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プロローグ

その異世界には、心があった。

生きている人間と同じように、感情があり、思考能力があり、確かな自我があったのだ。

そして、幸か不幸か、痛覚もあった。


その異世界は、いつ誕生したのか、異世界自身にも分からない。

ただ、いつの間にか意識があり、自分の中で生まれ、育ち、そして発展し文明を築き上げていく

生きとし生ける者達を、その異世界は見守っていた。

その者達は、時には争い、傷つき、苦しみ、それでも復活して懸命に生きてきたのだった。

異世界は、その者達を姿形に関わらず平等に愛し、活動を応援するようになっていた。

やがて、皆が天寿を全うするその時まで、どうか生きぬいて欲しい。

それが、異世界自身の唯一の願いであった。

だが、その願いは踏みにじられることになる。


「ニホン」から突然やって来た「転生者」達によって。


どういう事かというと、彼ら「転生者」達は、チキュウと呼ばれる場所で誕生し、その一部である

「ニホン」という地域で育ち、人生を送って来たそうなのだが、自分達の境遇に大いに不満があるらしく


「人生に嫌気が差していて、早く死にたいと思っていたら、偶然自動車事故に巻き込まれた。

死んだ、と思ったら、いつの間にか、この異世界に転生していた」


各々の意見の間に多少の差異はあれど、大体そのような事を、彼らは宣い、事実その通り

前兆など一切無く、異世界にやって来たのだ。

そして、彼らは無遠慮に大暴れしたのだった。・・・その異世界の内部で。

転生者達は、自分達の故郷「ニホン」で培った知識や、いつの間にか労せずして獲得していた、

やたら強力で便利な「チート」と呼ばれる特殊能力を駆使、いや濫用して、欲望を満たしていった。


魅力的な異性を大勢侍らせる。

戦争を起こして、戦場で思う存分闘い、敵軍を圧倒し、壊滅させる。

富・名声・権力などを欲しいままにし、贅の限りを尽くす。


転生者達は、自分達が天国のような楽園に来た、と思っていた。

「ニホン」などとは全く次元の違う、自分が神様のように振舞える世界に来たと。

しかし、その異世界そのものにしてみたら、転生者達は「侵略者」達であり、厄介な「異分子ども」であり

更にハッキリ言うと、「不快極まる異物」以外の何者でもなかった。

しかし、転生者達は、そのことに気付かなかった。

まさか自分達が荒らしまわっている異世界そのものに、自分達人間のそれと同じではないとはいえ、自我や心のようなものがあるとは夢にも思わなかったのである。

そして、やり過ぎた彼らは、遂に、その異世界を滅亡させてしまった。

能力を好き放題使ったせいで生態系を破壊し、戦争で大勢の異世界人達を虐殺し、やがて世界そのものを

メチャクチャにしてしまったのである。


異世界は、当然、己の中に転生してきたという「異物ども」を心の底から嫌い、恨み、憎んだ。

この横暴な異分子達のせいで、こうなってしまったのだ。

ニホンという所から来たという、この連中が、自分を滅亡、即ち、死に追いやったのだ。

復讐したい。

滅亡する、つまり、転生者達のせいで死んでしまう際、その異世界は、そう願った。

チキュウのニホンとやらに、自分も、奴らと同じように、転生して、その場所そのものや、そこで

ノウノウと生きているのであろう、侵略者どもの同類達・・・「ニンゲン」を皆殺しにしてやりたい。

自分が味わった、地獄のような不快感と苦痛を、ほんの少しでもいいから、その者達にも

味わわせてやりたい。

転生した自分が、どんな姿形になっていてもいいから、復讐する力が欲しい。

どうか、どうか、どうか・・・!

そう念じながら、異世界は死亡した。



・・・己の死の瞬間から、どれほどの時間が経過したのか分からないが、

   異世界は自分の願いが叶ったことを認識する。

そう、滅亡した異世界は、地球の現代日本に転生できたのである。

   そして、その異世界には、同種の仲間達がいたのだ。

いかがでしょうか?

とっくの昔に、大勢の人々によって使い古された、あるいは思いついていても、あえて使えなかった題材かもしれませんが、とりあえず書いてみました。

「異世界そのものに、人間と同じような自我らしきものがあり、その異世界そのものが転生したら・・・」

というコンセプトです。

面白いという自信はありませんが、読んでやってください。

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