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のんびり時々復讐を。  作者: カロ
第一章 轟かす神の寵愛者
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第十話 ギルマスはカワイイ女の子……。






 いや、確かに僕のあの対応も酷かったと思うよ? いくら怠くても人の言葉に反抗的な態度をとったのはよくなかったですよ。でも、あの人もあの人だよ。たかがそれだけの理由でラディ曰くの銀髪ロリっ娘をこんな盛大に殴るかな? 明らかに非人道的な最低行為だよ、これは。


 辺りからは悲鳴が響きこちらに視線が注目する。

 いいだろう、テンプレを望むならお返ししてあげようじゃないか。ここまでやったら、僕も反省しないからな? 非常に、ひじょ~に体が怠くて、まともには戦えないだろうけど、神様からもらった力を見せるときが来たようだ。


「……全く、何するんですか。先に手を出したのはそちら――ふあぁ……。あふぅ。失礼しました。先に手を出したのはそちらですから、これはもう立派な正当防衛ですからね。……ふぅ、よいしょっと」


 怠さに負けじと、全力で壁から抜け出して地面に着地する。


 僕、これが終わったら、リトさんの家に帰って一日中寝るんだ……。


「ちっ、欠伸とかふざけてんのかよ、てめぇ。あぁ? そんなに死にてぇならお望み通り殺してやるよ。おらぁっ!?」


「……むぅ、だって怠いんですも――うわぁっ!? ……って、遅っ!?」


 殴ろうと、構えながら走ってきた男の顔に驚くが、そのスピードはあまりにも遅く、その手をちょん、と下に押してやると盛大に地面に倒れてしまった。


 うそぉ……。これって、僕が強すぎるの? それとも、こいつが弱すぎるの?


「ぐぅっ、運が良かったな。だが、今度は――べぶらぁっ!?」


「ナギサっ!! 大丈夫っ!?」


「あっ、リトさん。……大丈夫じゃないです眠いです怠いです」


 僕の比にならないくらい、あの男が遠くに吹っ飛び、リトさんがこちらに呼びかける。遠くの壁にめり込んでいる男の背中には丸く焦げた跡があり、そこから煙があがっている。


 リトさんはそんな男を気にすることなく、僕の元まで走ってきて強く抱きしめる。ペタペタと体を触り、ケガがないことを確認すると安心したかのように、ふぅ、と大きく息を吐く。


「全く。私から離れちゃダメじゃない。冒険者にはああいうクズもちらほらいるんだから気をつけなさい?」


「あぅ、はい。分かりました。そ、その、このままおぶってってもらうのできますか? 怠くて動く気がしないです」


「はぁ、いいわよ。でも、ここまで歩いてこれたんだから次はもうちょっと頑張ってみるのよ?」


「……はい」


 群がる人だかりと、男の惨劇の中、それを起こした張本人たちでは、ほのぼのとした会話が繰り広げられていた。










「あの~、この子の登録をしにきたんですが……」


「……こんにちは」


 リトさんが、ちょいかわの受付の人に話しかけたところで僕も、肩から顔をのぞかせ挨拶をする。

 あ、顔赤くなった。そんなに銀髪ロリっ娘は需要あるのかな? いや、確かによく画像検索で絵を見てたけどさ。めっちゃ可愛かったけどさ。


 リトさんが再度呼びかけると意識を取り戻したようで、急いで紙を取り出した。


「え、えと、この紙に必要事項をお書きください。嘘を書いてもよろしいですが、登録は一回しかできず、変更等も出来ませんので注意してください」


「……はい」


 リトさんが紙を受けとり、近くのテーブルに座って紙とペンを持たされる。……字は日本語でも大丈夫なのかな? あ、なんか別の文字に変換された。こういう補正は自動でしてくれるらしい。


 必要事項は……名前と年齢と出身地、希望職だけらしい。名前はナギサ・ヴァンノワールと書いて、年齢は……。


「リトさん、僕って何歳に見えますか?」


「え? あぁ、そうね。大体十三歳くらいかしら」


「ん、ありがとです」


 十二と書き込み、本当に幼くなってしまったことを実感する。元は十六歳だったから、たった三歳だけど、男子の十六歳と女子の十三歳はかなり大きい。


 あ、ちなみに十二歳から十五歳対象がロリコンで、七歳から十二歳がアリコン、五歳から七歳がクラコン。それもよりも下がペドフィリアと呼ばれるらしい。僕がもうちょっと幼かったらアリっ娘になってたのかな? なんか弱そう。……え? どうでもいい? はい。すみませんでした。


 さて、出身地はよく分からないし、不明って書いとけばいいよね。あとは、希望職だけど……。


「……リトさんってどこ担当何ですか?」


「一応魔術師の立ち位置だから後衛ね」


「なるほど。なら……あー、剣士でいいかなぁ」


 色々考えようとしたが、途中で面倒臭くなり定番の剣士と書き込む。剣は、中学校で買った木刀をかっこつけて、家で振り回している程度だけど、まぁ何とかなるでしょ。……やばい、どんどん眠くなってくる。


「終わり――ふあぁ。終わりまひた。届けてきますね」


 力を振り絞って椅子から立ち上がり、てとてとと受付の人へと紙を持っていく。

 何とか辿り着き、ギリギリ見えるくらいのカウンターに紙を渡す。


 僕、頑張った。ほめてほしい。そして、ベッドまで運んでそのまま起こさないでほしい。


「……はい、大丈夫です。次は段位能力値を測らせていただきますね。リト様もいらっしゃいますか?」


「そうね、ナギサの能力値は気になるしついていかせてもらうわ」


 いつの間にか後ろに立っていたリトさんに驚くが、呼吸を落ち着かせ、まだやることがあることにショックを受ける。


 段位能力値ってなんだよぉ。もう可愛いギルマスとかいらないから帰らせてほしい。


 受付の人に部屋の奥へ案内され、そのままついていった結果、なにやら大きいベッドが現れた。

ここに寝転がれという事らしい。しょうがない、折角のベッドだ。寝転がってあげよう。


「はい。そのまま少しお待ちください」


 上に取り付けられていたライトが体に当てられ、頭から順に下がっていく。


 うぅ、眠い。ここまで頑張ったし寝てもいいよね。うん、きっと許されるはず。よし、おやす――


「終了です。起きて大丈夫ですよ?」


「…………。あっ!……むぅ」


 嫌そうな顔をし、起き上がろうとしない僕を、リトさんが無理やり抱え上げ地面に降ろされてしまう。


「それでは、結果表を持ってきますので、少々お待ちください」


 僕とリトさんのやり取りを笑顔で見ながらそう告げると、更に奥の部屋に入っていった。

 すぐに沈黙が流れ、かなり気まずい状態になるが、ここは日が当たらなくてかなり良い場所だ。加えてあの光から感じられる僅かな熱が心地よかった。ただ、ベッドが固めだったのが欠点だけど。


 しかし、これ、怠さは少し落ち着いたけど、まだ残ってるんだよなぁ。流石に日に当たらなければ問題ないって感じじゃない? いや、でもリトさんの家は全然怠くなかったし、何か法則が……。


「ぎ、ぎ、ぎ、ギルマスぅぅぅっっ!!!」


 ……何か奥から叫び声が聞こえてきたけど、今のは気のせいだろうか。……うん、きっと気のせいだよね。あ、結局段位能力値ってなんなんだろうか。リトさんに聞いてみよ。


「リトさんリトさん、段位能力値って何ですか?」


「んっとねぇ。筋力、体力、魔力それぞれが世界平均から見てどれくらいのレベルなのか。各属性を操れる能力はそれぞれ世界平均から見てどれくらいのレベルなのか。それをF~SSSランクで表したものよ。これを総合的に見て、ギルマスが、この冒険者はこのランクからスタートさせるって決めるの」


「へぇ~。……って、それじゃぁ、闇の寵愛者ってバレちゃうじゃないです――」


「お前がナギサだな。俺はディザイリア王国冒険者支部支部長、ルウァン・ディルエータ―だ。少し話をさせてもらいたい。支部長室まで頼めるか?」


 あぁ、これは完全にやらかした……。


 てか、支部長って要するにギルドマスターでしょ!?こんなむさ苦しいおっさんとかありえないからぁぁぁぁぁっっっ!!!















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