文学少女がページを開いたお話
文学少女がページを開く。彼女の物語が勢いよく飛び出る。
銀の森、暇つぶしに大魔王が聖女をバックハグ。
「ぬ!これは天然でないぞよ!」
大魔王は名探偵の如く過去の記憶から導く。この手触りは!
「シリコン!偽乳!お主は何者ぞ!」
「偽物とは聞き捨てならん!妾は世の為人の為、神託を受け性転換をし、おねぇとなり聖女として生きる事を選んだ、清く正しく美しい伝説のおねぇ!その乳をバックハグで掴むとは無礼千番!喰らえ必殺技!往復ビンタ!」
張倒された大魔王。その力、ブラウン管を木っ端微塵にする威力!
ゴロゴロと緑の地に転がる。
「ふぐ!殴ったね!ダディにも殴られた事が無かっのに」
涙目になる大魔王。それ見た聖女。
「それでも大魔王か!軟弱者!」
再び必殺技を繰り出した。
「バカぁぁ!」
ボン!大魔王は泣きながらドラゴンの姿となり、入道雲を切り裂き逃げ出す。
はぁ、とんでもない目にあった。人間界を暗黒に染めよかな?憂さ晴らしを考えた大魔王。しかし世で暮らすには金儲けが必須。
時空を飛び先ずは幕末へと向かう。
コントロールしやすい、食うや食わずの農民と忍者を言葉巧みにスカウトし連れてきた現代日本。
電気水道ガスに家財道具のみの、ボロアパートが社員寮。
お屋敷!喜ぶ忍者と農民。
牛乳とおにぎりが日々の糧。
銀シャリ!乳!喜ぶ忍者と農民。
我の立ち上げた、超一流ブラック企業のサラリーマンとして働け!と社長である大魔王が言う。
ガッテン承知の助!契約はなされた。
サラリーマン忍者は忍びの術を駆使し不正を行う企業の暗部を暴き出す。
サラリーマン農民は朴訥誠実を武器に人脈のパイプを極太に育て上げる。
「社長!この社は賞味期限切れのおにぎりのシールを貼り替えで売ってるでござる」
「何とかしろ」
忍者はサクッとトップを暗殺し天誅を成す。
「社長さ、天誅の件じゃが週刊誌が騒ぐほ。裏から手を回すっちゃ」
農民が育て上げたネットワークから何やら情報を拾ってきた。
「何とかしろ」
「そういやその出版社は良い噂を聞かぬ、イカサマ多し!探りを入れるでござる」
数日後、出版社のトップに天誅が下る。農民がさる筋に手を回す。
事件は表沙汰にはならない。
夜な夜な天誅が果たされる。浄化され行く社会。
「へいわぁぁ」
牛乳で乾杯をしおにぎりを喰む農民と忍者。
嬉しそうな配下を見ながら、予想と違うがまあいいかと大魔王はツナマヨをひと口食べた。
文学少女はページを閉じた。彼女の物語はなろっと終了。




