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大魔王とリリアル〜ブルームーンのいたらずら、ハロウィン王国編〜

 むかーし、むかしあるところに黒のお城がありました。お城は、美しいお花畑が広がる中にあります。ところどころに桃やりんごの木が植えられていて、とても綺麗な場所です。


 大魔王「イヤだ!僕はもうお城から出ないよ!ジャック。今宵はハロウィンだけどね!僕は大人しくするんだ!」


 大魔王がシナモンが効いたパンプキンパイを切り分けながら文句を言っています。日本から仕入れてきた、茶漉しで切り分けたパイに、粉砂糖を雪の様に振りかけます。


 ジャック「恐怖の大魔王が何言ってんの?大体君がちゃんとしてないから、お祭りになっちゃってるんだよ!そもそもハロウィンとは、死者が現世に戻る夜であり、それに混ざり悪霊達も、色々悪さをしに行く夜だよ!」


 大魔王「その!恐怖の大魔王っての、やめてくんない?そもそも僕は七人魔王の内の一人、だけだったんだよ、何時から恐怖ってのになってんだよ!」


 ハイ共食い。とケーキ皿を差し出す大魔王。彼の隣では乙女ドラゴンのリリアルが、ホグホグと白いパウダーで唇を白くしながらパイに夢中。


 リリアル「んふー!おひひい。そうれす!私も二度とお空を飛ばないんです!はぁぁ、ペンネルの星と月が赤と黄色に3回転とヨンブンノイチ、また年取っちゃったー。う……卵たまごたまごぉぉ!」


 干物女ドラゴン道を進むリリアルは、出来るだけおしとやかにすることにした!と鼻息荒く話します。ふお!と粉砂糖が空に舞います。


 大魔王「そうそう、僕もね、お嫁さん欲しいし……大人しくしとくの、ね、だから食べたらとっとと帰って!ハロウィンの王なんだから、独りで人間界(あっち)に行って頑張ってね」


 温めたカップに、濃く出したアッサムに熱いミルクを、トトト……、砂糖つぼから小さな黒糖をひとつつまみ入れ、銀のスプーンでくるくる混ぜる大魔王。


 ……、うーん。今年は特別な月夜なんだよな。ジャックは二人を連れ出す策略を練ります。いつの間にやらハロウィンのキャラクターになっているジャックでは、アチラの世界に、ハロウィンの夜に必要な、恐怖に満ちたオーラを振りまく事が難しいのです。


 紅茶を飲む大魔王とパイをかぶりつくリリアルは、ジャックと視線を合わそうとしません。


 ジャック「ええー!うーん……。独りで頑張れって冷たいねぇ、ふん!いいよいいよ。今宵は()()()()()だから、誘いに来たけど……どーも失礼しました!」


 押してもごねるだけそうな二人なので、引いてみることにしました。案の定、リリアルが特別な月夜という言葉に、食いついてきます。


 リリアル「と!特別な月夜って!何ですの?」


 ジャック「のぞみ叶う夜♪」


 オペラの様に節を取り歌い上げたジャック。かかった!心の中でにやりとします。真っ暗な虚の様な目の穴に、光がポツンポツンと宿り嬉しそうに、ぴょんぴょん上下しました。


 のぞみ叶う!行きまひょうう!!イケドラに出会える様にお願いするのです!とリリアルが意気込む。


 大魔王「のぞみ叶う?それは本当か!ならば今宵、かわいい乙女に出逢えるのか?」


 ジャック「うん、それぞれに『イケドラ』『かわいい乙女』と唱えていたらいいんだよ、あ!それから今年は僕の国に来てほしいんだ!人間界は自粛とかで、国のイベントをウェブ配信するんだ」



(*^∇^)ノ゜・*:.。.☆ハッピィハロウィン☆.。.:*・゜



 リリアル「きやぁぁぁ!」


 大魔王「うそぉぉぉぉ?」


 お互いマックスモードで、イケドラ、かわいい乙女、イケドラ、かわいい乙女と悶々と唱えてた主従。空にはブルームーンが中天でほんわり光っている。


 これはどういう事なのか!ジャック!と可愛らしい声で詰め寄る大魔王は、彼の国に着くまで唱えていた言葉通り、『可愛らしい乙女』の姿。当然、リリアルはイケメンドラゴン。


 キヤァァ!何というイケメンなお方!

 ふぉぉ……!何たる美なる乙女!乙女!


 ハロウィンの国に住むお年頃達の声が、怒涛の如く立ち昇る。それは地鳴りにも似て、夜の空気をビリビリと響かせる。空の蒼い月がフルフルと揺れる。


 ジャック「のぞみ通りだと!」


 ちがーう!声を合わせた二人に、危機が訪れた。何とそれぞれに求愛をすべく、お年頃達が続々と寄ってきたのだ!


 リリアル「ふえ!違うの!違うの!私男じゃ無いのぉぉ!」


 とっさにリリアルが太いイケボで否定する。すると乙女ドラゴン達に混ざっていた野郎ドラゴンが、目をキラキラとさせた!


 ドラゴン「は?男じゃない!では()()の方とみた!我の愛を受け取ってくれ!男同士の至高の熱い世界に、実のざるとも二人で薔薇の華を咲かそう!」


 ふぉぉ……イケドラにプロポーズされちゃった、と喜んだリリアルだが、実のざるとも?薔薇、はい?今の姿で?と気が付くリリアル。


 大魔王「うええ!ちがーう!男はダメだ!寄るな近寄るな!無礼者!」


 大魔王が澄んだ声で、熱い視線の魔法使いの青年達をバッサリ切り捨てていると、キャー♡そっちの方でしたのぉ!と黄色い声があがった!


 美魔女「男がダメとは!至高の白百合と見た!美しき乙女よ。私の手を取ってください!子供など養子をとればいいのです!二人で白い華の世界を創りましょう♡」


 うおお!これは何という美女……、はい?至高の白百合とな!ダメダメ!そっちじゃないそっちじゃ……!虚耐える大魔王。


 大魔王「リリアル!」


 リリアル「はい!魔王様!」


 美しき乙女の姿の大魔王が、黒髪を月光に煌めかせ、ヒラリとリリアルの背に飛び乗る。銀の鱗が男性化している為にブルーにきらめくリリアル。


 イケドラ「何という美しいお姿なのだ!我の()()に!女はいらん!男こそ我の花嫁」


 飛び立つ二人をイケドラが追う!


 美魔女「まさしく至高の白百合、お待ちになって!百合の君!」


 箒を取り出し美魔女も後を追う!


 大魔王「百合の君ぃぃ?来るなぁぁぁ!来るなぁ!リリアル高度を上げろ!」


 リリアル「女はいらない?花嫁ぇ?いやぁーん!ハイ!」


 グン!月が二人に近くなる。魔王のスイッチが入ったのは言うまでもない!


 大魔王「く……フフフ、フフフフ!オーホホホホ!喰らえ地獄の劫火!オーホホホホ!オーホホホホ!」


 ブルームーンが輝く夜空で、恐怖のオーラが花開く。


 ジャックが治める国の民達は大喜びで上を見上げ、そしてこの光景はライブ配信されている。


 ジャック「うーん!いいねぇ!『いいね!』かジャンジャンついてくる!やっぱり恐怖のオーラが違うよ!ね!」


 ジャックは彼が放つ魔素を地上に害成さぬ様に散らしつつ、満足そうに骸骨頭を空に向けていましたとさ。


 お、わ、り。


(*^∇^)ノ゜・*:.。.☆ハッピィハロウィン☆.。.:*・゜



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― 新着の感想 ―
[一言] 大魔王とリリアルキターーー!!!! このシリーズすこ( ˘ω˘ )
[一言] ドタバタが楽しいですね。 ハッピーハロウィン。
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