第四話「冒険への序章」
「おお、やってくれるか和樹」
「ああ、再起不能にしてやるぜ。俺の模造刀でよぉ!」
和樹は、近くにあった模造刀を取り上げて、構えた。
そういうことで祐介、晴美、和樹の三人は『オトナシ』に向かってさっそく遠足旅行を楽しむ事となったのである。
「しかしながら、これは便利だなぁ。折り畳み式のテントですかい」
祐介が言った。
「ああ、組み立てる必要が無いから、その分の手間が省けるよな。それと女の子もいるから一人に一つ用意してあげようと思ってね。強度も弱いし、結構窮屈だけど、無いより増しだろう?」
和樹は得意気に言った。
「すげー便利だな。流石は和樹くんだ」
「だろう?」
こんな感じでアウトドア用品を揃え、和樹の父親にお礼を言って、一行は夜の町へと出て行ったのである。
人気の無い道は、大きな荷物を抱えている一行にとっては非常に有難かった。
街灯は夜桜を照らし、春の夜の暖かい風が三人の首筋を撫でている。
その中に漂う、植物たちの匂いが心地いい。
考えてみれば、これから命を掛けるかも知れない戦いに足を踏み入れたのである。
そうして、一行の足取りは自然と駅に向かっていたのである。