第19話 マドリー
長らくお待たせ致しました。
何気に難産だった第19話
前回のあらすじ
妖精が同行しました。
町並みがうっすらと見えて早足で歩いていると、森が開けてマドリーの町の土塀見えてきた。
土塀の高さは5メートル位あり土塀は魔物の進入を防いでるみたいで、修復したような箇所があちこち見られる。
土塀の周りには一面に畑が広がっていて、畑仕事を終えた人達がマドリーの町に戻っているのが見える。
あの人達の後を追えば町の中に入れるだろうし、これだけ住人がいれば魔物の襲撃はほぼないと思ってもいいだろう。
「義之さん、もうすぐマドリーに到着ですね」
「そうだな、早くマドリーの町に行こう」
妖精のアクアは、畑を見た瞬間に畑に行ってうろちょろして楽しそうに遊んでいる。
遊んでいても俺達の後をしっかりついてきているので問題はないだろう。
畑の葉っぱから顔を出す仕草は蕗の葉を持つコロポックルに見えてしまう。
今度、豆腐パックを回収して蕗の葉っぽいやつを持たせるように仕向けよう。
住民の後を追って町の入り口に向かうと、2人の兵士が立っていた。
1人の兵士はやや太っていて狸の獣人族でもう1人は少し痩せている猫の獣人族のようだ。
住民が兵士に左手を出す仕草をしてから町に入ってる。
大体の人が同じような感じだが、一部違う人もいる。
一部の人は、兵士と会話してから何かを渡してその後、左手を出してから町に入ってる。
少し疑問に思ったのでフィーリアに聞いてみる。
「フィーリア、あれは何やっいているんだ?」
「盗賊や犯罪者が町に入ってこないように門番が盗賊や犯罪者じゃないか確認してるんですよ。 盗賊や犯罪者は悪人ですから」
左手を出すことによってあの兵士は何かのスキルにより悪党を判別をしているのか。
とすると一部の人が兵士に渡していた物は入場税か。
困ったな、日本のお金なら持ってるがこの世界のお金なんて持っていない。
ここで慌てても不審人物にしかならないから堂々兵士の質問に答えよう。
俺だって門番のような仕事をしていたら、オドオドしてたりキョロキョロしているやつがいたら不審人物と思ってしまうからな。
その後、フィーリアと雑談して俺たちの順番がやってきた。
「………て、天板を確認したいので天板を出すことは出来ますか?」
「………」
俺達の番になったら急に強張った顔になり、声がどもってる。
猫の門番に至っては声すら出ていない。
ここの住民達と俺達の態度が全く違う、まるで恐怖の大王がやってきたかのような顔だ。
町に入る人達も列には並んではいるが、思いっきり避けて俺の後ろの列はかなり離れて並んでいる。
俺達が何をしたんだっていうんだ。
しかし、天板とは一体何? スキルのステータス設定の事を言っているのか?
少し考え込んでいると、フィーリアがフォローしてくれた。
「私達は天板を出す事が出来ませんので、そちらで確認お願いします」
「……わ、分かりました。 で、では2人とも左手で水晶に触れてください」
門番に言われてフィーリアは猫獣人族に、俺は猫獣人族に左手を水晶に触れた。
狸獣人は若干安堵して、猫獣人は絶望感が漂ってくる。
絶望感を漂わせながらもしっかりと己の仕事をする門番。
門番が持っていた水晶を左手でかざすと、左手の上から空中に浮いた半透明の天板が現れた。
氏名 高坂 義之
身分 自由民
職業 村人
備考 パーティーメンバー フィーリア
半透明の天板には俺のステータスが表示されていた。
水晶が出した天板はレベルやスキルなど表示されておらず、変わりに備考欄が表示されている。
備考欄にはパーティーメンバーの名前が表示されている。
成程、天板とはステータスの事だったのか。
ステータス設定だと、頭の中でイメージが想い浮かんで俺だけだが、門番が持っていた水晶だと他人にもみえるらしい。
「かっ、確認出来ましたので、ああああの、マドリーに入るには1人10コル、ひひひ必要になります。 ふふ2人なので、20コルです」
どもりながらも町に入る為の入場税を言い渡した。
門番が入場税を言い渡すと、フィーリアがリュックサックの中から銅貨20枚を取り出して門番に渡す。
門番は直ぐに銅貨の枚数を数える。
「にゅ、入場税を頂きましたので、ままま町の中に入ってもだだだっ大丈夫です」
「雑貨や肉を売却出来る場所は何処にありますか? それとお勧めの宿があれば教えてください」
猫獣人は最後までどもっているので、雑貨屋か食材屋がある場所を聞くに聞けないので、狸獣人の門番に売却出来る場所を聞く。
「この道を真っ直ぐ歩けば、雑貨屋とお肉屋があります。そこでなら売却が出来ると思います。 宿ですが、お肉屋よりもっと歩いて中央広場についたら東へ向かうと小鳥の宿り木がよろしいかと」
「ありがとうございます。 フィーリア行こうか」
狸獣人の門番は、強張った顔がしながらでもしっかりと雑貨屋とお肉屋の場所を教えてくれた。
これ以上は門番達の仕事に迷惑がかかりそうなので教えて貰った道を歩き出す。
町に入るとアクアは、俺の頭に乗っかって一息入れている。
畑ではしゃぎすぎなような気がするがいいか。
町を歩いていると住民達は、俺達を避けるように歩いている。
おかげで、対面する時は住民が横に避けて歩くので道が広々と通れる。
「さっきはありがとう助かったよ」
「いえ、早く町に入るべきと思ったので気にしてないです」
「かなり怖がられてるが、この町では何もしてないはずなんだけど」
「おそらくですけど、ハイエルフの義之さんに怖がっていると思います。 一昔この辺でハイエルフが暴れまわって大迷惑をかけた事がありましたから」
フィーリアの中では俺がハイエルフだと認識してしまったようだ。
まぁ人間族よりは信用性があるから訂正するつもりもないけど。
怖がられてるのは昔のハイエルフの仕業が今だに定着している、この風習を払拭するのは至難の業になる。
愛着のある町ならば風習を変える努力をするが、初めて来た町でそんな労働をしたくないので、ある程度滞在したら迷宮都市クランターレにでも行ってみるか。
「義之さん。 お肉屋に着きましたけど何をするんですか?」
「資金が底を尽きたので、持ってる食材を売ろうかと」
フィーリアと話をしていたら、お肉屋に着いたらしい。
その店には、看板らしきものがあるが何て書いてあるか分からないが、フィーリアは読めるみたいなので今度教えて貰おう。
お金その物を持っていないので、お肉屋で卵と手羽先を売って多少資金にしたいと思っている。
また、旅に出るときは加工された保存性が高い物をその時に買えばいいだろう。
加工されていない、卵や手羽先は今の状態では必要としない。
さっさと売ってしまって、お金に換金した方がいい。
「いっ、いらっしゃいませ………」
フィーリアと共に、お肉屋の中に入ると強張った顔をしたおばちゃんが出迎えてくれた。
おばちゃんの態度を無視をして直ぐに本題に話す。
「食材を買い取って貰いたいのだがここで買い取って貰えますか?」
「はっ、はい。 大丈夫です、な何の食材でしょう」
買い取って貰えるみたいなので、リュックサックを地面に下ろしてから中に入っていた、手羽先2つと卵5つを取り出しておばちゃんに見せる。
おばちゃんは、強張った顔から驚きの顔へ変わっていく。
「これらを、買い取って貰いたいのだが大丈夫ですか?」
「………えっ、ええ大丈夫です。 こちらは魔物から出た食材ですね、少々お待ちください」
そう言うとおばちゃんは店の奥に入っていき、しばらくすると奥の方でガタガタと物色する音が聞こえる。
「義之さん。 これを本当に売るのですか?」
「そうだけど、駄目だったか」
フィーリアの方を向くと驚愕した顔をしている、一体何に驚いているのだろうか。
「駄目じゃないのですが、レッドポッポロの手羽先じゃないですか」
「………レッドポッポロが分からない」
「レッドポッポロは全身が赤い鳥型の魔物で、空を飛べないのですが凄まじい速度で突撃してくる非常に厄介な魔物です。 心当たりはありますか?」
「その魔物には心当たりがあるが、問題でもあるの?」
「レッドポッポロは厄介な魔物の為、中級者の探索者でも手こずると言われていますし、手羽先は中々落とさないのでとても高価なお肉の1つです」
フィーリアから説明を受けているとおばちゃんが店の奥から戻ってきて、半透明のまな板のような形をした物を持ってきた。
まな板っぽいものを持ってくると、近くの机の上に置いた。
「識別盤に食材を1つずつ置いてください」
半透明のまな板は識別盤というのか、乗っける事でその物を識別するのかな。
おばちゃんの言われた通りに手羽先を1つ識別盤に置いた。
手羽先を置くと識別盤が青白く輝きだし、手羽先の上に天板が浮かび上がった。
品名 レッドポッポロの手羽先
説明 レッドポッポロの羽の先の部分
手羽先の天板には、品名と説明が表示されている。
品名と説明がすごい大雑把な気がするのは気になる所だが、この識別盤は便利だな。
ただ置くだけで、物品がどんなものか分かるのはいいな。
おばちゃんもフィーリアも天板を見て驚愕している。
これは、それなりのお値段が期待できるのではないか?
置いてある手羽先をどかして貰い、もう1つの手羽先を置くと同じ天板が現れた。
おばちゃんは、ただ天板をジッと見ていた。
「次は、卵を置きたいのだがいいですか?」
「卵も魔物からですね、分かりましたどうぞ」
おばちゃんが手羽先をどかした後、白い卵を識別盤に置いた。
品名 ポッロの白色卵
説明 鮮度抜群のポッロの卵
卵の天板も品名と説明が大雑把に表示されていた。
卵を落とした白い鶏はポッロという魔物というのか。
説明文が鮮度抜群が表記されているが鮮度によって表記が変わるのだろうか。
説明文の表記はとりあえずそっちのけにして、他の卵も確認をする。
「レッドポッポロの手羽先が2つで20000コル、ポッロの白色卵が5つで1000コル、また識別盤の使用で10コル引かせてもらって合わせて20990コルになります」
予想していたより高い値段だったので、直ぐに手羽先と卵を渡して金貨が2枚と銀貨が9枚に銅貨が90枚を受け取る。
お金は硬貨で銅貨1枚で1コル、100コルで銀貨が1枚、10000コルで金貨が1枚になるのか。
しかし、こんなにジャラジャラと持ってると重たいし音が鳴って盗賊に狙って下さいと言ってるのと同じだ、早急に対処する必要のある問題だなこれは。
受け取ったお金を一時的に、リュックサックの中に入れてお肉屋を後して歩き出す。
「フィーリア、小鳥の宿り木に行ってみようか」
「そうですね、行ってみましょう。 良い宿だといいんですけどね」
通行人に避けられながらも門番のお勧めの宿、小鳥の宿り木を目指して歩き中央広場にたどり着く。
中央広場では、露天が並んでいて食べ物や雑貨や良く分からないものまでいろいろなお店が立ち並んでいる。
夕方せいなのか、人の姿はそれ程多くないみたいで、店じまいをする店がちらほら見れた。
「フィーリア、せっかくだからちょっと覗いて行くかい?」
「そうですね、少しだけ覗いてみましょう」
アクアも露天が気になるのか、頭の上から離れて既に探索を始めている。
歩いているとフィーリアが食べ物の露店に向かうのでそれに付いていき、串焼きが1コルで販売していた。
1コル100円とすればこの串焼きも庶民的な値段かな。
日本円で言うと1コルは100円として、所持金の20950コルで209万5千円なので、当面は資金に余裕があるので盗まれでもしない限り大丈夫だろう。
フィーリアが眺めていた串焼きを2本注文し、その1本をフィーリアに渡す。
「貰っていいのですか?」
「せっかくなんだし、一緒に食べよう」
何かの肉の串焼きをほおばると、柔らかいお肉で塩がお肉を引き出している。
とても美味しかったので、3本追加してその露店を後にする。
串焼きをほおばっていると、アクアが雑貨屋の露店に留まっている。
フィーリアにアクアのいる露店に行きたいと告げて一緒にその露店に向かう。
雑貨屋は指輪やネックレス、用途の分からない物が多数販売していた。
アクアはかなりボロボロの指輪に興味があるらしい。
アクアが持つと腕輪のように見えてしまう。
フィーリアは簪やブローチやネックレスに興味を引いている。
ここで気に入った物を2人にプレゼントしても罰が当たらないだろうし、フィーリアには入場税を払って貰ったのだから恩返しがしたいしな。
「気に入ったのが有れば、買うから選んでいいよ」
「大丈夫です、それにさっき串焼きを買って貰いましたし買って貰わなくて大丈夫です」
「フィーリアには入場税を払って貰ったから、代わりに贈り物がしたいんだよ」
「………ありがとうございます。 そのかわり義之さんが選んでくれませんか?」
「フィーリアが気に入った物じゃ駄目なのか?」
「駄目です。義之さんが選んだものじゃないと駄目なんです」
「分かった、フィーリアが似合いそうなものを選ぶよ」
フィーリアが気にいった物を買いたかったが、贈り物をという形で渡すことになった。
まぁ、既に喜んでいるようだしじっくり選ぼうじゃないか。
ところでアクアよ、俺の髪の毛を思いっきり引っ張らないでくれ、痛いじゃないか。
アクアの分もちゃんと買うから心配するなっての。
ジェスチャーで伝えてから雑貨屋で物色するのであった。
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喉が痛い、風邪引いたかな?




