。


「へへん、肝っ玉のちいせえおっさんだぜ」光二は新しい世界と、これからへの期待と不

安で舞い上がっている。


「何をいう。このガキめ」ガルナは顔を赤らめていた。


「光二、黙っていてくれ。いいから、ガルナ、早く解決すればいいのだから」


 二人が言い争いが続く間、光二は『石の男』を見上げていた。その後ろに『石の壁』が

続いているのだ。光二は身震いした。光二の世界のルールがここで通用するだろうか。光

二はやや逃げ出したい気分だった。


といって、光二には、アルクがもっていた写真に写っているのが有沙だと思っていた。なぜ、この世界の人間が有沙の写真をもっているのだ。


どうせ後戻りはできない。そう光二は思った。


「姉さん、会いたい」光二はまた左手で指輪をなでていた。


たった一人の肉親、有沙。会えるならば、どんな危険でも犯さなければな

るまい。話しがまとまりかけていた。


「ガルナ、見なかったことにしろ」


「そりゃあ、こまるよ、アルク」


「あっという間に、はいったことにしろ」


「がたがたいってるうちに他の人間がくる」光二がいう。


「後生だ、ガルナ」


ガルナはうなずき、横をむいた。ガルナとしては最後の譲歩だろう。


「早く。光二」


「えっ、どこへ」


「決まっているだろう。石の男の心底へだ」アルクが言い切った。


「ま、まだ心の準備が」光二のひざがわれそうだった。


石の民 第20回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

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