第十三話(前半暦月視点)
日間ポイント1位、ありがとうございます!
元々もう一つの作品の宣伝のために始めた作品ですが、ここまで人気が出てびっくりしています!
前半は暦月視点です。
【暦月視点】
おかしい………いや、ほんとにおかしい。
私はあの日、秀矢に酒井から救ってもらったときから、秀矢のことを完全に好きになっていた。
そして、その日から今日までの十日間、ずっと積極的に話しかけ続けている。
のに、話せば話すほど、なんだか私のこと興味なさそうに見える。
まず、学校では話しかけることができない。
常に話しかけるなオーラ全開である。
それでも声をかけると、睨みをきかしてくる。
晃や恵那はそれでも話かけているが、私には到底無理だ。
だって好きな人に睨まれるんだよ? 怖いって。
RINEをしたって九時以降は絶対に返ってこないし、それより早くに送っても九時になるとおやすみで強制的に会話を終わらせてくる。
いや、最近では八時、早いときで七時半なのに、おやすみを送ってくることもある。
土日にデートでもしよっか? と送ったら、行けたら行く、だ。それ行かないやつだよ!
昨日だって、お昼に『今なにしてるー?』って送ったら、『今から昼寝かな、おやすみ』だ。酷い。これはさすがに酷い。
さっきも、『明日から一緒に登校しない?』って送ったら、『朝から人のペースに合わせるのは苦手だから無理かな。おやすみ』と送ってきた。
あぁ、泣きそう……。
本当に私のこと好きなのかな?
でも、私のために怒ってくれたし……。
ダメだダメだ。めげるな、頑張れ私!
そういえば明日でちょうどテスト一週間前。秀矢は頭よかったから、教えてもらって……ぬるふふふふふ。
よし、早速明日誘おう!
◇◇◇◇◇
【秀矢視点】
「え? 今日一緒に?」
「そそ、一緒に勉強しない? 私わからないところがあって……秀矢頭よかったよね? 教えてほしいなーって」
「なるほど…」
朝、一時間目の休み時間に暦月が勉強会を提案してきた。
しかし、困ったな……。
基本的に授業中は寝てるし、宿題はしてないので、全くと言っていいほど何もわからない。いつも大体直前で詰め込んで間に合うから、今回も今日から勉強するつもりだったんだけど……。
今の僕じゃ、何も教えられないし、勉強なら一人で、音楽でも聴きながらやった方が遥かに捗る。
うーん、まずいな……。
あっ! でも、わからないところがわかるようになればいいわけだから……。
「それなら、平山に頼めば? たしか学年トップでしょ? そっちの方が遥かにいいと思うんだけど……」
「え、えっと……乃々佳は一人でしたいって言われて断られちゃった……」
「じゃあ、筋n…………真那元は? 頭よかったよね? たしか一桁だったはずじゃ………」
「え、えーと……真那元にも同じ理由で断られちゃって」
「そっか……じゃあ僕も、一人でしたいから無理かな。ごめんね」
まぁ、二人に同じ理由で断られたんなら、別にそれで断っても問題ないだろ…
「え!? い、いや…………酷くない!?」
「えー」
まぁさすがにダメか。ですよねー……。
暦月が言いたいのは要するに、彼氏と一緒に勉強したいということだろう。
あくまでも罰ゲームとはいえ、僕のことを嫌いなわけではないと思うし、そういうのに憧れるという気持ちがわからないわけでもない。
もしかしたら、嘘告の延長でそういう指令を出されている可能性だってある。
それなら、さっきの断られたというのも嘘の可能性があり、晃も入れて三人で……なんてこともできるが、きっと上手く言ってそれとなく断られる。
つまり、暦月は僕と二人っきりで勉強したいらしい。
最近冷たい態度をとってしまっているし、これ以上はしょうがないか……。
「わかったよ……」
「ほんと!? ありがとう!」
「ただし、僕はテスト前に一気に詰め込むタイプだから、今は何もわからない。だからわからないところがあるなら、次の休み時間にでも教えて。授業中に教科書見て、勉強しとくから」
「あ、ありがとう…」
にへらっと笑いながら、恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながらもお礼を言ってくる。
まぁ、恋人の定番みたいなもんだし……。
たまにはいっか。
「どういたしまして」
一応笑顔で返しておいた。
すると、さらに顔を真っ赤に染めながら自分の机へ戻っていった。
なるほど……。
これが、恋人というやつか……。
思ったより、めんどくさい……。
ブックマークよろしくお願いします!