第1章 兄と妹
更新しました。久しぶりの新しいエピソードです。
「お兄ちゃん!朝御飯の時間だよ!」
妹の弓音の声が、兄の高坂友喜を起き上がらせた。
壁に備え付けてある時計を見る。時刻は午前八時四分だった。
「日曜日だからって、いつまでも寝ていていいわけないでしょ?」
兄の部屋に入ってきた弓音にそう言われたので、友喜は低い声で答えた。
「そうですね、次からは善処します」
弓音は苦笑する。
「その台詞、今回で何度目だっけ?」
そんなやり取りを交わしながら、高坂兄妹はリビングに一緒に来た。
母の遥が、キッチンで朝食の支度をしており、出来上がった目玉焼きを皿に乗っけている。
「友喜、あなた、たまには妹に起こしてもらわずに、自分で起きたらどうなの?」
弓音が母に続く。
「そうだよ、お兄ちゃんは私のお兄ちゃんなんだから、もっとしっかりしてもらわないと、世界が
大変なことになっちゃうんだからね!」
友喜がやんわりと言い返す。
「どういう意味かサッパリ分からないぞ、弓音のその発言・・・」
弓音は大袈裟なことを言いたがる性格なのだ。
父の春喜が単身赴任で不在の高坂家の三人は、いつもと変わらない朝を迎えていた。
主人公兄妹が登場しました。
こいつらの物語を見てやってください。