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ホワイトデーのホワイトたる、白いおはなし

 ラッキーカラーは白!白い物を身に着けたら良いでしょう。貴方の恋愛運は最高潮!幸せなホワイトデーとなります。


 のの子はテレビの朝のお出かけ占いでそれを知った。

 タケルもテレビの朝のお出かけ占いでソレを知った。


 ♡


 私はバカだったわ!のの子は激しく、今朝の思い付きを後悔している。付き合い初めて間もないタケル。今日はのの子のバレンタインのお返しに、夜、家でご飯しない?と激あま予感のメールを前夜に受け取ったのの子。


 既に終わらしている段階から、先に進む事を匂わす内容に、どうしよう。ドキドキしながら眠れない朝を迎えたのの子。


 そして知った本日のラッキーカラー!


 ええ!白!洗濯して乾いてない!新しいのもない!上下バラバラはだめよね。でも、どうしよう。あ!そうだ、この前田舎のおばあちゃんから届いた荷物に……、


『白のでっかいおパンツ』が入っていた。


 ――、腹が冷えたらアカンから、寒いときはこっちを履け、女は冷えは大敵。おばあちゃんより。


 との手紙と、携帯カイロとりんごとインスタントラーメンにモモの缶詰が、ぎゅうぎゅうに詰められていた宅配便。おばあちゃん厳選の、木綿100%の大きなおパンツがそこには入っていた。


 でも待って!乙女心がストップをかける。


 ……、幼稚園児のおパンツ履いてるなんて、知られたら、ちょ~ハズくない?でもラッキーカラーは白。白。白。


 白いカラーが彼女を染め上げた。


 よく考えれば、白のキャミソールでも、ブラウスでもワンピでも、バレッタでも、何でも良かったのだ。なのに頭の中にエロの神様が降臨していたのの子は、


 身につける物=おパンツ


 と勝手に限定してしまったのだ。


 当然、タケルとラブラブな時間をたんまり過ごし、気がつけば終電が過ぎてきたのの子。


 泊まって行く?うん、そうするとなるのはセオリー。


 そこで出てきたおパンツ問題である。


 ……、シャワーを浴びてくるわね。その後、のー!おパンツになったらバレない。でもそんな事できない。じゃあ彼の手にかかる。それはもっと死にそうにイヤ!


 悶々と悩むのの子。


 一方。


 ♡♡


 タケルも悶々と悩んでいた。朝から気合いを入れていたタケル。占いでカラーを知ると、クローゼットからゴソゴソ出してきたのは。


 田舎のじいちゃんが、都会に出るとき手渡してくれた、白のでっかいブリーフ。木綿100%。


 ――、じいちゃんはな!このパンツが勝負パンツじゃたんじゃ!お嬢様だった、婆さんをかっさらった時もこのパンツのおかげで、駆け落ち成功。その後幾度となく訪れた修羅場も見事これで乗り切った!お前もふんどし締める勝負の時には、これを履け!


 ドン引きの孫に手渡したそれ。そのパンツパワーの霊験は確かにあった。


 難しいプレゼンも、気難しい取引先との接待も、そのパンツパワーで乗り切り、社内では出来る男と評判が高いタケル。


 そこそこにイケメン、そこそこに高身長、そこそこに仕事も出来る。そんなタケルに好きな女の子が現れた。


 野原のの子、経理課のニューフェイス。アイドル歌手並みの可愛さと、身長は些か低いのに、出るとこ出てて引っ込むところは引っ込んでいる、ナイスバディの彼女。噂によると、海賊アニメのヒロインがもつ奇跡のスリーサイズと変わらないらしい。


 そんな彼女と紆余曲折の末、付き合い始めたタケル。社内のリア充撲滅部隊からは、日々怨念の波動砲を発射されている。


 ……、何も考えず、勝負パンツを履いてしまった……。どうしよう。なんとか見られないようにしなくては。真っ暗にして、イヤ、真っ白過ぎてぼんやり気配が見えるかも……。じゃあ、先にシャワー浴びるよと、腰タオルで出てくる。なんて無理。


 こちらも悶々と悩んでいる。 



 ♡♡♡


 そうだ!のの子は閃く。コンビニに行って、買えばいいんだ!ついでにおトイレ借りて履き替えたら……。うん、それしか乙女の道はない!


 そうだ!タケルが閃く。彼女の隙きを狙い、クローゼットからパンツを出し、トイレで履き替えたらいいんだ!うん!それしか俺の道はない!


 そして彼の計画は自宅という事もあり、コーヒー入れるね♡と席をたったその隙きにスムーズに交換が執り行われた。



 残るはのの子のみ!



 似た者同士の二人の恋の道は!この先どうなったのか!



 その後二人はのの子がアイス食べたいと言い出したので、二人恋人つなぎでコンビニに行き、一度店を出た後に、


 ああ!買い忘れ、と偽装工作バッチリ。店内に戻ったのの子はお目当ての品を手に入れ、ついでにおトイレ借りて準備万端にし帰ったのだ。


 二人で仲良く白いバニラアイスクリームを食べた。までは良かったのだが。その後……。お腹が少しばかり弱いタケルは、急降下に見舞われてしまったのだ。


 お楽しみが遠のいたのは、言うまでもない。そんな彼をのの子は優しく介抱したのは言うまでもない。



 勝負パンツを手放していたからだろうか。それとも。


 のの子がごくありふれた、チェックのおパンツに変えたせいなのかは。



 3月15日の恋の神様だけが知っている。


 この事で二人はその数カ月後、めでたく高砂を迎えたのである。



 ハッピーホワイトデー♡


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― 新着の感想 ―
[一言] パンツにそれほどの力があるとは Σ( ̄□ ̄|||) 楽しかったです~♪
[一言] ( ´・ω・)⊃ご祝儀
[一言] おパンツの魔力はそこまで強かったのですね。
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