第3話 フィーリア
気を纏えばすぐに、たどり着くはず。
駆ける、駆ける、駆ける。
助けを求めた場所へ。
駆ける、駆ける、駆ける。
ただ、ひたすらに駆け抜ける。
声がした場所付近にたどり着いたが、誰もいない。
あるのは崖しかない。
まさか、崖の下にはいないよな。
一応、崖の下を覗いた。
・・・いた。
金髪の子が崖を背にして座り込んでいる。
そして、青い熊が金髪の子を見ている。
崖は約10メートルくらいある。
気を纏って跳び降りれば、無傷で大丈夫だが、跳び降りるのが怖い。
廻りっていけば、下に行けるが時間が掛かりそう。
金髪の子には、悪いが廻って下に降りよう。
「いやぁぁぁぁぁぁ」
青い熊が襲い掛かろうをしている。
このままでは、駄目だ。
仕方ないが、崖から跳び降りるしかない。
着地したあと、気で追い払おう。
勇気を出して崖から、跳び降りる。
ちょっ、青い熊そこ退いて、そこは降りる着地地点だ。
願いは届かず、青い熊の上に着地。
青い熊はグキッと音が聞こえ、地面に叩きつけられる。その後、煙となって消えた。
熊は何処に消えた?
いや、その前に金髪の子が優先だ。
無事かどうか確かめる為、振り返る。
・・・。
ネコ耳が付いている。
崖の上からじゃ分からなかったが、ネコ耳美少女が座り込んでいた。
髪の毛は、短髪の金髪で、黒い瞳で、黄色と黒の縞模様の尻尾がついているネコ耳美少女がいる。
トラの子供を美少女にしたような子。
・・・・・・可愛い。
・・・・・・・・ハッ。
いかん、いかん、大丈夫か確認しないと。
「・・・怪我ないかい?」
辺りは、夕焼けを照らしながら、森の静けさを取り戻す。
美少女は、コクコクと首を縦に振る。
「・・・そうか」
まだ、先ほどの恐怖があったのだろうか、まだ混乱してるみたい。
落ち着くまで待ってその後話をしてみよう。
しかしネコ耳か、コスプレとは違いちゃんと付いている感じだ。
それに尻尾もクネクネと動いてる、まるで猫が嬉しかった事あったら動いている時のようだ。
会話も出来るので助かった。
出来なかったらもう大変だ。
此処は日本とは考えない方がいいだろう。
青い熊何て見つけたら、全国ニュースに報道されるだろうし。
それにネコ耳美少女も・・・
「あの・・・」
「ん? 何かな?改めて聞くが怪我ないかい?」
ネコ耳について考えてたら、美少女は落ち着いたみたいだ。
「はい、大丈夫です。 助けて貰いありがとうございます」
「怪我が無くて良かったです」
笑顔でお礼を言われた。
座っていて、その笑顔に下からの目線がとても眩しい。
眩し過ぎる、その笑顔に惚れてしまう。
一体何人の男を手玉に取ったのだろうか。
何て罪作りな美少女だ。
「立てる?」
美少女を立たせる為、近づいて右手を前に出し手のひらを彼女に向ける。
「大丈夫です。立てます」
力が入らないせいかゆっくりと自力で立ち上がる。
右手がとても寂しい状態。
スルーされるのは恥ずかしい。
滑らかな手を触れたかった。
仕方ないので、寂しい右手を引っ込める。
「もうすぐ、暗くなるけど家に帰れるかい」
「はい、此処はクルール村の近くなので」
「その村に宿はありますか?」
「村にはないですが、助けて貰ったお礼に家に泊まって下さい」
「いいのですか?」
「はい、大丈夫です」
運がいい。
泊めて貰うことが出来るみたいだ。
さすがに野宿はしたくない。
「私、フィーリアっていいます」
素敵な名前を教えて貰った。
フィーリアに相応しい可憐な名前だ。
おっと、名前を教えて貰って、此方も名乗らないと。
「俺は、義之です。一晩宜しくお願いします」
「はい、宜しくお願いされました」
俺の左手を掴んで歩きだす。
フィーリアを夕焼けで照らし微笑む。
滑らかな手が、すべすべして気持ちがいい。
この光景を心に留めておこう。
いつか、この光景を絵を描く為に。
絵心は無いけど。