第十八話(暦月視点)
短め……
許してください!
今の時刻は夜10時。
紅葉からは1時間前におやすみと送られてきたので、もうRINEはしない。
告白したのが火曜日なので来週の金曜日が丁度30日。
明日の土曜から一週間後。
私は全てを話す。告白は罰ゲームの嘘告だったこと、今は本当に好きなこと、次は本物の恋人として付き合いたいこと、本物の彼女としてそばにいさせてほしいこと。
嘘をついていたくせに、贅沢なことだということはわかっている。
…………でも、好きだから。
どうしようもないくらい好きだから。
こないだのカラオケだって雫は皮肉を言われただけということは分かっていた。でも、我慢できなかった。皮肉でもなんでもいいから、言ってほしかった。
紅葉はとてもめんどくさそうな顔をしていたけど、なんだかんだ言ってくれた。きっとあれはからかわれただけだ。それでも嬉しくて嬉しくて、たまらなかった。
だからこそ、怖いけど振られる覚悟は出来てる。
振られてしまえば、紅葉の性格上、私と話そうとはしないだろう。一気に他人へ逆戻りだ。
それでも言いたい。
心の底からそう思った。
ただ、正直自信はない。
予想だけど、私が告白したあのとき、きっと紅葉は私のことを好きじゃなかった。いや、もしかしたら今もそうかもしれない。
めんどくさがりで、紳士な紅葉がどうして好きでもない人の告白を受けたのかは分からない。
だから、自信がない。きっと振られる。
これは多分間違いない。
だから、この一週間で私のことを好きにさせる。もっともっと、私から離れられなくなるぐらい。
最近は紅葉も私と話していて、楽しそうに笑ってくれることが増えた。
可能性はある。
一週間で、出来る限りのアピールをする。
そのために、嫌がる紅葉をなんとか説得して、日曜日のデートをこじつけた。
今は、いつもいる私の友達たちにRINEでアドバイスを貰っている途中だ。
『明日はどんなところに行けばいいかな?』
『男子目線から言えば、荷物持ちみたいになるショッピングはアウトだな。あれもデートとして楽しめるっちゃ楽しめるけど、紅葉の性格じゃめんどくさがるだけだと思うな』
『じゃあ、無難に遊園地とか?………でも待つの嫌がりそう』
『いや、あいつ好きなもののためなら結構待つぜ?もっとも、紅葉が遊園地が好きかどうかはわからないけどな』
『やはり男は道場ではないのか!?』
『筋肉ちょっと黙ってて』
『んー。どうしようー』
『んー、紅葉が楽しみそうなところっていったら、カフェぐらいしか思いつかないなぁ』
『一日中いんの?それはさすがに……』
『やっぱ、遊園地がいいんじゃね?なんだかんだ好きそうだろ、そういうの』
『まぁ、それが無難だよね』
『分かった。じゃあそうするよ!』
『頑張れよ!あいつ待つの嫌いだから、集合場所には早く来といた方がいいぜ!』
『それと、明日はデート用の服買いに行くからね!』
『うん!みんなありがとね!』
はぁ………楽しんでくれるだろうか…
いや、楽しんでくれるはずだ!
たとえそうでなくても、私が楽しませる!
私が積極的に話しかけて、暇をさせない!
絶対に成功させてみせる!
◇◇◇◇◇
朝9時、駅集合だ。
彼は私のお弁当を前断ったので、お弁当は持ってきていない。
もしかしたら、自分のが一番好きなのかもしれないからだ。
30分前には駅に着いた。
そこから、2人で決めた集合場所へ向かう。
早すぎるかな?っても思ったが、早いに越したことはない。
集合場所に着こうとしたときに、私の目に信じられないものが映っていた。
なんと紅葉が、私よりも早く来ていたのだ。
私は急いで駆け寄って、声をかける。
「遅れてごめん!」
「まだ、30分前だし、気にしないで。俺が楽しみで待ちきれなかっただけだから」
ーーー頭の中が真っ白になった……
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