世直し聖女の朝ご飯はアンパンと牛乳
色気のない部署に、挑戦が花言葉の赤いガーベラの花束が届けられた。
『27ラジオ零時の消滅』
私が見つけたカードに書かれていた。
ダイニングメッセージだ。
ソレと我々が呼ぶ存在からの。
男か女かは分からない。警察の目を嘲笑う様にすり抜け、的確に罪を重ねるソレ。
義賊と言う者もいる。何故ならソレが手を下す輩は我々が捕まえられぬ犯罪者。
例えばイジメを裏で糸引く人間
証拠が皆無な殺しとでも言うべきか
泣き寝入りの被害者家族。不甲斐ない組織に見切りをつけた彼等は、何も出来ず悔し涙に暮れるしかない。
声無き叫びに呼応するかの様にソレは動く。
何処からか嗅ぎつけ、獲物を追い詰め確実に死に導く。手掛かりは遺されていない。何ひとつ、ただ。
遺体が現場にポツンとある。生前の痕跡を追っていくと泣き寝入りの被害者に辿り着き、その先を探るとソレの姿がぼんやりと浮かび上がる。
カードの文字。チャンネル?それとも日にち?それとも番組名?手がかりを探す様に命じた。
局に問い合わせ、27日にはラジオを手分けし聴き続け、ソレに通じる事を探したのだが、何も出てこなかった。
私の信用性は落ちた。捜査から外される。
考える事が多い時の朝食はアンパンに牛乳。糖分とカルシウムは理に適っている。
手掛かりの無いソレに悶々としている捜査員達。どんな理由にせよやっている事は殺人。犯罪者を野放しにはできないと使命感に燃えてる皆。
最初の獲物は転落死
次は冷蔵庫で窒息死
何方も泣き寝入りで死んだ者と同じ方法。
丸く甘いパンを食べつつ記憶を解く。妻が用意したホットミルクを飲む。
「おっはよ、朝ご飯ウケるぅ」
「アンパンと牛乳、ドラマの張り込み?アハハ」
しかめっ面で食べていると、高校生になった双子の娘達が笑う。
「早いな、冬休みだろ?」
「うん、目が覚めちゃっただけ。あー!ねぇ、マコはブクマしてた?」
「ううん、してなかった!まさかホントに、一時間で無くなるなんて思わなかったもん」
父親の事などそっちのけで話が弾む。
「聖女の世直しだっけ?面白かったよね、次々と卑怯な奴を殺してく話」
「ビルの上から落として、次は不法投棄の冷蔵庫に閉じ込めて、ブラウン管テレビに天誅って書いて」
「面白かったよね、もう一回読みたいなって、今朝起きて見たら無い」
「ラストの犯人の名前がウケるぅ!」
話に割って入る。
「犯人の名前?」
「ウェブサイトの千文字の投稿作品、ラスト4文字が犯人ってオチの小説、お父さん」
今日でラジオ企画も終わりますねぇ(^o^)/
こっちの1000文字の呪いは、しばらく続くやもしれません。だって作り込むの面白くてw