表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Art For You!!  作者: 森博
1/1

入学~出会い

季節は春。

出会いの季節。

俺は今日、無事にこの品芸高校に入学することができた。

私立品芸高校。

文武両道をモットーにしている県内屈指の名門校だ。

小・中と真面目に勉強だけをやって来たんだ。

高校デビューをかましてやるぜ!


1年2組。通称「東城会」。

どうして東城会かというと、担任の名前が桐生だから。

それだけの理由で彼女の受け持つクラスは毎年そう言われている。

入学式が終わり教室に入ると、すでに先生が教卓のところに立っていた。

「前に紙が貼ってあるからその通りに座れー!」

そう言われて俺も周りのみんなも席に着いた。

みんなが座り終えると同時にチャイムが鳴った。

「よーし、間髪入れずにホームルームだ。出席番号順に自己紹介していけ。と、その前に私の自己紹介が必要だったな。私の名前は桐生葵。堂島の龍とは関係ないからなー」

まだみんな緊張しているのか、笑いは一切起こらなかった。

「すべったところでみんなの自己紹介だ。出席番号順に、そっちから」

順番に名前と出身、趣味、入りたい部活を話していった。

笑いを取るやつ、緊張して言葉が出ないやつ、ボケーっと聞いていると俺の番が来た。

「えーっと、伝井壮介です。生まれも育ちもこの町で、趣味はー……」

ここは重要だ。

この趣味と部活をきっかけにみんなと仲良くなるんだ。

そして俺は高校デビューするんだ!!

「趣味はスポーツ!なんでもやります!部活は野球部に入ろうと思ってまっす!!」

……静寂。

気合を入れて言ったのにこれはキツイ。

そもそもスポーツなんてやって来てないし、野球だって興味ない。

野球部に入れば一気にスクールカーストトップに君臨できると思ったからそう言っただけです。

ごめんなさい。ごめんなさい。ホントごめんなさい。

俺は顔を真っ赤にして席に着いた。


頭はさっきの失敗でいっぱいだった。

だがしかし!この後更なる衝撃が俺を待っていた!

「ハイ次ー」

丸椅子に座って壁にもたれかかっている先生が促す。

「はい、百瀬八重です。この町出身で、趣味は絵を描くこと。部活も美術部に入ろうと思ってます」

さらりとそう言い切った彼女の声に、自然と視線が引っ張られた。

教室で独り凛と立っているその姿に、だらしなく頭を抱えていた俺は、恋をした。

黒縁眼鏡に艶っぽい髪。

真っすぐ前を見据えた目。

一目惚れだった。

でも、それを伝える勇気がいきなり湧いてくる訳もなく、俺は彼女の後を追うために美術部に入ることを決めた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ