第十九話
日曜日。
暦月がうるさく頼むので、仕方なくデートを了承した。
どうせ、荷物持ちだろうと気乗りしなかったのだが、なんと行き先は遊園地らしい。昔一度、行ったっきり、行ったことがないので、正直すごく楽しみだ。
待ちきれず、一時間も早く来てしまった。
そのせいで、ついあんなことを言ってしまったわけだが………
「おーい!暦月ー!」
目の前で手を振るが全く反応がない。
待ちきれず早く来てしまったことを告げるとよほど嬉しかったのか、目が点になり、ぼーっとなっている。
んー、そういうつもりで言ったんじゃないんだけどなぁ…………まぁそれは言わない方が本人のためか…
「おーい!」
「えっ?……………はっ!……」
さすがにだるくなったので、ほっぺをつねる。
「目、覚めた?」
「え?…うん………………はっ!………て、手が……はぅぅ………」
どうやら頬を触っていた手に気付いて、再びどこかに行ってしまったらしい………
「………もうええわ!」
「いてっ!」
頭にチョップしておいた。
うーん、これからはあんまり余計なことは言わない、しない、でいこう。
「さ、せっかくはやくに集まったんだからもう行こうよ」
「そ、そうだね……………あっ!そ、その前に……」
「ん?」
歩き出そうとしたら、呼び止められる。
「こ、この服どう?………昨日、買ったんだけど…」
「…………えーっとねー…」
余計なことは言わないって決めたばっかりなのになぁ
上は白いシャツに茶色の薄手コートを羽織り、手首のところで巻いている。下はデニムの短パンに黒のタイツ。ついでに靴は黒のショートブーツだ。
うん。普通に可愛いと思う。
けど、またどこかへ行かれたらめんどくさい。
「うん…………すごく似合ってると思うよ…?」
「そうじゃなくて!……」
「はぁ………。正直、すごく可愛いと思う」
「っ…………………!」
顔を真っ赤にして、顔を逸らす
「いや、だから………恥ずかしいなら言わせなきゃいいのに」
「恥ずかしくない!」
「真っ赤でずっとニヤニヤしてるのに?」
「真っ赤じゃないし、ニヤニヤもしてない!」
「いや、今の顔すごく気持ち悪いよ?」
「う、うるしゃい!」
「はぁ…………わかったよ…もう行こう………?」
「う、うん…」
こうして、初めての休日デートが始まった。
「ねーねー!まずどこ行こっか!?」
「さあ?遊園地なんて、大昔に一度だけ行ったぐらいだから、何があるとか全然知らないもの」
なんとか正常に戻った暦月は遊園地に着き、はしゃいでいる。
「え!そうだったの……もしかして嫌いだった…?」
「あーいや、そういうわけじゃなくてね。なんか行く機会がなくてね。さすがに今、一人で行こうとも思わないし…………すごく楽しみだよ、ありがとう」
「そ、そっか!………よかった!」
「うん、だから今日はできれば暦月の好きなところに連れてって欲しいかな?俺わかんないし…」
「う、うん!頑張る!」 ふんす!
「あ、ありがと」
「うん!じゃあ……まずは…………………あれ!」
そう言って指さしたのは、ジェットコースターだった
「ここの遊園地じゃあれはまだ優しい方だから、あれで心を慣らしておこう!」
「わかったよ。じゃあ早速行こうか」
「うん!」
うん。予想通り、休日ということもあり、結構混んでた。
40分待ちらしい。
「ここ、優しいところだけど、結構人気でね…開園してすぐ来たのに、みんな考えることはおんなじか…」
「仕方ないよ……」
ジェットコースター。前は小さかったので、ジェットコースターには乗ったことがない。
楽しみだ…ドキドキする
「こうして、ずっと並んでるとドキドキするね」
「ほぇっ?…………」
あ、しまった………
きっと暦月といるとドキドキするよ的な勘違いをされてしまったんだろう。
また、どこかへ行ってしまった。
結局、戻ってきたのはジェットコースターに乗る直前だった………
「よ、よし!乗ろっか!」
「うん……」
噂ではとても怖いらしいジェットコースター。
いくら優しい方とは言え、初めてで耐えられるかどうか……
結果から言えば楽しかった。
ただ、なんか物足りない。
別に怖いとも思わなかった。
横でキャーキャー言ってるのを見て、楽しそうだなと思った。
うーん?こんなもんなのか?
「次はどこに行くの?」
「んー、意外と平気そうだね?」
「まぁね」
「じゃあ、もうちょっと怖いの乗ろうか!それもまあまあ人気だから、終わった後はちょうどお昼ご飯の時間だと思うよ!」
「そっか………じゃあ、案内よろしくお願いします」
「うん!任せて!」
本当に楽しそうだなぁ
あと、一週間もないし、思い出作りにはちょうどいいのかな?
とりあえず、俺も楽しもう
んー、紅葉が中々ぶれない……
この休日で、紅葉の心は変わるのか、変わらないのか?
お楽しみください!
ブックマークよろしくお願いします!