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第20話 小鳥の宿り木

体を休めながらのんびりと書いていましたので、遅くなりました。

喉が痛くなったあと、咳、体がだるく書く気力がなかった第20話です。


気が付けばPv20000 ユニーク4500を超えました。

ありがとうございます。

引き継ぎ伸び伸びと書いていきますのでよろしくお願いいたします。


前回のあらすじ

マドリーの町に着きました

 雑貨屋での贈り物は、フィーリアには花のブローチをアクアにはボロボロの指輪をプレゼントした。

 花のブローチは100コルの値段だったので、フィーリアがもっと安いものでと抗議していたが、贈り物って事で説得し了承して貰った。

 店主曰わく、この花のブローチは装備品で付けていると防御力が若干上がるらしい。


 ボロボロの指輪はアクアの希望の品だ。

 こんなボロボロの指輪じゃなく別の指輪にしようとしたら、髪の毛を引っ張って反論してきた。

 別の品物を選ぶとボロボロの指輪がある方向へ引っ張りアクアが望む指輪を手に取るまで続いた。

 ボロボロの指輪はたったの1コルだったので、資金的に助かるからそれで喜ぶのならいいんだけど。

 この指輪も装備品らしいが装備としての効果がないらしい。



 プレゼントを渡したフィーリアは早速ブローチを付けて感想を求めてきたので似合ってると褒めると浮足立って歩き出した。

 アクアは指輪を受け取ると豆腐パックの中に引きこもってしまった。

 そろそろ俺の頭の上に乗りかかるのは止めて欲しいので、豆腐パックを振り落とそうとしたがなぜか頭から離れない。

 振り落そうと頭を振ってると、アクアが豆腐パックから出てきて顔の目の前に来て頭を振り回すなととでも言いたげに物凄く怒っている。

 両手を腰に手を当てて、頬を膨らませる姿は可愛らしい。

 可愛らしい姿に思わず和んでいると、和んでいるのが不服だったらしく髪の毛を思いっきり引っ張って反撃してきた。


「ごめん、俺が悪かった。 痛いから髪の毛を引っ張るのは止めてくれ」


 謝るとアクアは満足して豆腐パックに戻っていく。

 非常に納得がいかないがこの瞬間、俺の頭上に豆腐パックがある事が決定した瞬間であった。

 豆腐パックの事は、帽子でも被ってると思うことにして、さっさとこの場を去ろう。


 俺はアクアが見えるからいいけど、周りの人はアクアは見えていないので何、突然言ってるの?と言いたげに周りの人達は白い目でこっちを見ていて、主婦っぽい人達はヒソヒソ話を始めている。

 この状況は、人生初めての体験だけど流石に恥ずかしい。

 フィーリアの後について行っていってこの場を離れるとしよう。



 辺りが暗くなるなり始めたので、中央広場を離れて東にある小鳥の宿り木へ向かう。

 無事に小鳥の宿り木に辿りつけるか心配になってしまう。

 看板には偶に絵が書いてたりするが、大抵は文字だけの木板が立てかけているのが多く見られる。

 お肉屋や雑貨屋でも感じていた事だが、文字が読めないという点は本当に困った。


 フィーリアは文字が分かるので看板の文字を読んで貰って探すしかない。

 フィーリアに素直に文字が読めないので、小鳥の宿り木の案内をお願いした。

 お願いをすると、フィーリアは任せてくださいと胸をポンと叩いて胸を張った。

 頼られたのが嬉しいみたいで、ニヤけた顔をして尻尾を振る素振りを見せられると不安が残るが、それを指摘するほど無粋な物なので黙っておくとしよう。



 フィーリアに、看板のあるお店が何のお店かを教えて貰いながら、小鳥の宿り木を探す。


「義之さん。 此処が小鳥の宿り木みたいですよ」

「そうみたいだね。 宿が空いているといいけど」


 フィーリアが指を指した場所を見ると、確かに俺達が探した宿屋と言うのが分かった。

 文字は相変わらず分からないが、お店の看板には小鳥が木で休憩している看板の絵が書いてあった。

 看板の絵はとてもじゃないが、上手とは言えない。

 子供が書いたような感じで描かれているが、鳥が木で休憩しているのは誰が見ても分かる子供の絵だ。

 看板の評価はコレくらいにして、早速中に入って部屋が空いているか聞きに行こう。

 宿屋の中に入ると喫茶店をやっているようで、木製テーブルと椅子が沢山あり食事をしている客もかなりいる。

 

 店の中の観察はそこそこにして、フィーリアが受付カウンターへ向かうのでその後に付いて行く。


「いらしゃいませー」

「ませー」


 受付カウンターの前から5歳くらいの兎獣人の子供達に出迎えられた。

 ここの宿泊を経営している子供なのだろうか、受付がなかなか様になっている。


「親のお手伝いかな? 私達ここの宿に泊まりたいのだけどお部屋空いていますか?」

「ちょっとまってー」

「まっててー」


 フィーリアが、子供達の目線に合わせて宿泊に来たことを子供達に告げると即座に親を呼ぶ為、元気よくお店の中を駆け巡る。

 元気よくお店の中を駆け巡り、食事をしている人達のほとんどが子供達の行動に微笑ましく見ていた。


「パパーお客さんなのー」

「なのー」

「コラっ、リーサ、ノーラ。 お店の中を走っちゃ駄目といつも言ってるだろ」


 元気よくお店の中を駆け巡っているのは、いつものことらしい。

 微笑ましく見ていた人は、もしかしたらこの子達に会いにくる為にやってきているのかもしれない。

 はしゃぎ回る子供達を見ると何となく癒される気がするのは何故だろう。

 きっと看板もこの子達が書いたものっぽいから看板を馬鹿にでもしたら干されそうなので十分に気を付けよう。

 店の主人も軽くお説教をしてから声がかかった。


「いらっしゃいませ、食事でしょうか?宿泊でしょうか?」

「宿泊の方で2人なんですけど部屋は空いているのでしょうか?」

「・・・1人部屋は満室なので、2人部屋か雑居部屋になるのですがよろしいでしょうか?」

「2人部屋でお願い致します。 できれば、ダブルの部屋がいいです」


 店の主人は俺の方を見て一瞬驚くが直ぐに我に返って対応してくれた。

 この店主は、他の住民と違ってエルフにマイナス感情はなさそうだし、行き成り厄介払いなんてのはなさそうだし、門番が教えてくれたことはある。


「ダブルだね。 2人で一泊60コルで朝餉、夕餉はつきます。注文はここで受付になるけど」

「はいっ、お願いします」


 フィーリアが店主とのやり取りをして、自分のバックからお金を払おうしていたのでフィーリアが払う前にバックから銀貨を5枚店主に渡す。

 60コルなら1人30コルで朝餉、夕餉が付くのはなかなかいいのではないかと思う。

 少なくとも、今日は他の宿を探すのも大変だし、歩き疲れたのもある。

 5日分を支払ったのは、町を探索した時に1日だけだと次の宿が無いかもしれないし、探索するにも泊まれる場所があるのは気持ち的にも不安がなくなるのでいい。


「5日分ですね、ありがとうございます。 水晶で天板を確認いたしますが宜しいでしょうか?」

「了解した、宜しく頼む」


 店主は水晶を持ってくる為に、一度受付カウンターの奥に引っ込む。

 フィーリアの方を見るとジト目でこっちを見ていた。

 何故そんな目でこっちを見るのだ、ものすごく納得がいかないのだけど。


「な、何かな・・・」

「義之さん、何で義之さんがお金を払ったのですか? 私が払いたかったのに・・・」


 どうやら、宿泊の支払いが出来なかったのが不満らしい。

 こっちとしてはフィーリアに払わせたくはなかったのだが、さてどう説得しようか。


「まぁ、いいです。 今度は私が支払いますからね」


 すんなり折れてくれたようだが、逆にその後が怖くなるのはなぜだろう。

 フィーリアとやり取りしていると、店主が門番が持っていた水晶と同じ物を持って戻ってきた。

 水晶に手をかざして天板を確認してもらう。


「確認いたしました、直ぐに夕餉に致しますか?」

「そうだな、フィーリア夕餉にしようか」

「お腹も空きましたし夕餉にしましょう」

「では、空いている席でお座りください。 部屋の鍵は夕餉が終わりましたらお渡しして部屋に案内致します」


 店主に言われた通り、受付カウンター付近の空いていたテーブルに座ると先ほどの子供達が少し大きめの木版を持ってやってきた。


「うちのごはんのひょうだよー」

「ごはんだよー」


 メニュー表を持ってきたらしいが残念なことに文字が読めない。

 読めないのでメニュー表をフィーリアに渡して先に決めて貰おう。

 フィーリアに渡すと木版を持ってじっと見つめてくる子供達にお勧めを訪ねていた。

 お勧めなのはリーサの日替わり定食とノーラの日替わり定食を強く勧めている。

 もうこの年で料理が出来るのか、それともひっそりとお客さんに出しているのか。


「私は、気まぐれ定食にします。 義之さんは何にしますか?」


 フィーリアは、子供達のお勧めじゃなくメニュー表に書いてあったらしいのを頼んだようだ。

 さて、俺はどうしようかな。


「そうだな、俺も・・・いや、リーサの日替わり定食にしょうかな」


 子供のこっちを見る視線に思わずお勧めを選んでしまった。

 リーサの日替わり定食を注文すると周りにいたお客達がどよめき始めた。

 えっ、やっぱり外れだったのか。

 子供たちが注文を受け取ると注文の確認をせず、すぐに店主の奥さんっぽい人にに注文の内容を告げる。


「ママー。 きまぐれていしょくとわたしのひがわりていしょくだってー」

「いいなーリーサは、ちゅうもんしてもらってー」

「ノーラだいじょうぶだよ。 きっとあした、あのおにいさんがちゅうもんしてくれるはずだよ」


 ………うん、聞かなかった事にしよう。

 既に外れを引いたっぽいのにまた外れっぽいのを引くなんて流石に嫌だぞ。

 フィーリアなんて苦笑してるし、助けてはくれないだろうな。


「きまぐれていしょくとリーサのひがわりていしょくです」

「ですー」


 注文してから少しばかりして、子供達が注文した品を持ってきた。

 気まぐれ定食は、硬そうなパンとサラダとシチューっぽい定食だ。

 それに対してリーサの日替わり定食は硬そうなパン、生野菜だけのサラダ、野菜くずのスープ3点だ。

 とてもじゃないが美味しそうには見えないし、リーサはこっちをじっと見つめてくる。

 他のお客さんもこっちを気にしているのか、チラチラとこっちを見てくる。

 仕方ない、とりあえず全部一口ずつ食べよう。


「リーサのひがわりていしょくはおいしかったですかー」

「ですかー」

「……悪くはない」

「えへへ、わたしがつくったんだからあたりまえだよー」

「だよー」


 美味しいと一言も言っていないのに喜びながら親の手伝いに向かった。

 スープは野菜の大きさが疎らで水で適当に煮込んだだけのようで、味付けもものすごく薄く塩味が足りない。

 パンは手作りなんだろうけど、味がなく焼きすぎているせいか硬くて歯が立たないし、スープに付けて食べようにもスープが味が薄いせいで、スープに付けてもふにゃけたパンになるだけで不味い。

 サラダは適当に盛り付けて味付けはしていなくが、新鮮な野菜のようで甘みがあって美味いのは唯一の救いだ。


「義之さんは優しいですね」

「何のことかな」

「ふっふっふ、そうゆう事にしときますね」


 フィーリアには美味しくない事がバレているようだが、照れ臭いので分からない振りをしておく。

 アクアが豆腐パックから出てきたので、店主から小さい皿を貰って野菜を入れてアクアに渡した。

 アクアは美味しそうに野菜を食べるのを見て、十分に頼む価値はあったな。

 その後、フィーリアと会話しながら夕餉いただいた。




 夕食後、リーサに宿泊する部屋を案内された。

 案内された部屋は3階の階段すぐの近くの部屋で中は若干広くベットと机、椅子が2つにクローゼット、カンテラがあった。


「おひるに、そうじするからたいせつなものはへやにおかないでねー。 あとおゆをつかいたかったら、パパにいってー5コルでおゆがはいったおけとぬのをわたすよー」

「そうなのですか、お湯を使うので2据下さい」


 フィーリアはすぐにお願いしてリックから10コルを出してリーサに渡すと笑顔になる。

 リーサは5コルを受け取ると笑顔になって部屋を出ていった。

 リーサが部屋から出ていくとフィーリアは勝ち誇ったように胸を張ってこちらを見てきた。


「2据は私が出しますからね。 義之さんの意見は絶対に聞きませんからね」

「お、おう」


 宿泊代が払えなくて相当悔しかったのだろうか、ここぞとばかりに主張してきた。

 フィーリアが醸し出す勢いがすごくて、思わず肯定してしまった。

 机の隣に荷物を置くと今まで、頭の上にあった豆腐パックがふわふわと浮かび机の上に止まった。

 豆腐パックを除くと葉っぱを毛布のようにして睡眠を取るようだ。

 この葉っぱは、町の外で探索した時に身に覚えがあるから、その時に摘んだものだろう。


「お客様、お湯が入った2据をお持ち致しました」


 扉の外で店主がお湯を持ってやってきたようで声をかけてきた。

 フィーリアが扉を開けて、2据の桶と布を受け取る。


「その桶は明日の朝に回収するので終わったら下に持ってこなくていいです」

「では、ごゆっくりお休みなさいませ」


 店主が下に戻るのを見送ると、部屋に鍵をかけて真剣な顔でこっちに向かってくる。


「さあ、義之さん。 朝まで可愛がって貰いますので、まずは体をお互いに拭きましょう」


 よく見るとフィーリアの目つきが獲物を狩るような目つきだ。

 今朝の事が忘れていないようで、とぼけるのが無理そうで体を休めるのはまだ先のようだ。


感想、評価など気軽にお願いいたします。


投稿時間の固定はもう少し考えます。

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