表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/75

第三十三話

今日はデート!


文化祭は来週の金曜日から日曜日まで、今日は土曜日。つまりあと一週間というわけだ。装飾なんかはわりともう出来てきているし、店長からレシピももらっている。


では、今日の俺は何をしているのか。


デートです。暦月に誘われ、まずは髪を切ることになった。おまけに文化祭までの間はコンタクトらしい。


予約は入れておいたらしいので、それまではショッピングだ。

今はとりあえず服を買いに来ている。



「暦月ー?」


「どうしたの?」


「時間、いつからだっけ?」


「えーとね…………あと一時間半だよ!」


「そっか。ありがと」


「うん!」



一時間半か………


この大型ショッピングセンターからはわりと近いので大丈夫だろう。



「ねーねー!これとこれ、どっちが似合うかな?」


「んー………」



暦月が出したのは上着で、白か黒かで迷っていた。



「どっちも買えば?」


「だって奢るって言ったじゃん」



デートのときは代金は毎回俺が払っている。最初の方は暦月が止めていたが、最近はそれも少なくなっていた。


今回も服はさすがに自分で買うと言っていたが、俺は金が有り余っているし、きちんと貯金もしてるので今回もちゃんと払うよと伝えておいた。


買うものによって奢るかどうか変えたらなんかダサいしね……………


とはいえ、そのせいで暦月に気を使わせてしまっているらしい。



「気を使うのはやめてって言ったでしょ?何回も」


「だって今日は値段が違うし…………」


「今日の髪切りのことだって、俺何も言ってないのに勝手にやってくれたでしょ?いつもお世話になってるし、お礼だよ」


「で、でも…………」


「わかったよ。じゃあ暦月が好きな方を選びな?もう片方は俺がプレゼントとして買うから」


「それじゃあ一緒だよ!」


「全然違うよ。奢るのと、買ってプレゼントするのは全然違うよ。大体暦月は俺にしょっちゅうプレゼントくれるのに、俺なんもあげてなかったからね……気にしないで」


「ん、うん……………ありがと………」


「ん………」


「紅葉はさ……服とか買わないの?」


「んー、今日はいいかな?別に欲しくもないし」


「そっか………」


「まぁでも、せっかく来たんだし、暦月が選んでくれるなら買おうかな!」


「ほ、ホント!?」


「うん。ホントだよ」


「そっか……じゃあ!私が買ってプレゼントするよ!」


「いいけど、1着だけね。それ以外は自分で買うから」


「…………わかった」


「じゃあ、カッコいいの選んでね。よろしく暦月」


「う、うん!」



こうして、俺のコーディネートが始まった。

暦月は楽しそうに紅葉にはこれが似合いそー!とか言っていた。


ショッピングも悪くないかもな…………


最近、暦月と一緒にいて楽しいと思うことが出てきた気がする。

今までにはなかった感覚だ。恋愛感情があるかどうかはまだわからないけど。

それでも、誰よりもそれに近いかもしれない。

友達という枠から、異性の枠へどんどん行こうとしている気がする。


ふふっ…………俺も割とチョロいな………………

あんまり人のこと言えないや………


思わず、笑みが溢れる。


少しからかうか………



「暦月!」


「ん?」



俺の声に服を選んでいた手を止め、こちらを見る。



「楽しいよ」


「へ?」


「暦月と一緒にいるの、楽しいよ」


「へっ?……あ……え……あ、あぅ…………」


「ふふふっ………なに間抜けな顔してんのさ。言いたいことはそれだけだから、早く選んでよ」


「え、あ、うん………………あ、ありがと……」


「うん……こちらこそね」


「ッ…………!」



そこから服を選んでいる間、暦月の顔はずっと赤かった。





ほんと……………こちらこそだよ………

心の底から思う。



暦月、ありがとう…………



美容室に行く途中、横を歩く暦月の横顔を見ながらただ…そう思っていた。




紅葉くんは言うべきことはきちんと言うタイプなのかな?


これが現時点での紅葉くん最大限のデレです。



ブックマークよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] えっ、こんなにダダ甘でいいの? うん、いいんだよね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ