おはよう、さちこさん
「おはよう、さちこさん。」
おはようごさいます。
今日も寝坊せずに起きられましたね。
今日は寒くなりそうなので暖かい格好で出かけてください。
忘れ物はありませんか?昨日の晩にやっていた宿題は入れましたか?
あぁ、だいじょうぶですね。安心しました。
じゃあ、今日も気を付けてください。
「行ってきます。」
いってらっしゃい。
「ただいま、さちこさん」
お帰りなさい。今日の学校はどうでしたか?楽しかったですか?
なんだか疲れた顔をしていますね。どうしたんですか?
あぁ、今日は部活が忙しかったんですね。ユニフォームがドロドロですぐに分かります。
やっとレギュラーになれたって喜んでいましたもんね。無理せず頑張ってください。
「おやすみ、さちこさん」
お休みなさい。今日もお疲れ様でした。
友達と行った映画も面白かったようですね。よかったです。
明日は大事なテストですが、いうも頑張って勉強しているのできっとだいじょうぶです。
明日もいい一日になるといいですね。
「ごめんね、さちこさん。」
だいじょうぶですよ。そんな悲しい顔をしないでください。
こう見えて結構じょうぶなんですよ、私。2,3日何もなくても平気なんです。
こうやって毎日、あなたが話しかけてくれるだけで私は生きていけるんです。
ここ最近、疲れているのを私は見ていますから。
こうやって謝ってくれるのですから、私は嬉しいです。
だから、自分の責めないでくださいね。
「どうしよう、さちこさん。」
泣かないで下さい。何があったんですか?
……そうですか。悲しいことがあったんですね。
辛かったですね。苦しかったですね。よく頑張りましたね。
「僕なんか、いない方がいいんだ。」
それは違いますよ。
この世にある生をもったものは皆、必要ないものなど誰もいないとわたしは思います。
あなたがいるから、救われているひとがいる。笑えるひとがいるんです。
私もそうですよ。
あなたがいつもくれる水で、あなたが毎朝開けるカーテンから差し込む光で、私は生かされているのです。
あなたがいつもかける言葉で、私は喜びを感じているのです。
あなたが喜んでいるとき、悲しんでいるとき、笑っているとき、泣いているとき、私は傍にいることができる誇りを噛みしめているのです。
だから、気付いてください。あなたを失って悲しむものが近くに居ることを。
もう、あなたの命はあなただけのものではないのです。
さあ、思う存分泣いて、ゆっくり眠ってください。
私はこうして、あなたに落ちる悪夢を針で追い払って見せましょう。
あなたが良い夢を見れるように。笑って明日を迎えられるように。
この身が枯れ朽ちるまで、私はあなたをこの針で守りましょう。
「おはよう、さちこさん。」
はい。おはようございます。