第三十六話（暦月視点）
久しぶりの暦月視点！
お義母さんに会ったその日、もう遅いということで解散となり、紅葉が送ってくれることになった。
「お義母さん、面白い人だったね！」
「そう？あんまりわかんないなぁ。まぁでも、それは父さんがいないからだよ。2人揃ったらとてつもなくめんどくさいんだから」
「お義父さんかぁ……………会いたいなぁ」
「すごい自然に呼ぶよね」
「えへへ、慣れてるから」
「妄想で？気持ち悪いぞ」
「むぅー！いいじゃん別に………」
「悪いとは言ってないけどさぁ」
「でも、こうやって大人の女性と食べるの久しぶりだったから楽しかった！」
「へー、そりゃよかったよ」
「む、相変わらず反応薄いなぁ」
「そんなことないよ…………大体、自分で言ってるだろ？お義母さんって。暇なら遠慮なく誘えばいいよ。母さん1人でも、俺と一緒でも。もちろん俺だけでも」
「そ、そっか…………あ、ありがと…………」
「ん……」
こういう言ってほしいことを何気なく言うからずるい。
多分、それで中学時代はモテたんだろうなぁ………
ちょっと嫌だな…………
「ねぇ………」
「ん？どうかした？」
「その……さ、髪も切ったし、コンタクトで明日から学校行くんだよね？」
「まぁ、そうしろって言われたからね。君に」
「で、でも！雰囲気は変えなくていいから………」
「？………どういうこと？」
「今まで通り、話しかけるなオーラ全開でいいから………」
「ふーん。暦月にも？」
「わ、私はダメ！」
「はいはい、わかってるよ。俺は誰にも靡いたりしないから安心して。大体、晃とかいるのに俺モテるかな？」
「モ、モテるよ………」
「ありがと」
うぅ…………言っちゃった………
だ、だって不安じゃん！しょうがないじゃん！
でも優しいなぁ。はぁ………好きだなぁ……
最近は紅葉が柔らかくなったせいで、惚れさせるどころか、私がさらに惚れさせられてるような気がする。ドツボにハマってるよ。
さらに聞いても、引かれないかな？
「も、もう一ついいかな？」
「いいけどー？」
「あったりするの？」
「何が？」
「未練とか、あったりするの？元カノに………」
「あぁ、そういうこと…………ないよ全然。言ったでしょ？あれはなんか付き合うことがゴールみたいな感覚だったから………今はなんとも。それにあの話はただの笑い話ぐらいに考えとけばいいんだよ」
「う、うん………わかってるんだけどね…………やっぱり不安っていうか………ごめんね？重いよね…あくまで仮なのに………」
「別に普通のことじゃない？元カノに不安になるなんて。それにあくまで仮って言うけど、そんなには違わないよ。俺の意識と暦月の理由が違うだけ。暦月が俺を好きなことも、俺たちが付き合ってることも、全部ほんとじゃん。気にしなくていいよ。不安ならなんでもいいな？できる限り全部答えるよ」
「…………ありがと………」
う、うぅ…………優しいよぉ………かっこいいよぉ…
これあかんやつや。どんどん好きになってまうやつや。
その証拠にエセ関西弁が出てしまってる。
はぁ………今日はほんとに楽しかったなぁ……
「ねぇ、紅葉？」
「んー？」
「今日、楽しかった？遊びじゃなく、私と一緒にいるの………」
「ふふ………とっても楽しかったよ。ありがとうね。一緒にいてくれて」
「えへへ…………私も！」
そう言って、紅葉の腕に抱きつく。
かなり密着していて、腕に胸が当たるが、関係ない。ぎゅぅうっとひっつく。
「歩きにくいんだけど………」
「い、いいじゃん……お、お嫁さんなんだから……」
顔がかぁぁっと熱くなる。多分赤いんだろうなぁ……
「だから、恥ずかしいなら言わなきゃいいのに………このやりとり何回目？」
「だから、赤くなってないって！」
「はいはい……」
その後はずっと腕に抱きついたまま帰った。
抱きついているのはこっちなのに、なんだか全身が包まれて、温かくなるような、なんとも形容し難い幸せな気分だった。
ニヤニヤが止まらなかったのか、紅葉には何度も気持ち悪いと言われた。
そうして家に着き、今日のデートはおしまいになった。
『今日はありがとね！すごく楽しかった！』
『うん』
うふふ、RINEだと実際会うより反応がうすい。
『明日も遊べる？』
『ごめん、明日は父さんが来るから………』
『あ、そっか！気にしないで』
『晩ご飯ぐらいなら一緒に食べれるけど、どうする？』
『ぜひ一緒に！』
やったー！2日連続で…………！
『じゃあ明日は暦月の家にお邪魔していいかな？』
『え？紅葉の家じゃなくて？』
『多分2人が喧嘩するから、それどころじゃないんだよ』
『あ、なるほど………』
『だめ？』
『ううん、楽しみにしとくね！』
明日は紅葉がうちに来る！
へ、部屋きれいにしとかないと。
そ、それで……紅葉が「部屋綺麗だね」「そうかな？」「暦月はもっと綺麗だけどね」「えっ！」
ってなって、それで……………キャー！！
料理も始めての共同作業とか言っちゃったりして、
「なんか、結婚してるみたいだね」「そ、そうだね」
「このまま2人暮らしして、結婚しちゃう？」「え？いや……」「よーし、早速予習だ！」「うぇっ！」
……………キャー！！
うへへ…………よだれが出そう。
あはぁ………早く明日にならないかなー？
得意の妄想で幸せな夜になりました。
いやー、何を書かされてんだって感じですね。
暦月視点にすると、どうしても甘々になってしまう……困ったものですね。
ちなみに、日曜日の晩ご飯は書くつもりはありません。だって普通にご飯食って話して終わりですから。あまーい展開とかないんで、書く意味もないかなー？と思いました。
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