第6話 状況把握
先に戻って来たのはじいさん。
すぐに自分の席に戻っていった。
フィーリアは来ないで、恥ずかしそうな顔だけを覗かせている。
これは・・・これだけで、ご飯は3杯はいける。
ええぃ、ばあさん飯はまだか。
このままでは妄想で満腹になってしまう。
「まぁまぁ、フィーリアさんご飯を一緒に食べましょう」
ばあさんがこちらにくるように、催促する。
観念したのか、ゆっくりとリビングの前に歩いてくる。
先ほどの服と違って、黒の半袖ワンピースを着ていた。
すぐに椅子に座らないで恥ずかしそうに立っている。
おおっ、すごく可愛い。
体格が良いので、『ボン、キュ、ボン』だ。
ほんのちょっと髪の毛といじればモデル雑誌にでも出てきてもおかしくはない。
「あの、どうでしょうか」
「とても、お似合ってるよ。可愛らしさが一段と引き立ってる」
「えへへっ、ありがとうございます」
「まぁまぁまぁ、フィーリアさん良かったですねぇ。さぁ夕餉を頂きましょう」
フィーリアは嬉しそうに自分の席に座る。
じいさん、さっきからこっちを睨んできてるが、あのフィーリアの姿をみればそんなもの怖くないは。
はっはっはっ。
遅い夕餉の時間が始まる。
作法とかは特になさそうだ、これなら安心だ。
しばらく楽しい会話をしながら食事をする。
「夕餉を待ってるとき、おばあちゃんと何話してたんですか」
フィーリアが服を着替えてる時の話を聞きたがってる。
フィーリア自身ことと知ってって聞いてるんだろうか。
・・・尻尾がちょっと動いてる。
これは期待にそえなくてはならないな。
「フィーリアについて聞いてたんだ」
「えっ、どんなことですか」
いつでも、飛び掛りそうな体勢で嬉しそう感じで尻尾が動く。
おうおう。
そんなに尻尾を動かさなくてもしっかりと話しますよ。
「おばあさんと一緒に遊んだ話や泥だらけになっておじいさんに怒られた話や・・・」
ちょっと嬉しそうな顔して聞いてくるフィーリア。
なら、ちゃんと話してあげようじゃないか。
一部だけ変えて。
「後は、最近ものすごいおねし・・・」
「いやぁぁぁぁぁぁぁ」
声を被らして最後まで言えなかった。
どれだけ、すごいのかを言いたかったのに。
「ちょっと、おばあちゃん。義之さんに何てことを教えたのよ。おねしょは小さい頃しかしてないもん」
フィーリアは、ばあさんに毛を立てて抗議してる。
おねしょの記憶はまだあるのだろうか。 または、ばあさんが言いふらしてるのかな。
それとも、本当に最近・・・・したのかな。
「まぁ、たった10年前くらいは最近ですよ」
「最近じゃないもん。昔だもん」
パニックってるのか、語尾にもんって言ってる。
子供っぽいが、なかなか可愛いじゃないか。
言っとくが俺だけじゃないぞ。
じいさんも顔がものすごくにやけ顔だ。
男性人をほったらかしにして2人で言いあいをしてる。
もっとも、暖簾に腕押し状態だが、どっちかどっちとは言わない。
これは、時間が掛かりそうだ。
この光景を肴にして夕餉を頂きましょう。
楽しい夕餉も終わり、後片付けをして就寝の時間だ。
フィーリアもすぐに部屋へ入っていった。
今日は疲れたのだろう、青い熊にも襲われたし、ばあさんと言い合いもあったしな。
どっち方が疲れたのかは、さておいて。
現在、ばあさんに案内された部屋に1人だけの状態。
部屋には2つの月の光が差し込んでいる。
ゆっくり現状把握をするなら、今がちょうど考えられるだろう。
堅いベットの上で座禅を組んでゆっくりと呼吸をしてリラックスをする。
よし、時間をたっぷり使ったので冷静な判断が出来るはず。
まずは、公園の出来事だ。
公園で助けを求める光滑り台だ。
何で滑り台が光ったかなんて分からないが、助けを求めた声は分かった。
フィーリアだ。
森の中にいた時は分からなかったが、あの時聞いた声と同じ声だった。
ならば、フィーリアが俺をここに召喚した思われるが、それも違うような気がする。
あの時の怯えようは召喚の失敗からではなく、熊に襲われての恐怖からに見えた。
これは、ただの直感だけど。
少なくともフィーリアの助けを求めたのがきっかけなんだと思う。
フィーリアの特別な力なのか、はたまた別の誰かなのか。
それはさておいて、俺はフィーリアのせいにして恨んだりはしない。
あの時、光る滑り台に触れることなく帰ることも考えた。
それでも、あの時必死の叫びが心に響いたから、触れることを進んで選んだから後悔はしてない。
もしあの時無視をして帰ってたらずっと悔いが残ってたはず。
だから、フィーリアのせいではない。
その選択をした、俺が悪いのだから。
次は此処の場所だが、分かりきってるが日本じゃない。
ましてやアメリカやロシアといった外国ではなく、全く知らない異世界だ。
この異世界の常識なんて分からないが、これからこの異世界でしばらく生きてゆくしかない。
まずは、自分の命を優先に考えるべきだ。
今まで当たり前だった、常識は通用しない。
育った国の常識が当たり前でも外国に行ったら全く非常識なんてざらだ。
ましてや別の世界なのだからなおさら気を引き締めないといけない。
もしかしたら、盗賊や犯罪者などが襲いかかって殺しにくるかもしれない。
そのときは自分の手を赤く染めないといけないからそのときは、恐れずに覚悟を決めよう。
さて、生きてゆく為の衣食住が全部ない。
ついでにお金もない。
ポケットにビー玉があるから誰かに換金してもらおう。
どれほどの価値があるか分からないが、通貨を知るために都合がいい。
明日、じいさんかばあさんに換金できるところを教えて貰おう。
当面の目的は元の世界へ帰ることを目標にしよう。
人は目的を持って行動すると何かあった時はすぐに動けるからな。
こっち世界へ来れたんだから、元の世界にも帰れるはず。
まずは、その手がかりを探そう。
気の遠くなることだけど10年20年は覚悟を決めておこう。
まず、何をすればいいか全く分からないけど。
そういえば、フィーリアが大昔に人間は絶滅したと言っていたな。
何故絶滅したんだろう。
絶滅なんてよっぽどのことがないと起きないはず。
人間の俺に今後関わることかも知れないから、調べられるかぎり調べよう。
おとぎ話って話なら、大昔の戦争か神話の辺りで調べれば出てくるのかも。
図書館とかあるといいけど、そもそも字が読めるとも限らないが。
ステータス設定ってのもあったっけ。
森の中で自己分析した時、頭の中で思い浮かんだステータス設定。
それを今、ステータス設定と念じてみた。
氏名 高坂 義之 男 20歳
身分 自由民
職業 村人Lv2
スキル なし
固有スキル ステータス設定 気操作Lv4
スキルポイント 1
・・・。
村人のLvが上がってる。
何故上がった、上がる要素なんてしてないはず・・・いや、あったな。
崖からダイブしたときに着地地点に青い熊が犠牲になったときしか、思いつかない。
あれが原因かもしれない。
強くなる分には問題はない。
むしろ、弱いままだったら変な言いがかりをつけられる可能性が高い。
ならば、強くならないと何かあったとき不便極まりない。
だとしたら、積極的に戦っていくべきだ。
こちらの命を賭していくからにはまずは、比較的楽なやつから倒していこう。
このあたりもまた、ばあさんじいさんに相談しよう。
Lvが上がったからスキルポイントが1つ増えている。
Lv1上がる度に1つ上がる仕組みなのかな。
もう2,3Lvが上がれば分かることだ。
それは、おいおいとして、ポイントを何に使おうか。
スキルを選択して一覧をみる。
1ポイントだと初級剣術や発見のスキルが選べるが初級魔法はまだ足りない最低でも5ポイントは必要。
うーん。
今回は止めておこう。
たった1ポイントだし、気操作Lv4でしばらくは何とかなると思うし初級剣術にしたって武器がないしね。
あるとすればペーパーナイフだけど、ある程度切れるし武器として使えるはず。
3ポイントくらいになったら1回使ってみよう。
3ポイントならある程度は選べるからどんな感じになるか知っておきたい。
使い切りなのか、または自由に選択し替えることが出来るのか。
また、スキルの有無でどう変わったか違いが知っておきたい。
知ってるのと知らないのでは大分違うからな。
さて、今回はここまでだ。
2つの月も真上辺りにあるから、そろそろ寝ますか。
どうやら、体も疲れてるみたいだし、寝て疲れを取ろう。
堅いベットで毛布っぽい布かけて就寝した。
感想や評価が1件ずつもらえて、嬉しくてつい書き上げてしまった。
木曜日辺りに上げようと思ったのに。